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ウェイクフィールドの牧師 [18世紀文学]

 「ウェイクフィールドの牧師」 ゴールドスミス作 小野寺健訳 (岩波文庫)


 数々の不運に見舞われながらも、大らかに生きる善良な牧師一家を描いた作品です。
 ゴールドスミスの代表作で、ゲーテの愛読書として知られるユーモア小説です。

 2012年に岩波文庫から新訳が出ました。分かりやすくて親しみの持てる訳です。
 ついこのあいだまでは、入手困難な作品だったと思います。(ありがたや)


ウェイクフィールドの牧師――むだばなし (岩波文庫)

ウェイクフィールドの牧師――むだばなし (岩波文庫)

  • 作者: ゴールドスミス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/01/18
  • メディア: 文庫



 お人よしのプリムローズ牧師は、6人の子どもに恵まれ、幸せに暮らしていました。
 ところが、財産を預けていた商人が逃亡してしまい、残ったのはわずかな金額だけ。

 それでも牧師はへこたれず、運命をそのまま受け入れ、前向きに生きてゆきます。
 「貧乏になったが、その貧しい境遇に合わせていくのが英知というものだ」(P25)

 しかし、その後も、これでもかこれでもかと不幸は重なり・・・
 そして、とうとう一家離散の憂き目にも遭い・・・

 と書くと、暗い小説のようですが、ユーモアいっぱいの楽しい作品でした。
 文章が(訳文が)分かりやすくて軽快で、冒頭からいっきに引き込まれました。

 牧師の、ちょっととぼけたような語り口が、この作品の大きな魅力です。
 時々真面目なお説教が挿入されますが、そこに作者の主張が表れています。

 「善人はわが家をめざしていく旅人のように明るく朗らかだが、悪人は
 世界から追放された旅人のように、ごくたまに幸せになれるにすぎない」(P232)

 ところが終盤に至るまで、悪人が絶好調。悪が勝つのかと、ひやひやしました。
 が、結末は・・・ちょっと強引につじつまを合わせています。

 主人公の牧師は魅力的ですが、しかし最も印象的だったのは、ジェンキンソンです。
 一家を2度も騙す詐欺師ですが、終盤に重要な役割を果たし、良い味を出しています。

 さて、この小説が出版された1766年の前後に、リチャードソン、フィールディング、
 スターンなど、大作家たちが亡くなっています。そういう意味で過渡期の作品です。

 解説によると、上記の3人の作品は、現在ではあまり読まれないのに対し、
 「ウェイクフィールドの牧師」は、今でも愛読者が多いのだそうです。

 余談ですが、ホーソーンの短編に「ウェークフィールド」という名作がありました。
 「ホーソーン短編集」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-02

 さいごに。(お風呂卒業か)

 娘が生まれた時から、ほぼ毎日ずっと、私がお風呂に入れています。
 先週は仕事が忙しくて帰りが遅くなり、娘をお風呂に入れられない日が続きました。

 久しぶりに娘をお風呂に入れようとしたら、恥ずかしがって一人で入りました。
 考えてみればもう3年生です。そろそろお風呂は卒業かもしれません。

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トリストラム・シャンディ [18世紀文学]

 「トリストラム・シャンディ」 ロレンス・スターン作 朱牟田夏雄訳 (岩波文庫)


 紳士シャンディが、様々な脱線を交えながら、自分の生涯と意見を述べた作品です。
 あらゆる方法を取り入れた実験的な作品です。

 岩波文庫から上中下の三分冊で出ています。しかし下巻のみが品切れです。
 訳者は「トム・ジョウンズ」の朱牟田氏。古い訳ですが味わいがあります。


トリストラム・シャンディ 上 (岩波文庫 赤 212-1)

トリストラム・シャンディ 上 (岩波文庫 赤 212-1)

  • 作者: ロレンス・スターン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969/08/16
  • メディア: 文庫



トリストラム・シャンディ 中 (岩波文庫 赤 212-2)

トリストラム・シャンディ 中 (岩波文庫 赤 212-2)

  • 作者: ロレンス・スターン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969/09/16
  • メディア: 文庫



