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チェーホフ短編集 [19世紀ロシア文学]

 「チェーホフ短篇集」 チェーホフ作 松下裕編訳 (ちくま文庫)


 男女の恋をテーマにした短編集で、12編の作品を収録しています。
 名作「犬をつれた奥さん」「かわいいひと」などが、入っています。

 現在、ちくま文庫のほか、新潮文庫、岩波文庫などから出ています。
 私が一番読みやすかったのは、ちくま文庫の松下訳です。


チェーホフ短篇集 (ちくま文庫)

チェーホフ短篇集 (ちくま文庫)

  • 作者: アントン・パーヴロヴィチ チェーホフ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/08/10
  • メディア: 文庫



 例によって、神西訳は名訳と言われています。岩波文庫から出ています。
 新潮文庫の小笠原訳も分かりやすい。名作「谷間」も収録されています。


可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)

可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)

  • 作者: チェーホフ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/09/16
  • メディア: 文庫



かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

  • 作者: チェーホフ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1970/11
  • メディア: 文庫



 ちくま文庫版の12編中で、私が一番気に入ったのは、「犬をつれた奥さん」。
 妻子ある中年男と、美しい人妻との、恋の物語です。

 こう言うと、単なる不倫の話だろ、と思われそうですが、そうではありません。
 テーマは、「本当の愛」・「本当の生活」です。

 二重生活を送りながら、グーロフは不思議に思うのです。
 愛人とひそかに営まれる生活にこそ、自分の生活の核心があるのだ。
 そして、妻と公然と営む生活は、その隠れみのにしか過ぎないと…

 甘く切ない物語の中で、人生というものの不思議さを、描き出しています。
 実に、チェーホフらしい作品です。

 また、「かわいいひと」も、「犬をつれた奥さん」同様、作者の代表的短編です。
 常に誰かしらを愛せずにはいられない女性、オーレニカの物語です。

 悪女を描いた「アリアードナ」は、娼婦マノンを連想させる作品で面白い。
 ほか、希望と幻滅を描いた「くちづけ」と「国語の教師」も、捨てがたい作品です。
 と、なかなか読みごたえのある作品集でした。

 さいごに。(うちの生意気な娘)

 「いつまで、こうやって、お前はパパを、相手にしてくれるのかな」
 と、先日ぽろりと、娘の前で言ってしまいました。

 それからというもの、娘は大いばりです。
 「パパ、遊んで!」それから「遊んでくれなかったら、もう遊んであげないよ!」
 ああ、憎らしい、憎らしい。

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