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海賊とよばれた男2 [日本の現代文学]

 「海賊とよばれた男(下)」 百田尚樹 (講談社文庫)


 出光興産の創業者出光佐三をモデルとした、国岡鐵造の一生を描いた経済小説です。
 2013年の本屋大賞を受賞した大ベストセラーで、2016年には映画化されました。


海賊とよばれた男 文庫 (上)(下)セット

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 本書の下巻(435ページ)には、全四章のうち、第三章と第四章が収録されています。
 いよいよこの巻では、昭和28年の日章丸事件の一部始終が描かれます。

 第三章「白秋」は、昭和22年から昭和28年の日章丸が勝利するまでを描いています。
 第四章「玄冬」は、日章丸事件以後の国岡商店と、鐵造の最期までを描いています。

 終戦後の2年間で、国岡商店は巨額の赤字を出し、多くの店員を失いました。
 それでも店主鐵造の「日本のために尽くしたい」という思いは変わりませんでした。

 「戦争で灰燼に帰したこの日本を、今一度、立ち直らせる、そして自信を失った日本
 人の心に、もう一度輝く火を灯すのだ。」(P13)

 そんな店主に共感する店員たちは必死に働き、気骨のある男たちは鐵造を助けます。
 しかし、外国企業に屈しない鐵造は同時に多くの敵を作り、様々な妨害をされます。

 外国企業を敵に回しながらも、タンクを手に入れ、元売り会社の指名を取りました。
 そして、昭和26年に、念願のタンカー「日章丸(二世)」を完成させたのです。

 そして2年後の昭和28年、国際的に孤立するイランを助けるために出発しました。
 しかし、イラン石油の権利を主張するイギリス軍の艦隊が、待ち構えていたのです。

 日章丸は、イギリス海軍の意表をついてイランに入り、石油を積み込みました。
 快挙が世界に報じられる中、またしてもイギリス海軍の裏をかいて帰還したのです。

 この事件は日本とイランの人々に希望を与え、国岡商店の名は世界にとどろきました。
 イランにおける親日感情は、この事件で醸成され、現在まで続いてゆき・・・

 「私は国岡商店のためにおこなったのではない。そんな小さなことのために、日章丸
 の五十五名の生命を賭けることはできない。このことが、必ずや日本の将来のために
 なると信じたからこそ、彼らをアバダンへ送ったのです。」(P224)

 感無量です。ごちゃごちゃした説明はいりません。とにかく皆に読んでほしいです。
 彼らの行動力にしびれます。日章丸事件の場面は、国語の教科書に載せるべきです!

 「自らの信念を持って正しいおこないを続けていけば、絶対に間違った方向にいくこ
 とはない。」(P341)

 米ソ対立の冷戦時に、ソ連から石油を輸入しようとした国岡商店! あっぱれです。
 消費者の立場で生産調整に反対し、石油連盟を脱退した国岡商店! あっぱれです。

 この本を読み終わったあと、モデルとなった出光興産の株を買いたくなりました。
 現在株価は3400円ほど。100株単位なので34万円。2000円ぐらいにならないかな。

 さいごに。(なんとかならないか)

 現在、物価高騰でたいへんです。ロシアへの経済制裁は、自らの首を絞めています。
 欧米の立場に準ずるのではなく、日本は独自にロシアから石油を輸入するべきでは?

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