トリストラム・シャンディ 下 (岩波文庫 赤 212-3)

トリストラム・シャンディ 下 (岩波文庫 赤 212-3)

  • 作者: ロレンス・スターン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1969/10/16
  • メディア: 文庫



 正式なタイトルは、「紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」です。
 「トリストラム・シャンディ」が「生涯」を語りながら「意見」を表明しています。

 ところが、彼の「生涯」の物語が、ちっとも始まりません。
 いつまでたっても、彼は生まれないのです・・・

 一歩間違えば漫談になってしまう所を、ギリギリで踏みとどまっている作品です。
 話はあちこちに飛び、物語は次々に枝分かれし、それが果てしなく続いていきます。

 そして、分断された数々のエピソードが、遠いところで物語の進行を助けています。
 何度も脱線しながら、不思議な統一感を保って、にょろにょろと前進しています。

 八方破れのように見えますが、実はしっかり計算されています。
 作者はこのスタイルを、「脱線的にしてしかも前進的」(P130)と表現しています。

 それにしても突拍子もない小説です。
 もし、「訳者まえがき」を読んでいなかったら、とっくに投げ出していたでしょう。

 「話がはじまると脱線また脱線の連続で、何が話の本筋なのか生まじめな読者は
 はぐらかされてばかりいる思いがするかもしれない。」

 「話が どんどんわきへわきへとそれてしまって、その時その時の主題は一体何なのか、
 むやみに読者を五里霧中に彷徨させる感のある場面がすくなくない・・・」

 こういった警告があったからこそ、何とか上巻だけを読み終えることができました。
 少し根気のいる作品です。中巻と下巻は、しばらくお預けです。

 さて、この作品は、夏目漱石が最初に紹介したことでも知られています。
 その紹介文は名文で、「訳者まえがき」の冒頭に引用されています。

 「今はむかし、十八世紀の中頃、英国にロレンス・スターンという坊主住めり。
 最も坊主らしからざる人物にて、最も坊主らしからぬ小説を著し・・・」

 「坊主」とありますが、作者はうだつの上がらぬ田舎牧師だったのだそうです。
 「坊主らしからぬ」とありますが、作品の内容はある意味ふざけています。

 私は上巻しか読んでいません。(続きを読むのは、いつのことやら)
 しかし、英国文学史上に燦然と輝いていて、決して無視できない作品です。

 さいごに。(ワード復活の裏事情)

 わが社では、XPサポート終了の時に、本社による方針で、ワードをやめました。
 ところが、リブレを使っている所は少なく、本社は対外的なやり取りで困ったのです。

 そこで本社は、我々にワードをやめさせる一方、自分たちはワードを使い続けた!
 そして、我々が作ったリブレのファイルを、本社では開けないという事態になり・・・

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トム・ジョウンズ3 [18世紀文学]

 「トム・ジョウンズ」 フィールディング作 朱牟田(しゅむた)夏雄訳 (岩波文庫)


 様々な困難に遭いながらも愉快に生きる、捨て子のトムの恋と冒険の物語です。
 前回の続きです。岩波文庫で出ていましたが、第1巻と第2巻が品切れ。


トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/06/16
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1951/12
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/08/18
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/09/16
  • メディア: 文庫



 ソファイアは、親類のベラストン夫人を頼って、ロンドンに入りました。
 トム・ジョウンズも、ソファイアを追って、ロンドンに入ります。

 トムは、ソファイアを探すうちに、ベラストン夫人を知りました。
 そこで、美男のトムはまたしても、夫人に誘惑されてしまいます。

 様々な偶然と、周囲の思惑によって、なかなか会えない二人・・・
 そして、ようやく運命の邂逅。ところが・・・

 物語は第3巻(3冊目から4冊目)に入りました。
 終盤に入って、加速度的に面白くなっていきます。

 いかにしてトムは、ベラストン夫人と縁を切ったか!
 いかにしてベランストン夫人は、トムに復讐したか!

 トムは、絶体絶命のピンチに!
 一転二転して、いよいよ大団円へ!

