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アラビアンナイトを楽しむために [中世文学]

 「アラビアンナイトを楽しむために」 阿刀田高 (新潮文庫)


 イスラムの説話集「千夜一夜物語」について、分かりやすく解説した著書です。
 「ギリシア神話」に次ぐ、阿刀田必殺の古典解説シリーズでが、現在絶版です。


アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 文庫



 ペルシャの王シャーリャルは、王妃の不義によって女人不信になりました。
 毎夜、処女に夜伽をさせ、夜が明けると殺してしまいました。(ひどい!)

 国に女人がいなくなり、大臣の娘シャーラザッドが王の夜伽に立候補しました。
 シャーラザッドは枕元で面白い話をして、王は彼女を殺すことができず・・・

 シャーラザッドの物語は1001夜続き、話は170話に及び、90の補遺があります。
 物語は玉石混淆ですが、その中から阿刀田は12の物語を選んで紹介しています。

 「アジブ」「幽霊屋敷」「紺屋」「絵の中の美姫」「狐つき」「ハサンの破産」
 「人生は運か」等がとても面白かったです。

 たとえば「絵の中の美姫」は、絵の中の女性に憧れて、探し求める物語です。
 様々な困難を乗り越え、ようやくたどり着いた屋敷で見た女は・・・

 いずれも語り口が素晴らしく、メリハリをつけてうまく紹介しています。
 時々脱線してうんちくを傾けたりするので、読んでいて全く飽きません。

 ところが、もともとの物語は冗長で、時として支離滅裂な展開になるそうです。
 雑多な説話の寄せ集めであり、文学としては未熟な部分が多いのだと言います。

 物語をたどっていくと、突然宝を発見したりとか、突然魔王が現れたりとか、
 御都合主義な展開や、つじつま合わせの結末が、確かに目につきました。

 しかし、逆にそういう不思議さが、「アラビアンナイト」の魅力だと思います。
 まるで夢のように流れていく物語に、遠い異国への憧れをかき立てられました。

 ところで私がこの本で最も驚いたことは、「シンドバッド」が無いところです。
 それどころか、「アラジン」も「アリババ」も無いではありませんか。

 有名どころはわざと外したようですが、やはり解説してほしかったです。
 特に「シンドバッド」は、「オデュッセイア」と比較して語って欲しかった。

 さて、次はぜひ岩波少年文庫版「アラビアン・ナイト」上下巻を読みたいです。
 シンドバッドはじめ、有名な物語を中心に選んだ選集です。


アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 さいごに。(女子トーク)

 以前は、妻と私が話していると、娘が無意味に口をはさんできました。
 「大人の会話に入ってくるな!」と言って、娘を叱ったものです。

 最近は、妻と娘だけの女子トークが多くなりました。
 私が何か言おうものなら、「女子の会話に入らないで!」と娘に叱られます。

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