新トロイア物語 [日本の現代文学]
「新トロイア物語」 阿刀田高 (講談社文庫)
(今回もネタバレが多めです)
アイネイアスを中心に、トロイア戦争から新トロイア建国までを描く歴史物語です。
古代の叙事詩に、作者独自の味付けを施しています。吉川栄治文学賞受賞作です。
講談社文庫から出ていましたが品切れです。アマゾンで、現在なんと1円。
700ページ近くあるぶ厚い本で、税込みで1000円ほどでした。
トロイアの王家につながるアイネイアスは、6歳の時に神託を授けられました。
「その母は美と愛の女神。類なき勇者となり、西国に赴いて一城の主となる。」
たくましく育ったアイネイアスは、パリス王子とともにスパルティに来ました。
そこで、パリスによるヘレネ誘拐に立ち合ってしまいました。
この事件をきっかけに、アガメムノン率いるギリシア軍が攻め寄せて・・・
トロイアは、ヘクトルが中心となって守るが・・・
ホメロスの「イリアス」、クイントゥスの「トロイア戦記」、ヴェルギリウスの
「アイネイアス」など、多くの古代の叙事詩をつなぎ合わせて語られていきます。
それだけでなく、時に作者独自の解釈が入り、作者独自の味付けがなされます。
例えば、あの有名な「トロイの木馬」は、兵士を忍ばせる作戦ではなく・・・
ほかにも、アイネイアスの本当の母親は誰かとか、ヘクトルがヘレネに優しかっ
た理由だとかが、作品の中に盛り込まれていて、読んでいて楽しいです。
ところで、主人公がアイネイアスであることに、私は最初戸惑いました。
彼は、アキレウスやヘクトルの陰に隠れて、地味な印象しかない武将なので。
そして後半、アイネイアス西進の物語が続くことに、私はまた戸惑いました。
この作品は、トロイア戦争だけを、取り扱っていると思っていたので。
しかし違いました。「新トロイア」とは、西方で再建したトロイア国のことです。
この小説は、アイネイアスが「新トロイア」を建国するまでの物語なのです。
だから、前半はアイネイアスの成長と、トロイアの陥落までが描かれていて、
後半はアイネイアスが西に進み、新トロイアを建国するまでが描かれています。
実に壮大な物語です。古代史マニアにはたまらない作品です。
「阿刀田高『新トロイア物語』を読む」という解説書(未読)も出ています。
同じ阿刀田高による作品では、「獅子王アレクサンドロス」が気になります。
アレクサンドロス大王の物語です。ただしこちらも品切れ。復刊を期待。
ローマ詩人ヴェルギリウスの「アイネイアス」は、絶対読みたいのですが・・・
文庫では出ていない。復刊の気配が無い。古本は高い。解決策を模索中です。
さいごに。(木登り)
娘は、ひとつ上の仲の良い従妹と会うと、たちまち木登りを始めました。
普段は木登りなんてしません。やはり子供は、子供同士で遊ぶのが一番ですね。
(今回もネタバレが多めです)
アイネイアスを中心に、トロイア戦争から新トロイア建国までを描く歴史物語です。
古代の叙事詩に、作者独自の味付けを施しています。吉川栄治文学賞受賞作です。
講談社文庫から出ていましたが品切れです。アマゾンで、現在なんと1円。
700ページ近くあるぶ厚い本で、税込みで1000円ほどでした。
トロイアの王家につながるアイネイアスは、6歳の時に神託を授けられました。
「その母は美と愛の女神。類なき勇者となり、西国に赴いて一城の主となる。」
たくましく育ったアイネイアスは、パリス王子とともにスパルティに来ました。
そこで、パリスによるヘレネ誘拐に立ち合ってしまいました。
この事件をきっかけに、アガメムノン率いるギリシア軍が攻め寄せて・・・
トロイアは、ヘクトルが中心となって守るが・・・
ホメロスの「イリアス」、クイントゥスの「トロイア戦記」、ヴェルギリウスの
「アイネイアス」など、多くの古代の叙事詩をつなぎ合わせて語られていきます。
それだけでなく、時に作者独自の解釈が入り、作者独自の味付けがなされます。
例えば、あの有名な「トロイの木馬」は、兵士を忍ばせる作戦ではなく・・・
ほかにも、アイネイアスの本当の母親は誰かとか、ヘクトルがヘレネに優しかっ
た理由だとかが、作品の中に盛り込まれていて、読んでいて楽しいです。
ところで、主人公がアイネイアスであることに、私は最初戸惑いました。
彼は、アキレウスやヘクトルの陰に隠れて、地味な印象しかない武将なので。
そして後半、アイネイアス西進の物語が続くことに、私はまた戸惑いました。
この作品は、トロイア戦争だけを、取り扱っていると思っていたので。
しかし違いました。「新トロイア」とは、西方で再建したトロイア国のことです。
この小説は、アイネイアスが「新トロイア」を建国するまでの物語なのです。
だから、前半はアイネイアスの成長と、トロイアの陥落までが描かれていて、
後半はアイネイアスが西に進み、新トロイアを建国するまでが描かれています。
実に壮大な物語です。古代史マニアにはたまらない作品です。
「阿刀田高『新トロイア物語』を読む」という解説書(未読)も出ています。
同じ阿刀田高による作品では、「獅子王アレクサンドロス」が気になります。
アレクサンドロス大王の物語です。ただしこちらも品切れ。復刊を期待。
ローマ詩人ヴェルギリウスの「アイネイアス」は、絶対読みたいのですが・・・
文庫では出ていない。復刊の気配が無い。古本は高い。解決策を模索中です。
さいごに。(木登り)
娘は、ひとつ上の仲の良い従妹と会うと、たちまち木登りを始めました。
普段は木登りなんてしません。やはり子供は、子供同士で遊ぶのが一番ですね。
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