 最後には、トム・ジョウンズの出生の謎も明かされます。
 その母親は・・・なんと! まったく考えもしなかった人物です。

 しかし、よく読んでみると、第1巻でちゃんと伏線があったのですね。
 なるほど、緻密な構成です。本当によくできた物語です。

 最後は、終わってしまうのがもったいなくて、わざとゆっくり読みました。
 今年のマイ・ベスト5に入るのが、間違いない作品です。

 さいごに。(9時まで)

 娘は3年生になってから、夜9時まで起きていてもいいことになりました。
 しかし、たいてい8時半には、眠くなって寝てしまいます。

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トム・ジョウンズ2 [18世紀文学]

 「トム・ジョウンズ」 フィールディング作 朱牟田(しゅむた)夏雄訳 (岩波文庫)


 様々な困難に遭いながらも、愉快に生きる捨て子のトムの、恋と冒険の物語です。
 前回の続きです。岩波文庫で出ていましたが、第1巻と第2巻が品切れ。


トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/06/16
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1951/12
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/08/18
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/09/16
  • メディア: 文庫



 ある事件でトムは、オールワージ氏の誤解を受け、屋敷を追い出されました。
 トムはロンドンへ向かう途中で、パートリッジという男と道連れになりました。

 旅の途中で、トムはある大尉の夫人を、悪漢から救い出しました。
 が、トムは美男だったため、その夫人に迫られ、つい気を許してしまいました。

 トムと夫人が泊まる宿に、トムを追って来たソファイアが到着し・・・
 運命の糸は複雑に絡み合って・・・トムとソファイアはどうなるのか?・・・

 この物語は三部構成です。第一部は、オールワージの田舎でのこと。
 第二部は、ロンドンまでの道中。第三部は、ロンドンでのことです。

 現在、第二部を読んでいます。岩波文庫の2冊目と3冊目です。
 2冊目に入ると、文章にだいぶ慣れてきました。

 堅苦しいと感じていた文体に、味わいを感じるようになってきました。
 フィールディングの語りの面白さが、分かってきたような気がします。

 彼の語り口には、まじめな顔をして冗談を言っているような所があります。
 どさくさに紛れて、フランス人の悪口を言っているところも笑えます。

 時々脱線して、物語とは関係のないエピソードを紹介したりします。
 第十一巻(3冊目)のグウィン夫人のエピソードは、サイコーでした。

 さて、第二部ではパートリッジという道化役が、物語を盛り上げてくれます。
 この男はトムの父親かと思われましたが・・・出生の謎は深まるばかりです。

 さいごに。(1分5秒)

 土曜日に、県中部地区の陸上大会に出ました。種目は400mハードル。
 今年は1分5秒かかりました。でも、けがなく走り切れて良かったです。


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トム・ジョウンズ [18世紀文学]

 「トム・ジョウンズ」 フィールディング作 朱牟田(しゅむた)夏雄訳 (岩波文庫)


 様々な困難に遭いながらも、愉快に生きる捨て子のトムの、恋と冒険の物語です。
 作者の代表作であり、18世紀イギリス小説の最高傑作と言われている作品です。

 岩波文庫で全4巻ですが、第1巻と第2巻が品切れで手に入りません。(残念!)
 初版は1951年。改版されていますが、訳は古くて活字は小さいです。


トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈1〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/06/16
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1951/12
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈3〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/08/18
  • メディア: 文庫



トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

トム・ジョウンズ〈4〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/09/16
  • メディア: 文庫



 ある日、大地主オールワージ氏のベッドに、見知らぬ赤ん坊が置かれていました。
 どうしてここに赤ん坊が? いったい誰の子か?

