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夏の夜の夢 [17世紀文学]

 「夏の夜の夢」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫)


 アテネの森に踏み込んだ恋人たちと、妖精の王と女王をめぐる喜劇です。
 シェイクスピアの初期の作品で、代表的な喜劇です。

 角川文庫版は最も新しい訳で、韻を踏んでいます。
 とても分かりやすかったです。


新訳 夏の夜の夢 (角川文庫)

新訳 夏の夜の夢 (角川文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫



 新潮文庫版の訳は古いのですが格調が高いです。そしてカバーがすばらしい。
 ちくま文庫版も、訳が分かりやすいのでオススメです。


夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)

夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/08/03
  • メディア: 文庫



シェイクスピア全集 (4) 夏の夜の夢・間違いの喜劇 (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (4) 夏の夜の夢・間違いの喜劇 (ちくま文庫)

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



 妖精の王と女王は、仲たがいをしました。
 王は、愛の媚薬を使って、女王をこらしめようとして・・・

 1人の女を追いかけている2人の男がいました。
 妖精バックは、 愛の媚薬を使って、3人の関係をさらにこじらせて・・・

 アテネの森を舞台に、妖精の世界と人間の世界がつながります。
 自分もまた、神話の世界に踏み込んだような気分になる楽しい物語です。

 わずか120ページほどで、あっという間に読めます。
 夏の夜の夢のように、強烈な印象を残して、さっと駆け抜けていきます。

 さて、角川文庫版のこの新訳では、英語の押韻をすべて表現してあります。
 次のようなバックのセリフを読むと、その苦労がよく分かります。

 「地面にばったり/眠くてぐったり/お目にうっすり/差しましょ、目薬/」
 「起きたら、むっくり/わかるぜ、びっくり/・・・」(P87)

 この作品は、ギリシア神話やローマ神話から、構想を得ています。
 夏至の日の夜には、妖精たちの力が強まるのだそうです。

 ところで、愛の媚薬といったら惚れ薬。 惚れ薬といったらトリスタンとイズー。
 「トリスタン・イズー物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-04-08

 そして、「愛の妙薬」という、ドニゼッティの有名なオペラがあります。
 舞台は19世紀のスペインですが、イズーの飲んだ媚薬(?)が登場します。


ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」

ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」

  • アーティスト: ガエターノ・ドニゼッティ,ハインツ・ヴァルベルク,ミュンヘン放送管弦楽団,ルチア・ポップ,ペテル・ドヴォルスキー,エヴゲニー・ネステレンコ,ベルント・ヴァイクル,バイエルン放送合唱団
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2008/09/24
  • メディア: CD



 さいごに。(マイナス金利?)

 ちまたではマイナス金利が話題。10年国債の利回りも、史上初のマイナスに。
 我が家の住宅ローンの金利も、マイナスになるのでしょうか?(まさかね)

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マクベス [17世紀文学]

 「マクベス」 シェイクスピア作 河合祥一郎訳 (角川文庫)


 主君を殺して王位を奪った将軍マクベスの、錯乱と破滅の物語です。
 シェイクスピアの四大悲劇の最後の作品です。

 私が今回読んだのは角川文庫の河合訳です。分かりやすい訳でした。
 訳者は、昨年NHKの100de名著「ハムレット」に出ていました。


新訳 マクベス (角川文庫)

新訳 マクベス (角川文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/01/24
  • メディア: 文庫



 舞台は11世紀のスコットランド。ダンカン王の時代です。
 将軍マクベスは勇敢に戦って、謀反人を倒しました。

 そのマクベスの前に、3人の魔女が現れて、不思議な予言をし・・・
 暗示にかかったマクベスは、妻と謀って国王を殺害し・・・

 とても面白い物語です。一度読み出したら、なかなか本を置けません。
 ちょっとしたやり取りにも味があります。よくできた戯曲です。

 マクベスという男は、強さと弱さ、大胆さと小心さを合わせ持ちます。
 それゆえ、魔女や妻の暗示にかかってしまいます。

 「人生は歩く影法師。哀れな役者だ。出番のあいだは大見得切って
 騒ぎ立てるが、そのあとは、ばったり沙汰止み、音もない。」(P140)

 終わってみれば、彼は運命に(神々に)翻弄された哀れな男でした。
 野望は持つべきではありません。正直に地道に生きるのが、イチバン。

 さて、ほかにもこの作品は、多くの出版社から様々な訳が出ています。
 ちくま文庫の松岡訳もオススメ。私が最初に読んだのはこの本です。


シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (3) マクベス (ちくま文庫)

