オデュッセイア2 [古代文学]
「オデュッセイア(下)」 ホメロス作 松平千秋訳 (岩波文庫)
(今回もネタばれが多めです)
ギリシアの英雄オデュッセウスの、10年間の漂流から帰郷するまでの物語です。
「イリアス」の続編で、最古期のギリシア叙事詩であり、最高傑作の一つです。
岩波文庫から出ています。初版は1994年。比較的新しいため、読みやすいです。
全24歌には、それぞれタイトルと梗概が補われていて、理解を助けてくれます。
オデュッセウスはパイエケス人に送られ、故郷イタケに帰ることができました。
みすぼらしい物乞いの老人に変装して、忠僕の豚飼エウマイオスを訪ねました。
そこへテレマコスが立ち寄り、20年ぶりに父子が再会することができました。
オデュッセイアは息子だけに素性を明かし、ある計略を練って・・・
冒頭では頼りなかったテレマコスが、驚くほど立派になって再登場しました。
彼を大きく成長させたのは、父親探しの旅か、それとも父親の存在か?
一方、妻の鑑とされるペネロペイアは、最後まで悲しいほどダメダメでした。
彼女はただ貞淑なだけで、愛する夫を思い出しては泣き、そして眠ります。
しかも、夫に会っても全く気付かないし、夫が名乗っても信じないし。
本当に夫を愛していたのか? 本当はバカじゃないのか?
オデュッセウスが帰還するや否や、愛犬はその変装を見破って近寄りました。
直後、安心したように死んでいくところは、ちょっといいエピソードでした。
「イリアス」同様、この叙事詩は「死すべき宿命を担う唯の人間」の物語です。
相変わらず、人間たちは神々に翻弄されている、みじめではかない存在です。
人間が窮地に立つのは、落ち度によってではなく、神の怒りによってです。
人間が窮地を脱するのは、知恵によってではなく、神の加護によってです。
しかし、身のほどを知ったうえで全力で運命を切り開く姿に、感動があります。
オデュッセウスをアテナイ神が支え続けるのは、彼の堅忍不抜さゆえでしょう。
さて、「イリアス」と比べてみると、さまざまな相違点が目につきました。
全体的に「オデュッセイア」の方が、良くも悪くも通俗的という感じでした。
「イリアス」は、格調高い芸術的な叙事詩。
「オデュッセイア」は、読んで楽しい娯楽的な読み物。という感じでした。
「イリアス」で印象的だったのは戦闘の場面で、リアルで怖かったです。
剣で脊髄を二つに切られるとか、槍で頭を突かれて脳髄が兜にあふれるとか。
一方、「オデュッセイア」で印象的だったのは、漂流譚の怪物たちです。
恐ろしい怪物が次々に現れましたが、空想的なのでむしろ怖くなかったです。
二作品の内容は大きく違うので、はるか昔から偽作説がありました。
ということが、上巻の解説に書かれてあったので、ありがたかったです。
さいごに。(49歳)
先日49歳になりました。いろいろな場面で歳を感じています。
いつもこの時期、体重が65キロまで減るのですが、今年は67キロあります。
特に、おなかまわりがゆるゆるになってきたのが気になります。
少しずつ腹筋のトレーニングをしていますが、なかなか・・・
(今回もネタばれが多めです)
ギリシアの英雄オデュッセウスの、10年間の漂流から帰郷するまでの物語です。
「イリアス」の続編で、最古期のギリシア叙事詩であり、最高傑作の一つです。
岩波文庫から出ています。初版は1994年。比較的新しいため、読みやすいです。
全24歌には、それぞれタイトルと梗概が補われていて、理解を助けてくれます。
オデュッセウスはパイエケス人に送られ、故郷イタケに帰ることができました。
みすぼらしい物乞いの老人に変装して、忠僕の豚飼エウマイオスを訪ねました。
そこへテレマコスが立ち寄り、20年ぶりに父子が再会することができました。
オデュッセイアは息子だけに素性を明かし、ある計略を練って・・・
冒頭では頼りなかったテレマコスが、驚くほど立派になって再登場しました。
彼を大きく成長させたのは、父親探しの旅か、それとも父親の存在か?
一方、妻の鑑とされるペネロペイアは、最後まで悲しいほどダメダメでした。
彼女はただ貞淑なだけで、愛する夫を思い出しては泣き、そして眠ります。
しかも、夫に会っても全く気付かないし、夫が名乗っても信じないし。
本当に夫を愛していたのか? 本当はバカじゃないのか?
オデュッセウスが帰還するや否や、愛犬はその変装を見破って近寄りました。
直後、安心したように死んでいくところは、ちょっといいエピソードでした。
「イリアス」同様、この叙事詩は「死すべき宿命を担う唯の人間」の物語です。
相変わらず、人間たちは神々に翻弄されている、みじめではかない存在です。
人間が窮地に立つのは、落ち度によってではなく、神の怒りによってです。
人間が窮地を脱するのは、知恵によってではなく、神の加護によってです。
しかし、身のほどを知ったうえで全力で運命を切り開く姿に、感動があります。
オデュッセウスをアテナイ神が支え続けるのは、彼の堅忍不抜さゆえでしょう。
さて、「イリアス」と比べてみると、さまざまな相違点が目につきました。
全体的に「オデュッセイア」の方が、良くも悪くも通俗的という感じでした。
「イリアス」は、格調高い芸術的な叙事詩。
「オデュッセイア」は、読んで楽しい娯楽的な読み物。という感じでした。
「イリアス」で印象的だったのは戦闘の場面で、リアルで怖かったです。
剣で脊髄を二つに切られるとか、槍で頭を突かれて脳髄が兜にあふれるとか。
一方、「オデュッセイア」で印象的だったのは、漂流譚の怪物たちです。
恐ろしい怪物が次々に現れましたが、空想的なのでむしろ怖くなかったです。
二作品の内容は大きく違うので、はるか昔から偽作説がありました。
ということが、上巻の解説に書かれてあったので、ありがたかったです。
さいごに。(49歳)
先日49歳になりました。いろいろな場面で歳を感じています。
いつもこの時期、体重が65キロまで減るのですが、今年は67キロあります。
特に、おなかまわりがゆるゆるになってきたのが気になります。
少しずつ腹筋のトレーニングをしていますが、なかなか・・・
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