 その母親は、不自然なほどあっさりと見つかりました。
 彼女は、赤ん坊の父親を明 かすことなく、村を出て行きました。

 情け深いオールワージ氏は、この子をトムと名付けて、大切に育て始めました。
 トムは義父の愛情に支えられて、明るく快活な好男子に成長しましたが・・・

 現在、4冊中の1冊目(20巻中の5巻まで)をようやく読み終えたところです。
 訳が古いため、文章が堅苦しくて、活字も小さいため、なかなか進みません。

 特に最初は、1時間に30ページほどしか読めませんでした。
 1冊目が終わって、文章のリズムにようやく慣れてきたところです。

 さて、目次には各巻の予告が付いているため、およその内容が分かります。
 たとえば、第二巻の第八節は、次のような興味深い予告が書かれています。

   失われし妻の愛情を取りもどす秘法、
   最も絶望的なる場合にも功を奏せざりしためしなし

 この第八節の内容は、この予告以上に面白かったです。
 「愛情を取りもどす秘法」とは何かというと・・・あっと驚く展開です。

 物語は、捨て子トムと義父オールワージとソファイア嬢を中心に進みます。
 しかし、オールワージの妹やその夫なども詳しく描かれています。

 牧師スワッカムや哲学者スクウェアらの道化役も、いい味を出しています。
 様々な人物が丁寧に描かれていて、全体的にとても緻密な構成をしています。

 ここまで捨て子トムは、義父の愛に支えられて、割と平和に暮らしてきました。
 しかし、このまま平穏に進むとは思えません。今後の展開も楽しみです。

 さいごに。(オトキソ4)

 「大人の基礎英語」は、今年のシーズン4からだいぶ路線変更しました。
 全体的にまじめな作りです。松本先生はダジャレを言わないし。

 シーズン3までの坂下千里子はやんちゃ生徒で、よくボケをかましてくれました。 
 今年から代わった高橋真麻は優等生タイプで、模範的生徒といった感じです。


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パミラ [18世紀文学]

 「パミラ、あるいは淑徳の報い」 リチャードソン作 原田範行訳 (研究社)


 主人に誘惑される、若くて美しい召使の心理を、書簡と日記で描いた小説です。
 近代小説(ノヴェル)の起源とも言われる作品です。

 2011年に研究社から、「英国十八世紀文学叢書」の第1巻として出ました。
 ぶ厚い単行本で、800ページもあります。挿絵も豊富で、値段は5184円です。


[第1巻 メロドラマ] パミラ、あるいは淑徳の報い (英国十八世紀文学叢書)

[第1巻 メロドラマ] パミラ、あるいは淑徳の報い (英国十八世紀文学叢書)

  • 作者: サミュエル・リチャードソン
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2011/12/20
  • メディア: 単行本



 パミラの仕えていた奥様が亡くなるところから、物語は始まります。
 悲しむパミラを、屋敷の主人は慰め、援助の手を差し伸べてくれます。

 しかし、主人の好意には、下心が見え隠れし・・・
 そして、とうとう主人が本性を現わし・・・

 図書館で読みました。最初の方だけしか読んでいません。
 構成表の小見出しを見れば、読まなくてもその後の内容がつかめます。

 たとえば・・・
 手紙その十五 「ご主人様の訪問そして」
 手紙その二十五「ああおぞましい、クローゼットのなかに!」などなど。

 意外だったのは、この作品がシンデレラストーリーだということです。
 私はずっと、美しい召使の悲劇的な物語だと思っていました。

 さて、作者のリチャードソンは、印刷屋の奉公からのし上がった人物。
 業界の大物になった彼は、50歳の時、手紙の文例集を書き始めました。

 その手紙にストーリーを盛り込むことを思いつき、この物語ができました。
 人物の心理が克明に描かれているため、最初の近代小説と言われます。

 文学史的にたいへん重要な作品ですが、なかなか読めませんでした。
 研究社から出たこの本は貴重です。広く読まれるために文庫化してほしい。

 さいごに。(未来館)

 東京旅行の1日目。上野公園のあと未来館へ行きました。
 そこでのメインは、ドームシアターでのプラネタリウム。

 とても大きな画面で、しかも3D。すごい迫力でした。
 しかし、疲れていた私と妻は、寝てしまいました・・・ 

DSCF1420-2.jpg


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ジョウゼフ・アンドルーズ [18世紀文学]

 「ジョウゼフ・アンドルーズ(上)(下)」
 フィールディング作 朱牟田(しゃむた)夏雄訳 (岩波文庫)


