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ホーソーン短篇小説集 [19世紀アメリカ文学]

 「ホーソーン短篇小説集」 坂下昇編訳 (岩波文庫)


 「緋文字」で有名なホーソーンの、初期の短編小説集です。
 ボルヘスが激賞した「ウェイクフィールド」等を収録しています。

 先月5月に、岩波文庫から復刊されました。13編を収録しています。
 初版は1993年ですが、訳はいつのものか? 少し読みにくかったです。


ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

ホーソーン短篇小説集 (岩波文庫)

  • 作者: ホーソーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/07/16
  • メディア: 文庫



 不思議な話、怖い話、不気味な話など、色とりどりです。
 個人的には、ポーやホフマンの短編小説を連想しました。

 「ヤング・グッドマン・ブラウン」は、魔女の集いを扱う怪奇小説です。
 ホーソーンの特徴をよく表した作品だと、言われています。

 若いブラ ウンが、妻を残して、連れと一緒に、夜の夜の森に入ります。
 どんな目的があるのか? どこへ向かっているのか?

 森で出合った意外な人々・・・ 集いの場で見た驚くべき光景・・・
 あれは夢だったのでしょうか。今でも私はよく分かりません。

 「牧師の黒ベール」もまた、ホーソーンらしい心理小説の傑作です。
 「緋文字」の原型となる要素が見られて、興味深い作品です。

 ある日を境に、突然黒いベールを付けるようになった牧師。
 彼に何があったのか? なぜベールを付けるのか?

 人々の様々な憶測・・・ 牧師の謎めいた言葉・・・
 牧師に何があったのか。今でも私はよく分かりません。

 そして、私のイチオシ の作品が、「ウェークフィールド」です。
 人間心理の不可解さを感じる物語で、ボルヘスも絶賛しました。

 「金曜日の夕方の食事には待っていていい」
 ある日、妻にそう告げて、ウェークフィールド氏はふらっと出かけました。

 そして、そのまま20年間戻らず・・・ その間彼が住んでいたのは・・・
 私にとっては、他の怪奇小説よりも不気味でした。

 その他、ある彫刻師を描いた「ドゥラウンの木像」も、印象的な作品です。
 「石の心の男」「大いなる岩の顔」なども、捨てがたい作品です。

 ところで、この本の訳は、言葉遣いが古すぎる部分がありました。
 「弥終(いやはて)」とか「漆黒(ぬばたま)」とか。(P66~P67)

 古典新訳文 庫の小川訳「緋文字」は、とても分かりやすかったです。
 ホーソーンの短編集も、小川訳を出してもらえたらありがたいです。

 さて、ホーソーンを、誰よりも賛美したのが、ヘンリー・ジェイムズです。
 ジェイムズは、ホーソーンの評伝も書いていますが、文庫では読めません。

 さいごに。(驚愕のパケット代。ああ、おそろしや)

 どんな怪奇小説よりも怖かった。
 なんと、ケータイのパケット代が7500円。

 私はケータイを二日に一度ぐらいしか使いません。それも、eメールだけ。
 利用料は月に2000円ほどですが、それでも高いと思っています。

 「たまにはケータイで写真を撮ってみよう」そう思ったのが間違いでした。
 撮った写真10枚を、2度に分けて、自分のパソコンに送ったのですが・・・

 「パケット代が高額になる可能性があります」みたいな警告が出ました。
 「ひょっとしたら、500円くらいになるかな」と、私は思いました。
 普段、パケット代がほぼ0円の私にとって、500円は高額なので。

 それが、7500円とは! もちろん、悪いのは自分です。
 でも、どこかで、こう思ってしまう。「罠にかかってしまった」と。
 自分のケータイが、得体の知れぬ不可解なモノに、見えてきました。


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