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自転しながら公転する2 [日本の現代文学]

 「自転しながら公転する」 山本文緒 (新潮文庫)


 母の面倒を見ながら契約社員として働き、恋に悩む32歳の都の日々を描いた物語です。
 2020年刊行、2021年本屋大賞第5位、作者の最高傑作。今回はその後半の紹介です。


自転しながら公転する(新潮文庫)

自転しながら公転する(新潮文庫)

  • 作者: 山本文緒
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/10/28
  • メディア: Kindle版



 貫一は立ち食い寿司での仕事が決まり、ふたりで熱海に旅行する計画を立てました。
 都はショップでのごたごたを乗り越え、正社員に推薦してもらうことになりました。

 父の手術をきっかけに、両親は自宅を売って小さい家に引っ越すことにしました。
 家を出ることになった都は、貫一との関係を真剣に考える必要に迫られました。

 熱海の旅行で改めて貫一と結婚したいと思った都は、同棲することを提案しました。
 ところが、貫一はその問題に向き合おうとせず、ふたりは言い合いになりました。

 そこで、都は貫一の脚を後ろからローキックして倒し(逆「貫一お宮の像」)・・・
 貫一は腹を決めて、ふたりは安らかに眠ったが、想定外のことが起こって・・・

 「楽しかった。俺なんかに優しくしてくれてありがとう」・・・
 今度こそ本当に失望した都は、貫一のラインをブロックし、電話番号を削除し・・・ 

 というように、貫一と都の物語が一旦終わるのが、P535です。(あと120ページ)
 そして、ベトナム人のニャン君が再登場するのが、P558です。(あと100ページ)

 高級ホテルのラウンジでニャン君と再会したとき、「やっぱりな」と思いました。
 ところがところが予想は大きく裏切られ、感動のどんでん返しに向かって行きます。

 エピローグでは、「は?」と思いました。最初は、意味が分からず読み返しました。
 そして、「そういうことか!」と驚いたあと、プロローグを読み返しました。

 「山本文緒の最高傑作」の名に恥じない名作です。
 2024年が始まったばかりなのに、いきなりすごい作品に出会ってしまいました。

 最後になりますが、この物語には印象的な脇役がふたりいます。そよかと時子です。
 そよかは都の、時子は母桃枝の友人です。ふたりとも友達の有難さを痛感させます。

 そよかは年下でありながら、都にはっきりものを言い、時には説教さえします。
 それは都を思ってのことで、都はそよかによって何度か大事なことに気付かされます。

 時子はがさつでイライラさせられますが、しかしまごころをもって接しています。
 桃枝はそんな時子のよって知らず知らずのうちに癒され、感謝するようになります。

 そよかは都を救い、時子は桃枝を救いました。
 貫一や都の父には、こういう友達がいませんでした。だから自分を追い詰めました。

 大人になってからの友達は大事です。自分には、こういう友人がいるでしょうか?
 幸い思い当たります。来週、一緒に駅伝を走る仲間がいます。わずか4人ですが。

 さいごに。(ジョッグ中に見た風景2)

 先日は夕方の日の沈むころ、ジョギングをしていました。
 夕焼け空を反射して、富士山が美しい色に染まっていました。眼福、眼福。

IMG_0560-2.png

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