 純粋で美しい青年ジョウゼフと、善良な牧師アダムズとの、ドタバタ道中記です。
 イギリス小説の父とも言われるフィールディングの、代表作のひとつです。

 2009年に岩波文庫から出たばかりなのですが、文章は分かりにくいです。
 よくよく調べたら、訳は1966年のもの。新訳化を強く希望します。


ジョウゼフ・アンドルーズ〈上〉 (岩波文庫)

ジョウゼフ・アンドルーズ〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/04/16
  • メディア: 文庫



ジョウゼフ・アンドルーズ〈下〉 (岩波文庫)

ジョウゼフ・アンドルーズ〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー フィールディング
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/05/15
  • メディア: 文庫



 物語の主人公は、ジョウゼフ・アンドルーズ。純粋で美しい青年です。
 その姉は、貞淑なパミラ・アンドルーズ。「パミラ」の主人公です。

 ジョウゼフは、金持ちのブービー氏の屋敷で、年季奉公をしています。
 彼は、その美しさゆえに、ブービー夫人のお気に入りとなっています。

 あるとき、ブービー氏が急死しました。
 すると、こともあろうにブービー夫人は、ジョウゼフを誘惑しました。

 必死で逃れようとするジョウゼフ・・・
 しかし、怒った夫人によって、たちまち屋敷を追い出されて・・・

 というように、ここまでは完全に当時流行の「パミラ」のパロディです。
 しかし、屋敷を出てからの冒険は、「ドン・キホーテ」のパロディです。

 ジョウゼフは師のアダムズと偶然に再会し、二人の珍道中が始まります。
 騒動を愉快に描くところに、フィールディングの真価が発揮されています。

 特に面白かったのが、第3巻の第3章。ウィルソン氏の身の上話です。
 あるじの話も面白いし、アダムズのリアクションも面白いです。

 アダムズはドン・キホーテ的な人物で、この物語を盛り上げています。
 というか、珍道中での主役は、この喜劇的な牧師アダムズかもしれません。

 さて、田舎の地所にたどり着いた一行に、行商人から思いがけない話・・・
 周囲の思惑に翻弄されるジョウゼフと恋人のファニー・・・

 ファニーの出生の秘密が明かされ、ジョウゼフの意外な事実が明かされ・・・
 結末では流れが一転二転し、とてもドラマチックな展開でした。

 この本を読んだら、次はぜひ「パミラ」を読みたい。
 2011年に研究社の「英国十八世紀文学叢書」から出ました。ただし5184円。


[第1巻 メロドラマ] パミラ、あるいは淑徳の報い (英国十八世紀文学叢書)

[第1巻 メロドラマ] パミラ、あるいは淑徳の報い (英国十八世紀文学叢書)

  • 作者: サミュエル・リチャードソン
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2011/12/20
  • メディア: 単行本



 さいごに。(担任の先生が転勤)

 娘が小学校1年2年とお世話になってきた、担任の先生が転勤になりました。
 優しくて包容力のある女の先生だったので、わが家3人はとても残念です。

 とはいっても、人生に出会いと別れはつきもの。
 今まで、とても良いクラスでした。来年は、どんなクラスになるでしょうか。


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ポールとヴィルジニー [18世紀文学]

 「ポールとヴィルジニー」 サン=ピエール作 鈴木雅生訳 (古典新訳文庫)


 自然の恵みと母たちの愛に包まれて育った、少年と少女の悲しい恋の物語です。
 フランス革命の直前に刊行され、純愛小説の代表作として知られる傑作です。

 とても手に入りにくい作品でしたが、2014年に古典新訳文庫から出ました。
 美しい挿し絵が20点以上収録されていて、丁寧に作られた本です。


ポールとヴィルジニー (光文社古典新訳文庫)

ポールとヴィルジニー (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジャック=アンリ・ベルナルダン・ド サン=ピエール
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/07/10
  • メディア: 文庫



