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長距離走者の孤独 [20世紀イギリス文学]

 「長距離走者の孤独」 アラン・シリトー作 河野一郎・丸谷才一訳


 感化院の長距離走者の反抗を描いた表題作など、全8編を収めた短編集です。
 爆発的人気を博した「土曜日の夜と日曜日の朝」に続く作品です。

 新潮文庫と集英社文庫から出ていますが、どちらも訳者は同じです。
 河野が6編、丸谷が2編を訳しています。リズムがあって読みやすい訳です。


長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

  • 作者: アラン シリトー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1973/09/03
  • メディア: 文庫



長距離走者の孤独 (集英社文庫 1-A)

長距離走者の孤独 (集英社文庫 1-A)

  • 作者: アラン・シリトー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1977/05
  • メディア: 文庫



 17歳のスミスは、感化院に入るとすぐ、クロスカントリーの選手に選ばれました。
 長距離走者としての能力をめきめきと発揮し、感化院の院長にも期待されます。

 しかし、スミスはあることを企んでいて・・・
 そして、レースのゴール直前で・・・

 冒頭の「長距離走者の孤独」の魅力は、なんといってもその語り口です。
 次のような、刺激的で痛快な言葉に満ちています。(P9)

 「人生で物を言うのはずるさだ。そのずるさも、できるだけ抜け目なく使わなきゃ
 だめだ。はっきり言っておこう・・・奴らはずるいが、おれも負けずにずるいと。」

 正直に言って、最初にこの本を買ったとき、私は陸上小説だと思っていました。
 新潮版も集英社版も、カバーが誤解を与えやすい。(新潮版のカバーは秀逸だが)

 また、「長距離走者の孤独」は、丸谷が訳しているかと思っていました。実際は河野。
 いろいろと誤解もありましたが、作品はとても面白かったです。訳もすばらしい。

 さて、ほかの作品では、「土曜の午後」が良いです。
 わずか14ページですが、強烈な印象が残ります。

 「長距離走者の孤独」は、出版の4年後の1962年にイギリスで映画化されました。 
 タイトルは「長距離ランナーの孤独」。DVDも出ています。ちょっと見てみたい。


長距離ランナーの孤独 [DVD]

長距離ランナーの孤独 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2013/02/22
  • メディア: DVD



 さいごに。(4月の本代は2万円、妻激怒)

 4月の本代は2万円。うかつにも、妻の前でそれをポロリと言ってしまいました。
 妻は怒った! もちろん、自分の小遣いで買ったのですが、そういう問題ではない。

 妻は買いたいものを我慢して、必死に生活費を節約している状態です。
 しかも、収入が減った昨年、私の小遣いは据え置いてくれたのでした。
 怒るのも当然。今後はこっそり買わなければ。(そういう問題か?)

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