八十日間世界一周 [19世紀フランス文学]
「八十日間世界一周(上)」 ヴェルヌ作 高野優訳 (光文社古典新訳文庫)
フォッグ氏が全財産と名誉を賭けて、八十日間での世界一周に挑む物語です。
1872年にフランスのヴェルヌによって発表された、冒険小説の古典です。
現在、光文社古典新訳文庫、岩波文庫等で、読むことができます。
最も読みやすかったのは、古典新訳文庫版です。すらすらと読めます。
原版の挿し絵も入っていて、当時の雰囲気をよく伝えてくれます。
(表紙絵は相変わらずちょっと「おバカ」ですが…)
岩波版にも同じ挿し絵が入っていますが、古典新訳版より細かくて見にくいです。
同小説は、創元SF文庫や角川文庫でも出ていますが、挿し絵が入っていません。
ところで、八十日という期限が、旅行を無意味なものにしています。
どこへ行っても、観光はほとんどしません。
ただ、乗り物を乗り継ぐだけなのです。
莫大な金額を費やして、せかせかと、世界をひと周りしただけです。
この無意味さに、現代文明に対する批判が含まれているように思えます。
ところが、八十日という期限が、小説を面白くもしているのです。
この期限が守れない時は、フォッグ氏は全財産を失ってしまうのです。
次から次に起こる難問に、ずっとハラハラさせられました。
しかし、フォッグス氏は、いつも冷静そのものです。
何事が起こっても、顔色ひとつ変えません。
彼については、次のように書かれています。
「いや、フォッグス氏は人間ではない。
現代科学が生みだした精密機械であった」(上P135)
しかし、実際はとても味わい深い人物です。
貧しい人にはお金を恵み、危機に陥った美女がいれば救出に向かいます。
また、決して召使や仲間を見捨てません。
それから、すごい発想力です。
どんな困難にも、驚くような解決法を見つけます。
乗船予定の船が、目の前で出ていった時、フォッグ氏はどうしたか!
海上で、船の燃料が無くなった時、フォッグ氏はどうしたか!
読み進むに従い、フォッグ氏の魅力のとりことなっていきます。
この小説の魅力の多くは、フォッグ氏という主人公の魅力によるものでしょう。
ところで、精密機械のようなフォッグ氏が、一つだけ計算ミスをしました。
それは… ああ、結末の大どんでん返し、うますぎです。
それから、この無意味と思われる旅から、フォッグ氏が得たものがありました。
それは… ああ、本当にこの結末、うますぎです。
さて、作者ジュール・ヴェルヌは、空想科学小説の父と言われた人です。
イギリスのウェルズと混同しやすいですが、ヴェルヌはフランス人です。
文庫の紹介文によると、ヴェルヌは十二歳の時に密航を試みて捕まりました。
その時、「これからは空想のなかだけで旅をする」と言ったとか。
実際に「海底二万里」「地底探検」など、空想の中で驚異的な旅をしています。
余談ですが、この小説は、明治初期に河島忠之助によって訳されました。
日本最初の、翻訳フランス小説として、知られています。
さいごに。
娘が、スプーンを持って来て、「ほら、見て、さかさまだよ」と言うので、
スプーンをのぞいてみたら、確かに顔が上下逆さまに映っていました。
驚きました。
私が気付かなかったことを、娘は自分で発見していたのです。
私が驚いたので、娘は得意になって、もうひとつ教えてくれました。
それは、スプーンの裏側では、さかさまに映らないということです。
フォッグ氏が全財産と名誉を賭けて、八十日間での世界一周に挑む物語です。
1872年にフランスのヴェルヌによって発表された、冒険小説の古典です。
現在、光文社古典新訳文庫、岩波文庫等で、読むことができます。
最も読みやすかったのは、古典新訳文庫版です。すらすらと読めます。
原版の挿し絵も入っていて、当時の雰囲気をよく伝えてくれます。
(表紙絵は相変わらずちょっと「おバカ」ですが…)
岩波版にも同じ挿し絵が入っていますが、古典新訳版より細かくて見にくいです。
同小説は、創元SF文庫や角川文庫でも出ていますが、挿し絵が入っていません。
ところで、八十日という期限が、旅行を無意味なものにしています。
どこへ行っても、観光はほとんどしません。
ただ、乗り物を乗り継ぐだけなのです。
莫大な金額を費やして、せかせかと、世界をひと周りしただけです。
この無意味さに、現代文明に対する批判が含まれているように思えます。
ところが、八十日という期限が、小説を面白くもしているのです。
この期限が守れない時は、フォッグ氏は全財産を失ってしまうのです。
次から次に起こる難問に、ずっとハラハラさせられました。
しかし、フォッグス氏は、いつも冷静そのものです。
何事が起こっても、顔色ひとつ変えません。
彼については、次のように書かれています。
「いや、フォッグス氏は人間ではない。
現代科学が生みだした精密機械であった」(上P135)
しかし、実際はとても味わい深い人物です。
貧しい人にはお金を恵み、危機に陥った美女がいれば救出に向かいます。
また、決して召使や仲間を見捨てません。
それから、すごい発想力です。
どんな困難にも、驚くような解決法を見つけます。
乗船予定の船が、目の前で出ていった時、フォッグ氏はどうしたか!
海上で、船の燃料が無くなった時、フォッグ氏はどうしたか!
読み進むに従い、フォッグ氏の魅力のとりことなっていきます。
この小説の魅力の多くは、フォッグ氏という主人公の魅力によるものでしょう。
ところで、精密機械のようなフォッグ氏が、一つだけ計算ミスをしました。
それは… ああ、結末の大どんでん返し、うますぎです。
それから、この無意味と思われる旅から、フォッグ氏が得たものがありました。
それは… ああ、本当にこの結末、うますぎです。
さて、作者ジュール・ヴェルヌは、空想科学小説の父と言われた人です。
イギリスのウェルズと混同しやすいですが、ヴェルヌはフランス人です。
文庫の紹介文によると、ヴェルヌは十二歳の時に密航を試みて捕まりました。
その時、「これからは空想のなかだけで旅をする」と言ったとか。
実際に「海底二万里」「地底探検」など、空想の中で驚異的な旅をしています。
余談ですが、この小説は、明治初期に河島忠之助によって訳されました。
日本最初の、翻訳フランス小説として、知られています。
さいごに。
娘が、スプーンを持って来て、「ほら、見て、さかさまだよ」と言うので、
スプーンをのぞいてみたら、確かに顔が上下逆さまに映っていました。
驚きました。
私が気付かなかったことを、娘は自分で発見していたのです。
私が驚いたので、娘は得意になって、もうひとつ教えてくれました。
それは、スプーンの裏側では、さかさまに映らないということです。
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