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 文庫



 古典新訳文庫版もオスス メ。くだけた言葉遣いで、軽快な訳です。
 冒頭いきなり「ヘエエエイ、マクベース!」とあり、驚きます。


マクベス (光文社古典新訳文庫)

マクベス (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/09
  • メディア: 文庫



 岩波文庫の木下訳は、格調高い訳で捨てがたいです。
 また、新潮文庫のしぶい福田訳にも根強いファンがいます。


マクベス (岩波文庫)

マクベス (岩波文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/09/16
  • メディア: 文庫



マクベス (新潮文庫)

マクベス (新潮文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1969/09/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(クワガタ捕れず)

 わが家の1年の最大のイベントである、夏のキャンプが終わりました。
 今年も、トレーラーハウスに2泊しました。

DSCF1703-2.jpg

 娘と一緒にクワガタを探して森を巡りましたが、発見できませんでした。
 捕まえている子供たちはいましたが、シーズンは過ぎていたようです。

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ロミオとジュリエット [17世紀文学]

 「ロミオとジュリエット」 シェイクスピア作 松岡和子訳 (ちくま文庫)


 敵対する二つの家の犠牲となった、ロミオとジュリエットの悲劇です。
 多くの人に愛され続けてきた名作です。

 新潮文庫、岩波文庫、角川文庫、ちくま文庫など、様々な訳が出ています。
 私が読んだのはちくま文庫。ページの余白に脚注があるところがいいです。


シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット (ちくま文庫)

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 文庫



 舞台は14世紀ごろの、イタリアのヴェローナ。
 この町では、モンタギュー家とキャピュレット家が対立しています。

 モンタギュー家の一人息子がロミオ。礼儀正しい好青年です。
 キャピュレット家の一人娘がジュリエット。14歳にもなっていません。

 この二人が、キャピュレット家の宴会で出会います。
 そして二人は、一瞬にして恋に落ちてしまいます。

 「ああ、高い取り引き! 俺の命は仇敵からの借りものか。」
 「私のただひとつの恋が、ただひとつの憎しみから生まれたなんて!」

 仇敵同士と分かっていながら、永遠の愛を誓い合うふたり。
 しかし、その宿命からは逃れようもなく・・・

 このあとの展開は、書くまでもないでしょう。
 あまりにも有名な作品です。

 ほんとうに良くできた作品です。何度読んでもすばらしい。
 そして、何度読んでも悲しい。結末は分かっているのに。

 さて、新潮文庫の訳は少し古いのですが、深い味わいがあります。
 岩波文庫と角川文庫の訳は、比較的新しくて分かりやすいです。
 どの訳も、原文の駄洒落をとても工夫して訳しています。


ロミオとジュリエット (新潮文庫)

ロミオとジュリエット (新潮文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 文庫



ロミオとジューリエット (岩波文庫)

ロミオとジューリエット (岩波文庫)

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/02/16
  • メディア: 文庫



新訳 ロミオとジュリエット (角川文庫)

新訳 ロミオとジュリエット (角川文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/06/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(かいけつゾロリ)

 娘のお気に入りに、かいけつゾロリのシリーズがあります。
 男子向きの本なので、内容がちょっとくだらない。

 中でも、「ちきゅうさいごの日」は、とても下品で面白いです。
 隕石衝突から逃れるために、ゾロリたちの取った作戦は・・・
 私のイチ押しです。


かいけつゾロリ ちきゅうさいごの日 (26) (かいけつゾロリシリーズ  ポプラ社の新・小さな童話)

かいけつゾロリ ちきゅうさいごの日 (26) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の新・小さな童話)

  • 作者: 原 ゆたか
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 単行本



 例によって、今年も明日から三日間、東京へ出張です。
 暑そう!

