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砂の器 [日本の現代文学]

 「砂の器」上 松本清張 (新潮文庫)


 東京の駅で起きた殺人事件を、ベテランと若手の刑事二人が解決に導く長編小説です。
 1960年に読売新聞に連載された、清張の代表作で、映画やドラマにもなりました。


砂の器(上) (新潮文庫)

砂の器(上) (新潮文庫)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1973/03/29
  • メディア: 文庫



 東京の蒲田駅で発見された50代の男は、顔がめちゃくちゃにつぶされていました。
 被害者は、その夜バーで、30代の男と一緒にいるところを、目撃されていました。

 二人の交わした「カメダ」という言葉と、東北弁を頼りに、捜査は進められました。
 しかし、ほとんど進展しないまま時間が経ち、捜査は打ち切りとなりました。

 のちに、被害者が岡山出身の元巡査であり、東北弁は話さないことが分かりました。
 ベテラン刑事の今西は困惑しながらも、諦めずにひとり地道に捜査を続けて・・・

 被害者はなぜ東北弁ではなかったのか? 「カメダ」とはいったい何だったのか?
 続いて起きた二つの死亡事故との関連は? 人格者である被害者が殺された理由は?

 この小説は、方言周圏説が取り入れられていることで、広く知られています。
 東北弁の被害者が、なぜ東北と関係なかったのか、この謎を解く推理は秀逸です。

 私は30年ぶりぐらいに、大学時代に受けた国語学概論の授業を思い出しました。
 その先生は方言学の御専門で、「砂の器」の話もしてくれたような気がします。

 さて、「砂の器」は現在上巻を読み終えたところで、多くの謎が残されています。
 しかし、謎の核心である犯人については、すでにオープンされているようなもの。

 今西刑事らの捜査と並行して、ヌーボー・グループの人間模様が描かれています。
 もちろん、ヌーボー・グループの誰かが、犯人に違いありません。

 特にその代表格の〇川という男については、心理面まで細かく描写されています。
 まるで、「犯人はコイツだ」と言わんばかりです。

 とはいえ、自殺した女との関係や、死んだ俳優との関係が、まだよく分かりません。
 久しぶりに読む本格推理小説です。下巻も存分に楽しみたいです。

 さいごに。(ゴールデン・ワーク)

 連休の後半はまたぐっと暑くなりました。この間毎日、ずっと外での仕事でした。
 だいぶ日焼けしましたが、リゾートでなく、仕事によるものだという点が悲しい。

 GWが仕事ばかりだった場合、自嘲的にゴールデン・ワークと言うのだそうです。
 私の場合もゴールデン・ワークでした。GWが終って、少しホッとしています。

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コメント 2

サンフランシスコ人

約五十年前に「砂の器」を読みました...
by サンフランシスコ人 (2019-05-08 08:09) 

ike-pyon

50年前ですか・・・
by ike-pyon (2019-05-09 21:38) 

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