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葡萄が目にしみる [日本の現代文学]

 「葡萄が目にしみる」 林真理子 (角川文庫)


 ブドウ作りの盛んな田舎町を舞台に、乃里子の思春期を描いた自伝的小説です。
 直木賞候補となった作品で、現在も角川文庫から出ているロングセラー本です。


葡萄が目にしみる (角川文庫)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1986/03
  • メディア: 文庫



 ブドウ農家の乃里子は、不美人で動作が鈍くて、あまりパッとしない女の子です。
 友だちから「メスカバちゃん」と呼ばれたりしていて、強い劣等感を持っています。

 一念発起して進学校に入ると、さまざまな個性ある男女と出会って・・・
 初恋の先輩保坂への淡い思い、ラグビー部のスター選手岩永に感じる恋心・・・

 この小説を読んだのは、今から20年近く前で、私は30歳ぐらいの頃でした。
 人生の一番良い時期が過ぎ去って、失われた青春を懐かしく思い出す時期です。

 「葡萄が目にしみる」は瑞々しくて少し切なくて、まったく期待通りの作品でした。
 今でも、女子を主人公にした青春小説の中では、最高の作品だと思っています。

 特に印象的だったのは第7章で、席替えの時に、岩永に啖呵を切る場面です。
 「あんた失礼だよ」と言って、相手をたじろがせたところまでは良かったが・・・

 彼らの不器用なやり取りの中に、青春期特有の純情さが見られるように思います。
 作品全体が飾らず素朴で、素直に分かりやすく書かれている点が、好感が持てます。

 そして、ラストの再会の場面! この場面が、じーんときます。
 かつて読んだときは、ここで涙が出そうになってしまいました。

 ところが、この場面が「甘すぎる」という批判があるらしいのです。
 確かにこの偶然は出来すぎてはいますが、でも、小説なんだからいいではないか!

 また読みたい小説です。そして、誰にでも自信をもっておススメできる小説です。
 ところで、作者の代表作は「不機嫌の果実」でしょうか。こちらは不倫小説です。

 NHKで「花子とアン」がやっていた頃、「白蓮れんれん」が話題になりました。
 しかし、私が気になっているのは「六条御息所源氏がたり」。いずれも未読です。


不機嫌な果実 (文春文庫)

不機嫌な果実 (文春文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/01/10
  • メディア: 文庫



白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/09/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(大学図書館)

 今年も、母校の大学祭に娘を連れて行きました。
 もう4年生なので、娘は友達と合流して、勝手に行動してくれました。

 そこで私は、大学図書館に入りました。なんと、27年ぶりです!
 学生の頃はよく昼寝をしに来ました。定年になったら勉強しに来たいです。

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