消しゴム [20世紀フランス文学]
「消しゴム」 ロブ=グリエ作 中条省平訳 (光文社古典新訳文庫)
殺人事件を解決するためにやってきた若き捜査官の、24時間を描いた物語です。
新しい小説(ヌーヴォー・ロマン)の文学運動は、この作品から始まりました。
長い間入手困難の作品でしたが、2013年に古典新訳文庫から出ました。
1378円しますが、その価値はあります。また、解説がすばらしいです。
特別捜査官ヴァラスは、殺人事件の解決のため、この街にやって来ました。
殺されたのはデュポンという大学教授で、大富豪の中年男性です。
しかし、肝心の死体は誰かによって、どこかへ持ち去られていました。
おまけに、他殺なのか自殺なのかも、よくわかりません。
ヴァラスは自分で推理を組み立て、街を歩き回って糸口を探しますが・・・
曖昧な証言や偶然の出来事に翻弄され、やがて皮肉な結末に導かれ・・・
私はこの作品を、探偵小説だと思っていました。
だから、「序幕」を読んだ時点で仰天しました。
始まってすぐ、主人公が動き出さないうちに、犯人が明かされているのです。
犯人はガリナティ。ああ、終幕まであと400ページ近くあるというのに!
特別捜査官として派遣されてきたのは、ヴァラスという若い男です。
ヴァラスが町をさまよう姿は、人生をさまよう姿に似ています。
街のあちこちを巡りながら、時間も前へ後へと行き来します。
街の細部ははっきり見えるのに、全体像は靄がかかったように曖昧です。
事件の全体像も、なかなかはっきり見えてきません。
歩き回れば歩き回るほど、迷路に迷い込んでいくような感じがします。
そして驚いたことに、最後まで真相はよく分からないのです。
最後まで読んで、私もヴァラスと同じように途方にくれました。
ヴァラスもこの物語も、まるで消しゴムのように擦り切れていくだけです。
さんざん苦労した末に、待っていた結末は・・・
この結末を、解説では「オイディプス王」と対比して、説明していました。
どちらも「人間の自由意志に対する皮肉な運命の復讐のドラマ」だという。
ところでヌーヴォー・ロマン作家の中には、ベケットやデュラスもいます。
「ゴドーを待ちながら」や「愛人」などは、舞台や映画で知られています。
さいごに。(インフルさらに流行)
とうとう娘のクラスでもインフルエンザが流行し始め、5人が休んでいます。
今のところうちの娘は大丈夫のようですが、心配は絶えません。
殺人事件を解決するためにやってきた若き捜査官の、24時間を描いた物語です。
新しい小説(ヌーヴォー・ロマン)の文学運動は、この作品から始まりました。
長い間入手困難の作品でしたが、2013年に古典新訳文庫から出ました。
1378円しますが、その価値はあります。また、解説がすばらしいです。
特別捜査官ヴァラスは、殺人事件の解決のため、この街にやって来ました。
殺されたのはデュポンという大学教授で、大富豪の中年男性です。
しかし、肝心の死体は誰かによって、どこかへ持ち去られていました。
おまけに、他殺なのか自殺なのかも、よくわかりません。
ヴァラスは自分で推理を組み立て、街を歩き回って糸口を探しますが・・・
曖昧な証言や偶然の出来事に翻弄され、やがて皮肉な結末に導かれ・・・
私はこの作品を、探偵小説だと思っていました。
だから、「序幕」を読んだ時点で仰天しました。
始まってすぐ、主人公が動き出さないうちに、犯人が明かされているのです。
犯人はガリナティ。ああ、終幕まであと400ページ近くあるというのに!
特別捜査官として派遣されてきたのは、ヴァラスという若い男です。
ヴァラスが町をさまよう姿は、人生をさまよう姿に似ています。
街のあちこちを巡りながら、時間も前へ後へと行き来します。
街の細部ははっきり見えるのに、全体像は靄がかかったように曖昧です。
事件の全体像も、なかなかはっきり見えてきません。
歩き回れば歩き回るほど、迷路に迷い込んでいくような感じがします。
そして驚いたことに、最後まで真相はよく分からないのです。
最後まで読んで、私もヴァラスと同じように途方にくれました。
ヴァラスもこの物語も、まるで消しゴムのように擦り切れていくだけです。
さんざん苦労した末に、待っていた結末は・・・
この結末を、解説では「オイディプス王」と対比して、説明していました。
どちらも「人間の自由意志に対する皮肉な運命の復讐のドラマ」だという。
ところでヌーヴォー・ロマン作家の中には、ベケットやデュラスもいます。
「ゴドーを待ちながら」や「愛人」などは、舞台や映画で知られています。
さいごに。(インフルさらに流行)
とうとう娘のクラスでもインフルエンザが流行し始め、5人が休んでいます。
今のところうちの娘は大丈夫のようですが、心配は絶えません。
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