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小公子 [19世紀アメリカ文学]

 「小公子」 F・H・バーネット作 川端康成訳 (新潮文庫)


 突然跡取りとなった少年セドリックが、祖父伯爵のかたくなな心を癒す物語です。
 1886年に出た児童文学の傑作です。私は、川端康成訳の新潮文庫版で読みました。


小公子 (新潮文庫)

小公子 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/06/24
  • メディア: 文庫



 名作なのでさまざまな訳が出ています。講談社からは村岡花子訳も出ています。
 文庫本では、羽田訳の角川文庫版や、土屋訳の古典新訳文庫版もオススメです。


小公子 (角川文庫)

小公子 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: 文庫



小公子 (光文社古典新訳文庫)

小公子 (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/03/12
  • メディア: Kindle版



 アメリカ生まれのセドリックは、7歳の天真爛漫な少年で誰からも好かれています。
 母と二人暮らしでしたが、靴磨きのディックや、ホップス氏などの友達がいました。

 ある日ひとりの弁護士が来て、セドリックを小公子フォントルロイ様と呼びました。
 祖父のドリンコート伯爵の息子たちが死んで、セドリックが跡継ぎになったのです。

 セドリックは伯爵のお城で暮らすために、母とともにイギリスに渡りました。
 純真で無邪気なセドリックと接するうちに、意地悪な伯爵の心はしだいに変化し・・・

 「本当に、世の中で、親切な心ほど強いものはない。その親切を、子どもの心は、か
 わいく、すっぽりと包んでいるのだ。」(P146)

 ここに、作者バーネットの言いたいことが表れているように思えます。
 そして、セドリックの優しい思いやりにあふれた心が、物語の魅力となっています。

 ここで忘れてはいけないのが、セドリックの美しい心を育てた母親の存在です。
 つらい境遇に耐えながらも、決して美しい心を失わない母は、たいへん印象的です。

 そして、伯爵が母と和解する場面は感動的です。 
 その和解の場面をもたらすのが、あのペテン師たちの事件です。

 終盤に登場する小悪党たちは、物語を面白くするだけでなく重要な意味を持ちます。
 ここで、ディックやホップス氏たちが再登場して、活躍してくれるのも嬉しいです。

 さて、「小公子」は、同じバーネット作の「小公女」とワンセットです。
 ともに1980年代に「世界名作劇場」で放映されました。

 「小公女セーラ」については、私は子供のころに家族で見ていました。
 逆境に負けず、常に気高く優しく振舞うセーラの姿は、とても印象に残っています。

 「小公女」も名作なので、さまざまな訳が出ています。私はまだ読んでいませんが。
 文庫本では、羽田訳の角川文庫版や、土屋訳の古典新訳文庫版などが良いようです。


小公女 (角川文庫)

小公女 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/06/15
  • メディア: Kindle版



小公女 (光文社古典新訳文庫)

小公女 (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/04/13
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(もう一度奈良へ)

 先日の奈良ツアーでは、時間が足りなかったです。
 せっかく東大寺に行きながら、法華堂も戒壇院も見られませんでした。

 妻も娘もそれなりに満足したようですが、仏像マニアの私には物足りなかったです。
 また行きたいです。今度は一泊して、薬師寺や唐招提寺にも足を伸ばしたいです。

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