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修禅寺物語 [日本の近代文学]

 「修禅寺物語」 岡本綺堂 (長倉書店)


 面作り師「夜叉王」の娘「桂」と二代将軍源頼家との、愛と宿命を描いた戯曲です。
 作者を代表する戯曲で、上演と同時に大評判になった新歌舞伎の名作です。

 長倉書店から文庫版で出ていました。表紙は「頼家の面」です。現在は絶版。


修禅寺物語

修禅寺物語

  • 作者: 岡本綺堂
  • 出版社/メーカー: 長倉書店
  • 発売日: 2013
  • メディア: 文庫



 現在、なかなか手に入りにくい本ですが、キンドルではなんと0円です。


修禅寺物語

修禅寺物語

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版



 面作り師の夜叉王は、修禅寺に幽閉されていた頼家に、面を依頼されていました。
 しかし、なぜか頼家を写した面は、なかなか満足のいくものになりませんでした。

 ある日、しびれを切らした頼家の怒りを買い、夜叉王は斬られそうになりました。
 娘の桂(かつら)が試作品の面を渡すと、頼家は満足してそれを持ち帰りました。

 ところが、夜叉王の職人気質は、その処置に納得できません。
 一方、桂は頼家のもとに奉公し、頼家に愛されるようになりました。

 やがて頼家と桂に襲いかかる、恐ろしい運命。そのとき桂がとった行動は?
 のちに分かった、夜叉王が納得できる面を作れなかった理由とは?

 この戯曲の魅力は、なんといっても桂の激しい感情と行動力です。
 人生をひたすら駆け抜け、一瞬ぱっと輝き、そして燃え尽きてしまう。

 「いたずらに、百年千年いきたとて何となろう。たとい半とき一ときでも、
 将軍家のおそばに召し出だされ、若狭の局という名をも給わるからは、これ
 で出世の望みもかのうた。死んでもわたしは本望じゃ。」(P38)

 また、結末がすごいです。父の夜叉王が、桂の最期のときにしたことは?・・・
 芥川龍之介の「地獄変」を連想しました。


改編 蜘蛛の糸・地獄変 (角川文庫)

改編 蜘蛛の糸・地獄変 (角川文庫)

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1989/04/01
  • メディア: 文庫



 岡本綺堂は、修禅寺で「伝・頼家の面」を見て、この戯曲を書き上げたそうです。
 その面は今も、宝物館で見ることができます。私は1999年に見ました。

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 この宝物館のショップで、私は「修禅寺物語」を購入しました。1000円でした。
 長倉書店という所から出版されていました。地元修善寺の書店らしい。

 「修禅寺物語」ほか「頼家の仮面」「修禅寺物語」「秋の修禅寺」「春の修禅寺」
 などのエッセイが収録されています。修禅寺ファンにはたまらない編集です。

 結婚後まもなく、妻と一緒に修善寺を巡ったのも、とても懐かしい思い出です。
 頼家の墓や範頼の墓を、歩いて周りました。あのころは、若かった!

 さいごに。(声をかけないで)

 昨日の土曜日、娘の小学校では、参観会がおこなわれました。
 娘の座席は一番後ろなので、声をかけたくなってしまいました。

 しかし、前日に釘を刺されていたのです。「パパ、私に声をかけないでよ」と。
 「私が恥ずかしい思いをしたら、1週間話さないからね。」とも言われました。
 声をかけたかったけど我慢しました。1週間話してもらえないのはつらいので。

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