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ハムレット [17世紀文学]

 「ハムレット」 シェイクスピア作 松岡和子訳 (ちくま文庫)


 デンマーク王子ハムレットが、王位簒奪者の叔父に復讐を果たす悲劇です。 
 シェイクスピアの四大悲劇の中でも、特に名高い傑作です。

 新潮文庫・岩波文庫・角川文庫・古典新訳文庫など、様々な訳で読めます。
 特に、ちくま文庫では、松岡訳でシェイクスピア全集を出しています。

 私のオススメは、ちくま文庫版。訳がとても分りやすいです。
 また、注がそのページの余白にあるので、とても読みやすいです。

シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)

シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1996/01
  • メディア: 文庫



 王が急死して、王位を継いだのは、その弟クローディアス。
 新王は王妃と結婚し、王子ハムレットは憂いに沈みます。

 そのころ、毎夜現れる亡霊。それは亡き国王の亡霊でした。
 王子ハムレットは、亡霊の招きに応じます。

 そして、亡霊から聞いた驚愕の真実・・・
 迷うハムレット。「To Be Or Not To Be」、生きるべきか死ぬべきか・・・
 とうとう彼は、狂ったふりをして・・・

 紹介するまでもないでしょう。あまりにも知られた傑作です。
 筋が面白くて、しかも名文の宝庫。実によくできた戯曲です。

 さて、この作品は、名作ゆえに翻訳が多くて、どれを読んだらいいか迷います。
 ちくま文庫の松岡訳は、比較的自然な訳だったような気がします。

 新潮文庫の福田訳は、やや古くて読みにくい印象があります。
 読んだのが高校時代だったので、自分の未熟さのせいかもしれません。
 格調の高さと言葉の美しさでは一番だ、という人も多いです。

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/09/27
  • メディア: 文庫



 岩波文庫の野島訳は2002年、角川文庫の河合訳は2003年、ともに新訳です。
 どちらも、とても読みやすくて、評判がいいです。

ハムレット (岩波文庫)

ハムレット (岩波文庫)

  • 作者: シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/01/16
  • メディア: 文庫



新訳 ハムレット (角川文庫)

新訳 ハムレット (角川文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫



 異色なのは、古典新訳文庫の「ハムレットQ1(第1クォート)」。
 現在の「ハムレット」の原型で、短いバージョンです。
 マニアックな出版ですが、ファンにはたまらないでしょう。

ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)

ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/02/09
  • メディア: 文庫



 ところで、この作品を読み返すきっかけになったのは、ゲーテです。
 「ヴィルヘルム・マイスター」の中盤、一座はハムレットに熱中します。
 おそらくゲーテ自身も、ハムレットに熱中したのではないかと思います。

 さいごに。(ようやく付けたETC)

 かつて、民主党の「高速道路無料化」を信じて、ETCを付けないでいました。
 (当時、民主党自身が、そんなことしたら大変だ、と言い出したのには驚いた。)

 ようやくETCを取り付けました。ただし、妻の車にだけ。
 休日半額になるのは、ありがたいですね。ようやくその恩恵をこうむりました。

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守銭奴(しゅせんど) [17世紀文学]

 「守銭奴(しゅせんど)」 モリエール作 鈴木力衛訳 (岩波文庫)


 金しか愛さない守銭奴アルパゴンと、その子供たちを取り巻く喜劇です。
 モリエール四大性格喜劇の一つで、上演回数が多いことで有名です。  

 現在、岩波文庫で読むことができます。
 初版は1950年ですが、2008年に改版されたので、読みやすいです。


守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)

守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)

  • 作者: モリエール
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1973/01
  • メディア: 文庫



 アルパゴンの息子クレアントには、マリアーヌという恋人がいます。
 アルパゴンがやってきて、クレアントに、マリアーヌについて尋ねます。

 クレアントはもちろん、マリアーヌを褒めちぎります。
 しかし、父アルパゴンが言った言葉は…

 なんとか父の考えを変えさせたい子供たち。
 なにがなんでも、子供たちに、金銭的に有利な結婚をさせたい父親。
 話は、もつれにもつれて…

 なんといっても、アルパゴンです。
 アルパゴンがしゃべるたびに、笑いが巻き起こりそうです。

 当時はモリエール自身が演じていたのだそうです。
 しかし、当時は案外理解されなかったらしい。

 私は、結末だけが不満です。とても不自然です。
 やはり悪人は、自分で自分の首を絞めてほしい。

 さて、「アルパゴン」といったら、守銭奴の代名詞です。
 ほかに、「スクルージ」(「クリスマス・キャロル」)も有名ですね。
 「クリスマス・キャロル」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09

 さいごに。(県選手権)

 今年も、県の陸上選手権に出ました。種目は400mハードル。
 妻と娘が応援に来てくれたのに、1分以上かかってしまいました。

 だいぶ前から、私は最長老。46歳。
 で、だいぶ前から、400mをしっかり走りきれません。


 腕時計のバンドが汗臭い。そろそろ換えようと思います。
 思い切って、今年はホワイトにしてみようか。





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病は気から [17世紀文学]