 インド洋に浮かぶ弧島に、隣り合う二つの小屋がありました。
 二つの小屋では、それぞれ若い妊婦が、人目を忍ぶように暮らしていました。

 同じ年に、ポールという男の子と、ヴィルジニーという女の子が生まれました。 
 ポールとヴィ ルジニーは、まるで兄妹のように仲良く、一緒に育てられました。

 慎ましい暮らしでしたが、そこには美しい自然があり、母の愛がありました。
 二人は純粋無垢な自然児として成長し、お互いに愛情を抱くようになりました。

 いつまでも続くかと思われた、楽しくて幸せな日々・・・
 しかし、ヨーロッパから届いた一通の手紙によって、二人は・・・

 展開はとても分かりやすくて、結末も予想通りです。
 しかも、泣けます。さすが純愛小説の王道です。

 ところで、作者サン=ピエールの生涯が面白いです。
 彼もまたボーマルシェと同じく、フランス革命期の人。波乱に富んだ人生です。

 22歳で軍隊に入り、24歳で離脱し、ヨーロッパ中を3年間放浪します。
 虚しく時を過ごし、30歳でようやくモーリシャス島で職を得ました。

 滞在の2年余りは、仲間とうまくいかず不遇でしたが、のちに実を結びます。
 この間、モーリシャス島の風土に興味を持ち、自然を研究していたからです。

 そして帰国してから、あのジャン・ジャック・ルソーと知り合ったのです。
 ルソーの勧めで「自然の研究」を書くと、一躍時代の寵児となりました。

 そして革命の前年1788年に、その本の第4巻として出たのが本書です。
 「ポールとヴィルジニー」は、たちまち大評判になりました。

 この小説はのちに長く、純愛小説の王道として読まれ続けました。
 しかし、ルソーとの関係から考えると、違った面が見えてきます。

 物語を遮るかのように、時に語り手の老人が教訓を垂れます。
 島の自然の美しさとその恵み、西洋の文明の汚れとその暴虐。

 案外、作者の言いたかったことは、そこにあったのではないかと思います。
 「自然のうちや人の心のなかには無尽蔵の宝が宿っているのだ。」と。

 ナポレオンもまたこれを愛読し、サン・ピエールはドヌール勲章を受けます。
 ところでナポレオンは、どういう気持ちで次の一節を読んでいたでしょうか。

 「人間の一生というのは、そのあいだに何を企てようとも、
  結局は死を頂点とする小さな塔を建てるようなものだ。」(P214)

 さいごに。(プリクラ)

 土曜日に勇気を出して、娘と一緒にプリクラを撮りに行きました。
 今を逃すと、娘とプリクラを撮ることなんか、一生ないだろうと思ったので。

 最近のプリクラは、自動で(勝手に!)目を修正してくれたりするんですね。
 娘の顔はかわいくなったのですが、私の顔はちょっと気持ち悪くなりました。

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フィガロの結婚 [18世紀文学]

 「フィガロの結婚」 ボーマルシェ作 辰野隆訳 (岩波文庫)


 召使のフィガロが、愛し合う女と結ばれるため、伯爵と張り合う恋の戯曲です。
 「セビーリャの理髪師」の続編で、モーツァルトの歌劇でも有名な名作です。

 岩波文庫から出ている訳は、1952年のもので、少し読みにくいです。
 しかも、品切れ状態(ただし、現在アマゾンで1円)。新訳化を願っています。


フィガロの結婚 (岩波文庫 (32-522-1))

フィガロの結婚 (岩波文庫 (32-522-1))

  • 作者: ボオマルシェエ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1976/01
  • メディア: 文庫



