杜子春・南京の基督(芥川龍之介) [日本の近代文学]
「杜子春 南京の基督」 芥川龍之介 (角川文庫)
タイトル作の「杜子春」など、大正9年に書かれた作品17作を収録しています。
以前は天野喜孝の妖艶なカバーでしたが、現在はお洒落なデザインになっています。
「杜子春」は、仙人を目指したひとりの青年の物語です。舞台は中国の洛陽です。
一文無しとなった杜子春の前に、不思議な老人が現れ、彼を大金持ちにしました。
しかし彼は、与えられた財産を二度まで蕩尽し、人の世の虚しさを知りました。
そして、老人が仙人であることを見破ると、老人の弟子になることを望みました。
老人は、峨眉山に住んでいる鉄冠子という仙人でした。老人は言いました。
「たといどんなことが起ころうとも、決して声を出すのではないぞ。」・・・
杜子春の前にどのような幻影が現れるのか? 杜子春は約束を守れるのだろうか?
よく知られた物語です。私は子供の頃に、絵本で読んだ記憶があります。
「何になっても、人間らしい、正直な暮らしをするつもりです」印象的な言葉です。
本当の幸せとは何かを、改めて考えさせてくれる作品です。
「南京の基督」も中国が舞台。キリスト教徒の少女の身に起こる、奇跡の物語です。
宋金花という15歳の少女は、貧しい家計を助けるために、毎夜部屋に客を迎えます。
ところがあるとき梅毒にかかってしまい、商売を続けることができなくなりました。
他の客に移せば病気は治ると言われましたが、そんなことはとてもできません。
しかし、急にやってきた客は、誰かに似ているようで・・・彼と寝た後は・・・
皮肉の利いた、芥川らしい作品だと思います。この本における、マイ・ベストです。
「黒衣聖母」も「南京の基督」と似たエキゾティックな雰囲気があります。
黒い服をまとった美しい聖母像は、福を転じて禍とする、縁起の悪い聖母で・・・
「沼」はわずか3ページですが、不気味な美しさをたたえた、忘れがたい作品です。
「おれ」は昔から葦の茂みの向こうに、不思議な世界があることを知っていて・・・
「素戔嗚尊」と「老いたる素戔嗚尊」は、「古事記」に取材した力作です。
しかし、私は作品の世界観が好きになれません。素戔嗚は英雄として描いてほしい。
「秋」や「お律と子等と」も、非常に苦心して書かれた作品だろうと思います。
しかしこういう「普通の作品」は、芥川がわざわざ書かなくてもいいのではないか?
さて、芥川龍之介の作品は、この本を最後に、ほとんど制覇することができました。
以下に、角川文庫版で読んだ8冊を、振り返ってみたいと思います。
1 「羅生門・鼻・芋粥」 大正3年~大正5年
2 「河童・戯作三昧」 大正6年~昭和2年
3 「蜘蛛の糸・地獄変」 大正7年
4 「舞踏会・蜜柑」 大正8年
5 「杜子春・南京の基督」 大正9年
6 「藪の中・将軍」 大正10年
7 「トロッコ・一塊の土」 大正11年~大正12年
8 「或阿呆の一生・侏儒の言葉」 昭和2年・遺稿
近いうちに、「芥川マイ・ベスト」の特集をやらなければ。
数ある傑作から、1位に何を選ぶか。考えただけでワクワクしてしまいます。
さいごに。(時々拍手が聞こえる)
私が夜、2階の部屋で本を読んでいると、時々下から拍手が聞こえてきます。
そういうときは、たいていママさんと娘が一緒に、TVの録画を見ています。
ジャニーズのメンバーで、お気に入りが登場すると、二人は拍手をしています。
Hey! Say! JUMP の山田君が出ているドラマでは、娘のテンションが高いです。
タイトル作の「杜子春」など、大正9年に書かれた作品17作を収録しています。
以前は天野喜孝の妖艶なカバーでしたが、現在はお洒落なデザインになっています。
「杜子春」は、仙人を目指したひとりの青年の物語です。舞台は中国の洛陽です。
一文無しとなった杜子春の前に、不思議な老人が現れ、彼を大金持ちにしました。
しかし彼は、与えられた財産を二度まで蕩尽し、人の世の虚しさを知りました。
そして、老人が仙人であることを見破ると、老人の弟子になることを望みました。
老人は、峨眉山に住んでいる鉄冠子という仙人でした。老人は言いました。
「たといどんなことが起ころうとも、決して声を出すのではないぞ。」・・・
杜子春の前にどのような幻影が現れるのか? 杜子春は約束を守れるのだろうか?
よく知られた物語です。私は子供の頃に、絵本で読んだ記憶があります。
「何になっても、人間らしい、正直な暮らしをするつもりです」印象的な言葉です。
本当の幸せとは何かを、改めて考えさせてくれる作品です。
「南京の基督」も中国が舞台。キリスト教徒の少女の身に起こる、奇跡の物語です。
宋金花という15歳の少女は、貧しい家計を助けるために、毎夜部屋に客を迎えます。
ところがあるとき梅毒にかかってしまい、商売を続けることができなくなりました。
他の客に移せば病気は治ると言われましたが、そんなことはとてもできません。
しかし、急にやってきた客は、誰かに似ているようで・・・彼と寝た後は・・・
皮肉の利いた、芥川らしい作品だと思います。この本における、マイ・ベストです。
「黒衣聖母」も「南京の基督」と似たエキゾティックな雰囲気があります。
黒い服をまとった美しい聖母像は、福を転じて禍とする、縁起の悪い聖母で・・・
「沼」はわずか3ページですが、不気味な美しさをたたえた、忘れがたい作品です。
「おれ」は昔から葦の茂みの向こうに、不思議な世界があることを知っていて・・・
「素戔嗚尊」と「老いたる素戔嗚尊」は、「古事記」に取材した力作です。
しかし、私は作品の世界観が好きになれません。素戔嗚は英雄として描いてほしい。
「秋」や「お律と子等と」も、非常に苦心して書かれた作品だろうと思います。
しかしこういう「普通の作品」は、芥川がわざわざ書かなくてもいいのではないか?
さて、芥川龍之介の作品は、この本を最後に、ほとんど制覇することができました。
以下に、角川文庫版で読んだ8冊を、振り返ってみたいと思います。
1 「羅生門・鼻・芋粥」 大正3年~大正5年
2 「河童・戯作三昧」 大正6年~昭和2年
3 「蜘蛛の糸・地獄変」 大正7年
4 「舞踏会・蜜柑」 大正8年
5 「杜子春・南京の基督」 大正9年
6 「藪の中・将軍」 大正10年
7 「トロッコ・一塊の土」 大正11年~大正12年
8 「或阿呆の一生・侏儒の言葉」 昭和2年・遺稿
近いうちに、「芥川マイ・ベスト」の特集をやらなければ。
数ある傑作から、1位に何を選ぶか。考えただけでワクワクしてしまいます。
さいごに。(時々拍手が聞こえる)
私が夜、2階の部屋で本を読んでいると、時々下から拍手が聞こえてきます。
そういうときは、たいていママさんと娘が一緒に、TVの録画を見ています。
ジャニーズのメンバーで、お気に入りが登場すると、二人は拍手をしています。
Hey! Say! JUMP の山田君が出ているドラマでは、娘のテンションが高いです。
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