悪童日記 [20世紀その他文学]
「悪童日記」 アゴタ・クリストフ作 堀茂樹訳 (ハヤカワepi文庫)
第二次大戦を、ヨーロッパの田舎でたくましく生き抜いた、双子の少年の日記です。
1986年に出て世界に衝撃を与えた、作者のデビュー作です。映画にもなりました。
双子の少年たちは、大きな町から母に連れられて、祖母の家に連れてこられました。
母から離れ、厳しい祖母の元、見知らぬ土地で、二人の新たな生活が始まりました。
「おばあちゃんは、ぼくらをこう呼ぶ。
『雌犬の子!』
人々は、ぼくらをこう呼ぶ。
『〈魔女〉の子! 淫売の子!』
また別の人びとは、こんな言葉を叩きつけて来る。
『バカ者! 与太者! 鼻糞小僧! 阿保! 豚っ子!・・・』」(P30)
周囲の冷たい目にさらされながら、二人は力を合わせ、たくましく生きていきます。
ぶたれたら、それに負けないよう体を鍛え、罵詈を浴びせられたら精神を鍛えます。
乞食の話を聞いたら乞食の練習をし、盲や聾の話を聞いたら盲と聾の練習をします。
断食の話を聞いたら断食し・・・過酷な状況を体験することで強くなっていきます。
自分たちだけの小さな知恵と力で、人生を切り開いてゆく姿は、本当にすばらしい。
これこそ「生きる力」です。この本で、我々が忘れかけているものに出会いました。
母が迎えに来たとき、二人はすでに祖母との生活を快適に送っていて・・・
父が助けを求めてきたとき、二人はある企みを実行して・・・
さて、この作品の魅力を増しているものは、主人公の二人の悪童たちです。
彼ら二人は、周囲とはかけ離れた、独特の不思議な世界を作っています。
「あの二人は考えるのもいっしょ、行動するのもいっしょだ。二人で、まわりから
隔たった、特殊な世界に生きている。彼らだけの世界だ。」(P34)
曳かれていくユダヤ人たちの行列に、司祭の女中がしたことは・・・
その光景を目に焼き付けた双子が、そのあとひそかにおこなったことは・・・
彼ら二人には、何を考えているのか、何をするのか分からないところがあります。
時々意表をつかれて、びっくりしました。特に、イミシンな結末には驚きました。
「悪童日記」はたいへん評判になったため、続編ができて、全三巻となりました。
終戦後を描いた「ふたりの証拠」と、完結編の「第三の嘘」です。
さいごに。(レザークラフト復活)
以前やっていたレザークラフトは、仕事が忙しくなってから中断していました。
ところがコロナによる業務縮小で、GWに時間ができたので、再開しています。
5年も前に構想した、自分だけのシステム手帳に、ようやく取り掛かりました。
じっくり時間をかけて何かに取り組むって、いいですね。心が癒されます。
第二次大戦を、ヨーロッパの田舎でたくましく生き抜いた、双子の少年の日記です。
1986年に出て世界に衝撃を与えた、作者のデビュー作です。映画にもなりました。
双子の少年たちは、大きな町から母に連れられて、祖母の家に連れてこられました。
母から離れ、厳しい祖母の元、見知らぬ土地で、二人の新たな生活が始まりました。
「おばあちゃんは、ぼくらをこう呼ぶ。
『雌犬の子!』
人々は、ぼくらをこう呼ぶ。
『〈魔女〉の子! 淫売の子!』
また別の人びとは、こんな言葉を叩きつけて来る。
『バカ者! 与太者! 鼻糞小僧! 阿保! 豚っ子!・・・』」(P30)
周囲の冷たい目にさらされながら、二人は力を合わせ、たくましく生きていきます。
ぶたれたら、それに負けないよう体を鍛え、罵詈を浴びせられたら精神を鍛えます。
乞食の話を聞いたら乞食の練習をし、盲や聾の話を聞いたら盲と聾の練習をします。
断食の話を聞いたら断食し・・・過酷な状況を体験することで強くなっていきます。
自分たちだけの小さな知恵と力で、人生を切り開いてゆく姿は、本当にすばらしい。
これこそ「生きる力」です。この本で、我々が忘れかけているものに出会いました。
母が迎えに来たとき、二人はすでに祖母との生活を快適に送っていて・・・
父が助けを求めてきたとき、二人はある企みを実行して・・・
さて、この作品の魅力を増しているものは、主人公の二人の悪童たちです。
彼ら二人は、周囲とはかけ離れた、独特の不思議な世界を作っています。
「あの二人は考えるのもいっしょ、行動するのもいっしょだ。二人で、まわりから
隔たった、特殊な世界に生きている。彼らだけの世界だ。」(P34)
曳かれていくユダヤ人たちの行列に、司祭の女中がしたことは・・・
その光景を目に焼き付けた双子が、そのあとひそかにおこなったことは・・・
彼ら二人には、何を考えているのか、何をするのか分からないところがあります。
時々意表をつかれて、びっくりしました。特に、イミシンな結末には驚きました。
「悪童日記」はたいへん評判になったため、続編ができて、全三巻となりました。
終戦後を描いた「ふたりの証拠」と、完結編の「第三の嘘」です。
さいごに。(レザークラフト復活)
以前やっていたレザークラフトは、仕事が忙しくなってから中断していました。
ところがコロナによる業務縮小で、GWに時間ができたので、再開しています。
5年も前に構想した、自分だけのシステム手帳に、ようやく取り掛かりました。
じっくり時間をかけて何かに取り組むって、いいですね。心が癒されます。
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