わたしを離さないで [20世紀イギリス文学]
「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ作 土屋政雄訳 (ハヤカワepi文庫)
介護人キャシーが、ヘールシャムという閉鎖的な施設について語った物語です。
日系の作者が2017年度ノーベル文学賞に輝いたことによって、注目されました。
ハヤカワepi文庫から出ています。訳は読みやすいです。
前年2016年にドラマ化されたため、多くの書店で見かけるようになりました。
語り手のキャシーは、31歳の優秀な介護人で、「ヘールシャム」の出身です。
彼女は、子供時代に過ごしたヘールシャムという施設について、語り始めます。
そこはただの孤児院ではなく、なぜか展覧会用の作品作りばかりしていました。
やがて彼らに、少しずつ残酷な事実が明かされていき・・・
ヘールシャムの子供たちは、なぜ外の世界から隔離されているのか?
ヘールシャムの子どもたちに、与えられた特殊な使命とは?
ヘールシャムとは、いったい何のための施設なのか?
「提供者」とは? 「介護人」とは? 「回復センター」とは?
そして、血も凍るような終盤の展開!(特に第22章から)
エミリー先生やマダムや、社会の人々の身勝手さに、吐き気を催しました。
「それじゃチェスの駒と同じだと思っているでしょう。(中略)でも、考えてみ
て。あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。」(P406)それはないだろう!
私はこのタイトルを見て、この作品は切ない恋愛小説だと思いました。
ところが、命(?)をテーマにした、非常に重たい物語でした。
こういう社会的な作品を書いたからこそ、ノーベル賞になったのかもしれません。
しかし、こういう内容だと知っていたら、私はこの作品を絶対に読まなかった。
この作品を、感動作として紹介する人もいます。しかし、それは違うでしょう。
確かに衝撃的な作品ですが、感動よりも後味の悪さがいつまでも残ります。
さて、カズオ・イシグロの代表作は、1989年に出た「日の名残り」です。
「わたしを離さないで」の口直しとして、近いうちに読みたい名作です。
さいごに。(ゴミ箱の中を見るな)
娘がゴミ箱の中を覗いて、「パパ、ひとりでお菓子を食べたでしょ」と言う。
お菓子の包み紙で分かるのだ。「ゴミ箱を覗くな!」と怒ったけど効果なし。
そういえば、まだ4歳のときから、娘は同じようなことを言っていました。
2011年のブログ → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-02-19
介護人キャシーが、ヘールシャムという閉鎖的な施設について語った物語です。
日系の作者が2017年度ノーベル文学賞に輝いたことによって、注目されました。
ハヤカワepi文庫から出ています。訳は読みやすいです。
前年2016年にドラマ化されたため、多くの書店で見かけるようになりました。
語り手のキャシーは、31歳の優秀な介護人で、「ヘールシャム」の出身です。
彼女は、子供時代に過ごしたヘールシャムという施設について、語り始めます。
そこはただの孤児院ではなく、なぜか展覧会用の作品作りばかりしていました。
やがて彼らに、少しずつ残酷な事実が明かされていき・・・
ヘールシャムの子供たちは、なぜ外の世界から隔離されているのか?
ヘールシャムの子どもたちに、与えられた特殊な使命とは?
ヘールシャムとは、いったい何のための施設なのか?
「提供者」とは? 「介護人」とは? 「回復センター」とは?
そして、血も凍るような終盤の展開!(特に第22章から)
エミリー先生やマダムや、社会の人々の身勝手さに、吐き気を催しました。
「それじゃチェスの駒と同じだと思っているでしょう。(中略)でも、考えてみ
て。あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。」(P406)それはないだろう!
私はこのタイトルを見て、この作品は切ない恋愛小説だと思いました。
ところが、命(?)をテーマにした、非常に重たい物語でした。
こういう社会的な作品を書いたからこそ、ノーベル賞になったのかもしれません。
しかし、こういう内容だと知っていたら、私はこの作品を絶対に読まなかった。
この作品を、感動作として紹介する人もいます。しかし、それは違うでしょう。
確かに衝撃的な作品ですが、感動よりも後味の悪さがいつまでも残ります。
さて、カズオ・イシグロの代表作は、1989年に出た「日の名残り」です。
「わたしを離さないで」の口直しとして、近いうちに読みたい名作です。
さいごに。(ゴミ箱の中を見るな)
娘がゴミ箱の中を覗いて、「パパ、ひとりでお菓子を食べたでしょ」と言う。
お菓子の包み紙で分かるのだ。「ゴミ箱を覗くな!」と怒ったけど効果なし。
そういえば、まだ4歳のときから、娘は同じようなことを言っていました。
2011年のブログ → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-02-19
「2016年にドラマ化されたため、多くの書店で見かけるようになりました.....」
サンフランシスコの書店では、十年以上も前に見かけるようになりました...
by サンフランシスコ人 (2017-11-07 07:47)
サンフランシスコ人さん、コメントをありがとうございます。
国による違いを感じます。
ノーベル賞受賞後は、どこの本屋でも身かけるようになりました。
by ike-pyon (2017-11-07 20:53)
2005年にサンフランシスコのKQED(ラジオ・テレビ放送局)で紹介されました..
http://ww2.kqed.org/arts/2005/09/21/never_let_me_go_by_kazuo_ishiguro/
1995年にカズオ・イシグロがPBS(アメリカのテレビ放送ネットワーク)に出演した....
http://www.youtube.com/watch?v=Tx6An0vHJ6E
by サンフランシスコ人 (2017-11-08 08:13)
サンフランシスコ人さん、貴重な情報をありがとうございました。
カズオ・イシグロさん、若かったですね。
by ike-pyon (2017-11-09 21:22)
「サンフランシスコの書店では、十年以上も前に見かけるようになりました........」
1860年、福沢諭吉は、サンフランシスコに滞在中、書店に立ち寄ってウェブスターの英語辞書を購入しました...
by サンフランシスコ人 (2017-11-10 07:46)
サンフランシスコ人さん、興味深い情報をありがとうございます。
歴史における二国のつながりを感じます。
by ike-pyon (2017-11-11 04:40)