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ガリア戦記 [古代文学]

 「ガリア戦記」 カエサル著 國原吉之助訳 (講談社学術文庫)


 カエサルがガリア総督だった8年間に、ガリア全域を征服した戦争を記したものです。
 ローマ人に戦果を知らせるためカエサル自身が記録しました。ラテン語の名文です。

 現在、講談社学術文庫と岩波文庫から出ています。私が読んだのは講談社学術文庫版。
 訳は古いけど読みやすかったです。図が豊富で良かったです。地図も付いています。


ガリア戦記 (講談社学術文庫)

ガリア戦記 (講談社学術文庫)

  • 作者: カエサル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/04/28
  • メディア: 文庫



 岩波文庫版の近山訳も古いけど分かりやすいです。第8巻は省かれています。
 小林英雄が紹介したことから、近山訳にこだわる人も多いです。


ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)

ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)

  • 作者: カエサル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1941/02/05
  • メディア: 文庫



 属州ガリアの総督となったカエサルは、元老院から軍事指揮権を委ねられました。
 前58年から8年間かけて、カエサルはガリア(現フランス)全域を平定しました。

 訳者によると、カエサルは4~5万の軍団兵と同数の援軍で、300万の敵と戦い、
 100万人を殺し、100万人を捕虜にしたと言います。本書はその記録です。

 文体は軍人らしく簡潔明瞭です。記述は客観的で事実を淡々と述べています。
 そして最大の魅力は、2000年前に生きたカエサルの生の声を聞けることでしょう。

 「この困難は、ただ機敏な行動によってのみ克服される。成功は戦闘そのものに
 ではなく、機会を上手くつかむことにある。」(P278)

 「プルタルコス英雄伝」によると、カエサルは奴隷に口述筆記させていました。
 だから本書はまさに、カエサルの肉声を聞くようなものです。

 第1巻。前58年。ヘルウェティイ族との戦い。アリオウィストゥスとの戦い。
 第2巻。前57年。ベルガエ人との戦い。
 第3巻。前56年。大西洋沿岸部族との戦い。
 第4巻。前55年。第一次ゲルマニア遠征。第一次ブリタンニア遠征。
 第5巻。前54年。第二次ブリタンニア遠征。ガリア人による反乱と襲撃。
 第6巻。前53年。第二次ゲルマニア遠征。ガリアとゲルマニアについて。
 第7巻。前52年。ウェルキンゲトリクスによる反乱。ガリア人の総蜂起。
 第8巻。前51年。諸族の反乱と戦後処理。(部下のヒルティウスの記述)

 特に印象に残るのは第7巻で、好敵手ウェルキンゲトリクスが登場します。
 ガリア人を解放するために活躍したガリアの英雄です。

 ウェルキンゲトリクスは、ガリアの町々を自らの手で焼き払わせました。
 この焦土作戦は、ローマ軍を食糧不足で悩まし、追い詰めていきました。

 カエサルはゲルゴウィアの戦闘で敗れ、仲間のガリア人には裏切られ・・・
 ウェルキンゲトリクスは城市アレシアで包囲され、援軍を頼みますが・・・

 カエサルもかっこいいけど、ウェルキンゲトリクスもかっこいいです。
 ふと気付くと、どちらも応援しながら読んでいました。

 手に汗を握る展開です。第7巻だけは、続けて二度読んでしまいました。
 ウェルキンゲトリクスはwikipediaにも載っています。有名なんですね。

 ほかにも、百人隊長ペトロニウスの最期、敵将カムロゲヌスの最期、
 敵陣におけるクリトグナトゥスの演説など、第7巻は読みどころ満載です。

 さて、講談社学術文庫版には、巻末に図入りの「専門語略解」があります。
 これがとても便利でした。例えばP406の「攻略」の図などはすばらしい。

 また、「遠征の地図」も付いていて、カエサルの各年の進軍が分かります。
 この地図で場所を確かめながら読むと、内容が断然面白くなります。

 「ガリア戦記」の続編が「内乱記」。カエサルとポンペイウスの戦いです。
 こちらも講談社学術文庫から國原訳が出ています。


内乱記 (講談社学術文庫)

内乱記 (講談社学術文庫)

  • 作者: カエサル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/06/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(前期終了)

 娘の小学校の前期が終わりました。娘はとてもほっとしています。
 というのも、学級委員が変わるため。やはり娘には荷が重かったようです。


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