 「病は気から」 モリエール作 鈴木力衛訳 (岩波文庫)


 自分を病気だと思い込んで、薬漬けになっている男を描いた笑劇です。
 モリエールの最後の作品で、現在でも上演され続けています。

 岩波文庫版の初版は1970年。2008年に改版されました。
 訳は分かりやすくて、活字は読みやすかったです。


病は気から (岩波文庫 赤 512-9)

病は気から (岩波文庫 赤 512-9)

  • 作者: モリエール
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1970/04
  • メディア: 文庫



 主人公は、裕福な市民の男アルガン。
 自分を病気だと思い込み、医者の言うがままに大量の薬を服用しています。
 自分のことしか考えず、ひとり娘を医者の息子と結婚させようとします。

 その医者の息子というのは、間抜けな男で…
 娘のアンジェリックは、すでにほかの青年と…

 アルガンの若き後妻は、あることを企んでいて…
 女中トワネットは、アンジェリックを救うために一計を案じて…

 モリエールらしい、とても楽しい喜劇です。
 モリエールの最後を飾るに、ふさわしい作品だと思います。

 当時の公演では、モリエール自身が、アルガンを演じました。
 そして、4回目の公演後に倒れ、そのまま自宅で息を引き取ったといいます。

 実に皮肉です。
 病気だと思い込んでいる男を演じた本人が、実際は本当に病気だったのです。
 そういう運命の皮肉まで含めて、とても興味深い作品です。

 他のモリエール作品
 「人間ぎらい」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19
 「タルチュフ」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-02-26
 「町人貴族」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-08
 「ドン・ジュアン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-12

 さいごに。(パソコン初期化)

 パソコンがとても重たくなったので、思い切って初期化しました。
 7年前の代物ですが、今はわりと快適に動きます。
 ただし、色々なソフトのバージョンアップに、丸一日かかりました。

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オルメードの騎士 [17世紀文学]

 「オルメードの騎士」 ロペ・デ・ベガ作 長南実訳 (岩波文庫)


 武勇で知られたドン・アロンソと、美しきイネースとの、悲恋の物語です。
 スペイン文学の黄金期に活躍した大劇作家ロペの、屈指の名作です。

 手軽に読めなかったこの作品が、5年前に岩波文庫から出たので、即買いました。
 カバーがフェルメールの美しい絵なので、平積みの状態だと結構目を引きます。


オルメードの騎士 (岩波文庫)

オルメードの騎士 (岩波文庫)

  • 作者: ロペ・デ ベガ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/08/17
  • メディア: 文庫



 ドン・アロンソは、その武勇によって、「オルメードの騎士」と讃えられています。
 彼が、メディーナの娘ドニャ・イネースに、一目ぼれした所から、物語が始まります。

 二人の恋は、仲介役の魔女ファビアによって、めでたく実ります。
 しかし、地元の騎士ドン・ロドリーゴも、イネースに熱い思いを寄せていて…

 純愛の成就のために、魔界の力を借りてしまったのが、アロンソの悲劇の原因です。
 我々読者は、悲劇的な結末を予感しながらも、最後まで結末が予想できません。

 怪奇的な雰囲気を持った、独特の悲恋物語です。
 そして、この劇の不気味な魅力は、魔女ファビアによる所が大きいです。
 魔法を使うために、処刑された泥棒の奥歯を抜きに行ったりして…

 さて、作者のロペ・デ・ベガは、スペイン文学の最高の劇作家と言われています。
 「人の世は夢」のカルデロンの、一つ前の世代で、黄金時代を作った人物です。

 なんと、生涯に2000以上の戯曲を作り、425作が現存しているのだとか。
 それなのに、日本で読める作品は、あまりにも少ないです。
 「オルメードの騎士」も、いつまで読めるでしょうか。この本は未だに初版ですよ。

 さいごに。(朝のあそび)

 出勤前のひととき、新聞を読んでいると、「パパ、あーそーぼー」と娘の声。
 わずか10分ほどの時間に、かくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたりします。

 時々、うるさい、と感じてしまいます。
 でも、こうして私を遊び相手にしてくれるのも、そんなに長くないかもしれません。

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人の世は夢 [17世紀文学]

 「人の世は夢」 カルデロン作 高橋正武訳 (岩波文庫)