 フィガロはかつて、主人である伯爵の恋を成就させるために、大活躍しました。
 しかし、伯爵の恋は醒めて、こともあろうにフィガロの婚約者を狙っています。

 伯爵の計略を知ったフィガロは、婚約者のシュザンヌを守るため立ち上がります。
 そして伯爵を相手に、さまざまな手を使って対等に渡り合い・・・

 前作同様、何といってもこの戯曲の魅力は、生き生きしたフィガロにあります。
 しかも、フィガロは進化しています。もう、ただの下僕ではありません。

 主人である伯爵に対して全く臆せず、かえって相手をやり込めてしまいます。
 いつも陽気で楽しく、決して諦めずしぶとく、勇気と機知で活躍します。

 フィガロの姿は、作者ボーマルシェ自身です。
 ボーマルシェもまた、階級社会をものともせず、才能を武器に生き抜きました。

 フィガロとボーマルシェの活躍は、フランス革命直前の社会を象徴しています。
 当時の雰囲気が肌で感じられるという点で、とても興味深い作品です。

 「フィガロの結婚」が出た数年後、モーツァルトはこれを歌劇にしました。
 定番はベーム盤ですが、長いし高い。とりあえず何でもいいからハイライト盤。

モーツァルト:フィガロの結婚

モーツァルト:フィガロの結婚

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1996/12/20
  • メディア: CD






モーツァルト:フィガロの結婚 ハイライツ

モーツァルト:フィガロの結婚 ハイライツ

  • アーティスト: カラヤン(ヘルベルト・フォン),モーツァルト,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/04/06
  • メディア: CD



 さいごに。(悪いとこ取り?)

 「ガラホって何?」と尋ねたら、「中身はガラケー、料金はスマホ」とのこと。
 「悪いとこ取りじゃないか」と言うと、「そうではない」と友人は言う。

 「ガラケーしか使えないのに、スマホの料金を払いたい人はいくらでもいる」と。
 そうだったのか!

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セビーリャの理髪師 [18世紀文学]

 「セビーリャの理髪師」 ボーマルシェ作 鈴木康司訳 (岩波文庫)


 ある令嬢に恋した貴族が、理髪師フィガロと組んで相手と張り合う恋の戯曲です。
 フィガロ三部作の第一作で、ロッシーニの歌劇によっても知られる名作です。

 岩波文庫から、2008年にせっかく新訳が出たのに、現在は品切れ状態です。
 訳が分かりやすくて、解説もしっかりしているので、復刊を強く願っています。


セビーリャの理髪師 (岩波文庫)

セビーリャの理髪師 (岩波文庫)

  • 作者: ボーマルシェ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/07/16
  • メディア: 文庫



 ロジーヌ嬢を追って、青年貴族アルマビーバは、セビーリャにやってきました。
 しかしロジーヌは、下心のある後見人によって、固く監視されています。

 なんとか後見人を出し抜いて、ロジーヌに接近したいアルマビーバ。
 味方をするのは、かつての下僕で、今は理髪師をしているフィガロ。

 後見人は、明日むりやりロジーヌと結婚するため、策略をめぐらし・・・
 アルマビーバとフィガロは、さまざまな手を打ってそれを防ぎますが・・・

 とても楽しい劇でした。笑いどころが満載です。
 くるくる回るように、物語はめまぐるしく展開しながら、結末へ向かいます。

 しかし、なんといっても、この劇の魅力は、フィガロによるものでしょう。
 タイトルから言っても、作者が描きたかったのは、フィガロでしょう。

 フィガロは、相手が医者であろうが貴族であろうが物怖じしません。
 生き生き動き回るフィガロは、まさに作者ボーマルシェの分身です。

 面白かったのは、作品だけではありません。
 訳者解説に書かれた、ボーマルシェの生涯は、とても興味深かったです。

 彼は、時計職人の子として生まれながら、宮廷に入り、どんどん出世しました。
 王の密使として働いたり、アメリカ独立戦争やフランス革命に関わったり・・・

 ヨーロッパを股にかけて、人生を存分に生きた男です。
 ボーマルシェは、革命期という時代の寵児でした。

 さて、「セビーリャの理髪師」の続編が、名高い「フィガロの結婚」です。
 モーツァルトの歌劇でも知られる、傑作中の傑作です。


フィガロの結婚 (岩波文庫 (32-522-1))

フィガロの結婚 (岩波文庫 (32-522-1))

  • 作者: ボオマルシェエ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1976/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(イケメンの美容師)

 娘によると、妻が行っている美容師は、けっこうイケメンだそうです。
 そういえば、美容院に行く日は、なんとなく妻がウキウキしているような・・・


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