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ツァラトゥストラ2 [哲学・歴史・芸術]

 「ツァラトゥストラ(下)」 ニーチェ作 丘沢静也訳 (光文社古典新訳文庫)


 「超人」「永劫回帰」などニーチェの後期思想を述べた、小説的形態の哲学書です。
 上巻には第1部と第2部が、この下巻には第3部と第4部が収録されています。


ツァラトゥストラ〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

ツァラトゥストラ〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: フリードリヒ ニーチェ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/01/12
  • メディア: 文庫



 第3部に入ると、いよいよ永劫回帰の思想が徐々に語られます。
 しかし、その内容がよく分からない。何度読んでもよく分からない。

 「みんな、すでに存在していたにちがいないんじゃないか? そしてまた、戻ってく
 るにちがいないんじゃないか? 向こう側に、もうひとつ道が見えるが、その恐ろし
 い道を走って、―くり返し永遠に戻ってくるにちがいないんじゃないか?」(P25)

 「なにもかもが行って、なにもかもが戻ってくる。存在は輪のように永遠に回る。何
 もかもが死に、何もかもが花をまた咲かせる。存在は年のように永遠にくり返す。」
 (P157)

 「すべてのものごとが永遠に回帰する。ぼくらもいっしょに回帰する。ぼくらは無限
 回、存在していた。すべてのものごともぼくらといっしょに存在していた。」(P163)

 これでは、具体的なイメージが湧きません。言葉足らずで、説明不足です。
 もしかしたら、仏教などでおなじみの輪廻転生のイメージでいいのでしょうか?

 詳しく知るためには、「この人を見よ」など他の著作を読まなくてはならないらしい。
 要するにこれは不完全(?)であって、当時の読者が困惑したのも無理ないです。

 最後の「ツァラトゥストラの歌」も、意味が分からないです。
 おそらくこの言葉の中に、「ツァラトゥストラ」のテーマが潜んでいるはずですが。

 おお、人間よ! 気をつけろ!
 深い真夜中が何を語っているか?
 「私は眠っていた。眠っていた。― 
 深い夢から私は目覚めた。―
 この世界は深い。 
 昼が考えたよりも深い。―
 喜びのほうが―深い悩みよりも深い。 
 嘆きが言う。『消えろ!』と。
 だがすべての喜びが永遠をほしがっている。―
 ― 深い、深い永遠をほしがっている!」 

 意味がありそうで無さそうな歌です。
 私にはこういう思わせぶりな歌よりも、次のような単純な言葉が印象に残りました。

 「豚にとっては、すべてが豚だ!」(ツァラトゥストラの言葉)
 「この世は、巨大な糞なのです」(ある夢想家の言葉)

 私は「ツァラトゥストラ」を、小説として気軽に読み始めて失敗しました。
 この作品は小説っぽい哲学書です。それなりの心構えをもって読む必要があります。

 さいごに。(健康診断)

 毎年8月に人間ドックをおこなっています。
 今年も腎機能に低下が見られるという診断でした。酒を飲んでいないのになぜ?

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