 幽閉中に夢のような1日を過ごして、人生を悟ったセヒスムンド王子の物語です。
 17世紀スペインを代表する哲学劇です。

 恥ずかしながら、カルデロンという名前を、私は知りませんでした。
 だから、2011年11月の一括重版で、復刊されたときも、ノーチェックでした。

 カルデロンは、スペイン文学の黄金期の、最後を飾る大劇作家です。
 「人の世は夢」と「サラメアの村長」は、外せない作品だそうです。
 岩波文庫のこの本は、ベスト・カップリング。訳は分かりやすかったです。


人の世は夢,サラメアの村長 (岩波文庫 赤 725-1)

人の世は夢,サラメアの村長 (岩波文庫 赤 725-1)

  • 作者: カルデロン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1978/11/16
  • メディア: 文庫



 父王が星占いで、王座を息子に奪われると知ったため、王子は幽閉されて育ちました。
 あるとき父王は、王子セヒスムンドの性格を、試してみたいと考えます。
 そして王子は、麻薬で眠らされているうちに、ひそかに王宮へ連れて行かれます。

 きらびやかな宮殿で目覚めたセヒスムンドは、一変した自分の境遇に仰天しました。
 そして、抑圧されてきた怒りのため、凶暴性を発揮し、早々と父王に見放されます。

 翌朝、再び牢屋で目覚めたセヒスムンドは、人生について悟ります。
 この場面、なかなか良いです。

 「人の世とは、何だ? 狂気だ。人の世とは、何だ? まぼろしだ。影だ。幻影だ。
  いかなる大きな幸福とても、取るに足りない。人の一生は、まさに夢。
  夢は所詮が夢なのだ。」(P82)

 「だから人生はむなしい」と、ならないところが良い。彼は、こう考えます。
 幸福なんて、一瞬で消える。それだったら、いっそのこと、善を行おう、と。

 このあと、牢中のセヒスムンドの身に、意外な知らせがあり、予想外の展開に…
 面白いし、色々と考えさせられます。とてもよくできた劇です。

 併録されている「サラメアの村長」は、かつてのスペインの様子を伝える歴史劇。
 こちらも、文句無く面白い。

 文庫本ではありませんが、平凡社ライブラリーでも、カルデロンが読めるようです。
 宗教劇の代表作「驚異の魔術師」と、喜劇の代表作「淑女」の二編を収録。


驚異の魔術師 ほか一篇 (平凡社ライブラリー)

驚異の魔術師 ほか一篇 (平凡社ライブラリー)

  • 作者: カルデロン デ・ラ・バルカ
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 新書



 カルデロンは、生涯に120の喜劇と、80の聖体神秘劇を作ったのだそうです。
 我々が、こうして読むことのできるのは、そのうちのほんのわずかな部分なのですね。

 さいごに。(娘の突然の高熱)

 先週末、突然、娘に高熱が出て、38度以上に体温が上がりました。
 当番医に駆け込むと、2時間待ち。夕食を食べてから、出直しました。

 幸い、インフルエンザではありませんでした。
 しかし、一昨日から、じんましんができて、体中が蚊に刺されたみたいです。

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ペローの童話 [17世紀文学]

 「長靴をはいた猫」 シャルル・ペロー作 澁澤龍彦訳 (河出文庫)


 17世紀の童話作家ペローが、民間の伝承を素材にして作った童話集です。
 19世紀のグリム童話に比べて、伝承が原型に近い形で残っています。

 現在、岩波文庫・河出文庫等で読むことができます。
 岩波文庫版は、完訳です。また、刊行時の挿し絵が所々に入っています。


完訳 ペロー童話集 (岩波文庫)

完訳 ペロー童話集 (岩波文庫)

  • 作者: シャルル ペロー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/07/16
  • メディア: 文庫



 私の本棚にあるのは、河出文庫版です。訳者は澁澤龍彦。
 韻文の「グリゼリディス」は省かれ、韻文の「驢馬の皮」は散文になっています。
 私は、この処置に賛成。すっきりして、読みやすくなりました。


長靴をはいた猫 (河出文庫)

長靴をはいた猫 (河出文庫)

  • 作者: シャルル ペロー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1988/12
  • メディア: 文庫



 ペローの童話には、馴染み深いものが、たくさんあります。
 「眠れる森の美女」「赤頭巾ちゃん」「シンデレラ」「長靴をはいた猫」「青髭」…
 ただし、そのいくつかは、我々が馴染んでいる話と少し違います。

 たとえば「眠れる森の美女」には、奇妙な続きがあります。
 王子さまの母親が、実は人食い鬼で…

 また、「赤頭巾ちゃん」は、着物を脱いでオオカミのいるベッドに入ります。
 そして、オオカミに食べられた所で終わり。
 少女が男にだまされる話であることが、明瞭に伝わってきます。

 それにしても、「赤頭巾」はウカツですよ。
 「まあ、おばあさん、なんて長い耳をしていらっしゃるの!」とか、言ってるけど、
 そこで気づけよ!

