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風と共に去りぬ3 [20世紀アメリカ文学]

 「風と共に去りぬ 第3巻」 M・ミッチェル作 鴻巣友季子訳 (新潮文庫)


 南北戦争時代の南部を背景に、大農園の娘スカーレットの半生を描いた長編小説です。
 出てすぐベストセラーとなり、映画も大ヒットしました。20世紀米文学の大傑作です。


風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)

風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)

  • 作者: マーガレット ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/04/30
  • メディア: 文庫



 タラに戻ったスカーレットは、死んだ母や呆けた父に代わり、切り盛りしていきます。
 「この地獄を生き抜いて、二度とひもじい思いはしない」という、堅い決意を抱いて。

 あるとき、屋敷に侵入したヤンキー軍の兵士を、射殺してしまいました。
 そのとき後始末を助けたのは、意外にも、産後で寝込んでいたメラニーでした。

 また、略奪に来たヤンキー軍の前で、屋敷の前に立ち、一歩も引きませんでした。
 そのとき燃え上がる火を一緒になって消したのは、やはりメラニーでした。

 第3巻では、スカーレットの中で、メラニーの株がどんどん上がっていきます。
 スカーレットは、弱々しいメラニーの中にも、強い芯があることに初めて気づき・・・

 「100分de名著」で言っていましたが、メラニーとの友情は物語の一つのテーマです。
 大っ嫌いだったメラニーが、自分にとって大切な存在であることに気づいていきます。

 「つまらない嫉妬でくもっていた目が晴れると、メラニーのやさしい声とハトのように
 柔和な目の奥に、不撓の鋼の薄い刃がきらめくのが見え、メラニーのおだやかな血のな
 かに果敢さの高らかな印を感じとった。」(P50)

 「風と共に去りぬ」は第3巻に入っても中だるみしません。更に面白くなりました。
 どのページも無駄がなくて、文章に張りがあります。驚異的な作品です。

 中でも、妻の死後呆けてしまったジェラルドの様子を伝える文章は、名文でしょう。
 以下のような文ですが、私は涙が出そうになりました。訳もまたすばらしいです。

 「父は妻を観客にして、ジェラルド・オハラの怒涛のドラマを演じてきたのだった。
 いま舞台の幕は降りてもはや開くことがなく、フットライトがほの暗く照らすなか、
 大切な観客は突然、姿を消してしまい、ひとけのない舞台に残された老俳優は呆然と
 して、合図が出るのを待っている。」(P40)

 さて、この巻で戦争は終結し、ウィルという仲間ができ、アシュリが帰還しました。
 しかし、南部はヤンキーたちに牛耳られ、タラは窮地に追い込まれて・・・

 第3巻の後半になると、これまで存在感の薄かったアシュリが、急に輝き出します。
 スカーレットに、自分の思いを切々と語るアシュリは、とても印象的でした。

 「この新生活のなかでぼくは余り者でしかなく、不安で仕方ない。そう、あの頃、自
 分が見ていたのは、影絵芝居だと分かったんだ。当時のぼくは影絵的でないもの、つ
 まりあまりにリアルで精気あふれる人や状況とむきあうのをことごとく避けていた。
 (中略)だからあなたのことも避けたんだよ、スカーレット。」(P239)

 「近寄らないでくれ。さもないと、いまこの場で、あなたを抱いてしまう」(P249)

 金を得るためにアトランタに行ったら、レットは監獄に入っていて・・・
 「担保にできそうなものはあるかい?」「わ、わたし自身を・・・」・・・

 偶然出会ったフランク・ケネディを、スカーレットは・・・
 この先、どうなるのでしょうか。第4巻も、とても楽しみです。

 さいごに。(孔子廟・大浦天主堂)

 長崎の孔子廟は意外と面白かった。人が少なかったので、のんびりできました。
 世界遺産となった大浦天主堂は、長崎観光のクライマックスでした。

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