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情事の終り [20世紀イギリス文学]

 「情事の終り」 グレアム・グリーン作 上岡伸雄訳 (新潮文庫)


 ある著名作家と、高級官僚の妻との、愛と情事と祈りと信仰の物語です。
 「第三の男」で有名な作者の、代表作と考えられている作品です。

 新潮文庫から、今年5月に新訳が出たので、6年ぶりに読み直しました。
 旧版の田中訳よりも、分かりやすい文章でした。


情事の終り (新潮文庫)

情事の終り (新潮文庫)

  • 作者: グレアム グリーン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/04/28
  • メディア: 文庫



 時は第二次大戦中。主人公は、ロンドンの著名な作家ベンドリックス。
 彼は、高級官僚の妻サラと、数年にわたって情事を繰り返してきました。

 二人は、街が爆撃されている間も、お互いを激しく求めあっていました。
 そんなある夜、ミサイルが近くに落ちてきたのです。

 ベンドリックスは負傷し、ほんのしばらくの間、気を失っていました。
 しかし意識を取り戻した時、愛するサラは変わってしまっていたのです。

 サラは、いったいどうして、彼との関係を終わらせたのか?
 その時サラに、いったい何が起こったのか?
 そしてサラが、「あなた」と呼ぶ存在は、いったい何なのか?

 探っていくうちに、事情はますます複雑に絡み合ってきます。
 そして愛の問題は、いつしか信仰の問題と関わってきて・・・

 本当にすばらしい小説です。オススメです。もっと読まれていい作品です。
 6年前に読んだ時、最後は泣きそうになりましたが、今回もヤバかったです。

 もし、自分を捨てた憎い女が、本当は一途に自分を愛していたとしたら?
 そしてもし、そういう事情を知らずに、自分は相手を苦しめていたとしたら?

 今回も、サラのことが、かわいそうで、かわいそうで。
 そして、こんな試練を課した「神」が、憎くて憎くて。

 さて、解説によると、この作品の情事は、作者自身の情事に基づいているという。
 彼は、大富豪の夫人キャサリンと、十数年間も恋愛関係をもっていたそうです。

 グリーン自身には妻があり、カトリックだったため、離婚ができませんでした。
 ちなみに、扉ページの「Cに」というのは、「キャサリン」の頭文字です。

 ひょっとしたら、彼がノーベル賞を取れなかったのは、不倫関係が原因か。
 それは考えすぎでしょうか。

 この作品については、まだまだ書き足りない気がします。
 それはまた次回に。

 さいごに。(奥大井湖上駅)

 11月3日に、家族3人で、奥大井湖上駅に行ってきました。
 湖の上にぽつりとある不思議な駅で、ちょっとした名所です。

 ここを起点にハイキングをしました。約3km、1時間半です。
 紅葉には、まだちょっと早かったです。

DSCF1111-2.jpg

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