 実は、河出文庫版には不満があります。それは、片山健の挿し絵の不気味さ。
 どれもこれも変態的で、気持ち悪いです。
 ただ、青髭の挿し絵は、気持ち悪すぎて、うまくマッチしていたりする。
 
 カバーのイラストも、片山健のもの。
 澁澤龍彦が、この絵をたいそう気に入って、彼の挿し絵を採用したとのことですが…
 下品でいやらしい猫です! もっとかわいく描いてほしい。

 ところで、「眠りの森の美女」も、「赤頭巾ちゃん」も、様々に解釈されています。
 ドイツの哲学者フェッチャーの「だれがいばら姫を起こしたのか」は一読の価値あり。
 眠りの森の美女(いばら姫)を、処女喪失の物語として、読み解いたりしています。

 ただしこの本、ちくま文庫から出ていましたが、現在品切れ中。復刊を強く望みます。


だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

  • 作者: イーリング フェッチャー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 文庫



 同類の本で、日本人の書いた「灰かぶり姫の瞳」がありますが、これも品切れ中。


誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 梁瀬 光世
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/10
  • メディア: 文庫



 この手の本は一時ブームになりました。
 その火付け役が、「本当は恐ろしいグリム童話」。現在も手に入ります。
 読みやすいのですが、大衆受けを狙いすぎています。


本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

  • 作者: 桐生 操
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(目が回る)

 日曜日に、娘を公園に連れて行って、一緒に遊んだ時のこと。
 ブランコを20回ほどこいだら、目が回って気持ち悪くなってしまいました。

 その後、追いかけっこで、ぐるぐる回っているうちに、再び目が回りました。
 年のせいでしょうか、三半規管が弱っています。
 気持ち悪くてしゃがんだ所を、娘に簡単に捕まえられた時は、情けなかったです。

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ドン・ジュアン [17世紀文学]

 「ドン・ジュアン」 モリエール作 鈴木力衛訳 (岩波文庫)


 女たらしのドン・ジュアンが、壮絶な最期を遂げるまでの喜劇です。
 スペインの「ドン・ファン」伝説に、モリエール流の味つけがされています。

 現在、「ドン・ジュアン」は、岩波文庫で読むことができます。
 2年前に改版になりました。活字が大きくて読みやすいです。

ドン・ジュアン (岩波文庫)

ドン・ジュアン (岩波文庫)

  • 作者: モリエール
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/01
  • メディア: 文庫


 第一幕で、妻のエルヴィールを捨てると、第二幕では、田舎娘を引っ掛けます。
 しかも、二枚舌を使い、田舎娘二人に、結婚を約束するという最低ぶりです。

 そうかと思うと、森の中では危険を冒して、劣勢の騎士の助太刀をしたりします。
 騎士像がしゃべっても、動じない豪胆さも持っています。
 ただの女たらしではありません。

 ジョン・ジュアンは、なかなかつかみどころの無い男です。
 モリエールの想像した人物の中で、最も複雑な性格だと言われています。

 私は、この男は、神に挑戦した男だと思います。
 騎士像に、「夕飯に来い」と誘うところに、それが象徴されています。

 彼の人生は、神を怖れず、自分の力を試そうとしているように、見えます。
 快楽の追求も、騎士の助太刀も、彼にとっては「力試し」なのでしょう。
 しかし、神がそのような男を許すはずは無く、最後は…

 彼の次の言葉には、いくばくかの真実があります。

 「偽善は流行(はやり)の悪徳だし、
  流行の悪徳ならなんでも美徳としてつうようするんだ。」(P121)

 当時は、放蕩した挙句、猫の皮をかぶって、神に仕える人も多かったとか。

 さいごに。

 土日の旅行では、久々に金目鯛の刺身とか、おいしものを食べてきました。
 1日目は雨で、私のカゼの症状も出て、ちょっとまいりましたが。

 娘はいつも妻にべったりですが、お土産屋に入ると私の近くに来ます。
 というのも、私は試食をつまみますが、妻は試食をつままないからです。
 私といると、饅頭やせんべいの試食が食べられると、知っているのです。
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