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海賊とよばれた男1 [日本の現代文学]

 「海賊とよばれた男(上)」 百田尚樹 (講談社文庫)


 出光興産の創業者出光佐三をモデルとした、国岡鐵造の一生を描いた経済小説です。
 2013年の本屋大賞を受賞した大ベストセラーで、2016年には映画化されました。


海賊とよばれた男 上下セット (講談社文庫)

海賊とよばれた男 上下セット (講談社文庫)

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  • メディア: 文庫


 本書の上巻(466ページ)には、全四章のうち、第二章までが収録されています。
 第一章から第二章へ、時代が逆行するところがこの上巻の特徴です。

 第一章「朱夏」は、終戦における混沌から、国岡商店が立ち直るまでの二年間です。
 第二章「青春」は、国岡商店を立ち上げて、終戦でそのほとんど失うまでです。

 昭和20年の日本の敗戦により、国岡鐵造は国岡商店の海外資産の全てを失いました。
 還暦を迎えていた鐵造は、しかし、本社に集まった60人の社員の前で宣言しました。

 「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失って
 はならない。すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上
 がる日が来る」(P19)

 石油を手に入れるルートを失った国岡商店には、もうやれることがありません。
 それでも鐵造は、「ひとりの馘首もならん。店員は家族と同然である」と言います。

 鐵造は何でもやる覚悟で、海軍の燃料タンクの残油をさらう作業を引き受けました。
 どんなに大変な作業でも、たとえ利益が出なくても、国のために鐵造は働きました。

 そんな鐵造の姿勢に共鳴する人々が現れ、鐵造の志に共感する人々が現れて・・・
 国岡鐵造はどんな半生を過ごしてきたのか? そしてどんなことを成し遂げるのか?

 決して諦めない気持ち。決して曲げない信念。それもすべて国のため、人々のため。
 国岡鐵造のような男がいてくれたからこそ、戦後、日本が復活できたのでしょう。

 私たちは、国岡鐵造のような男が日本にいたことを、誇りに思わなくてはいけない。
 モデルとなった出光佐三のことを、まったく知らなかったことが恥ずかしいです。

 読んでいて痛感したのは、「出る杭は打たれる」という、この国の悪い慣習です。
 しかし国岡鐵造の偉大な点は、どんなときにも「出る杭」であり続けた点です。

 門司を拠点とする鐵造が、規約に反しないよう下関の船に油を売るにはどうしたか?
 知恵と工夫で、多くの苦境を乗り越えてゆく姿は、私たちに勇気を与えてくれます。

 「絶対に諦めるな。もし失敗してすべてを失えば、一緒に乞食をしようじゃないか」
 (P28)

 そういえばこの小説が出た2013年は、第二次安倍内閣が始まったばかりの頃でした。
 黒田総裁のもと異次元緩和が始まり、少しずつ世の中が明るくなってきた時期です。

 あれから10年。混迷の時代の今こそ、国岡鐵造のような政治家が必要とされます。
 それなのに、相変わらず政界は、足の引っぱりあいばかりしているように見えます。

 さいごに。(がんばれ日本保守党)

 増税路線を邁進する自民党。LGBT法の成立に一役買った公明党。自公はもうイヤ。
 でも、野党はそれ以上にイヤ。(特に、立憲共産党。れいわは言うまでもない。)

 この暗黒の時代に、一筋の希望の光を与えてくれたのが、日本保守党の結党です。
 日本のために立ち上がった百田尚樹には、本当にがんばっていただきたいです。

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