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約束の地 [20世紀アメリカ文学]

 「約束の地」 ロバート・B・パーカー作 菊池光訳 (ハヤカワ文庫)


 依頼人の妻を探しているうちに、ほかの事件にも巻き込まれる私立探偵の物語です。
 スペンサーシリーズの4作目でその代表作です。ホークが初めて登場する作品です。


約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))

約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/04/01
  • メディア: 文庫



 あるときシェパードと名乗る男が、妻を探し出してほしい、と依頼してきました。
 夫と子供3人を残して、突然出て行ったと言います。スペンサーは引き受けました。

 依頼人の屋敷を訪れたとき、凄腕の取り立て屋であるホークが居合わせていました。
 シェパードは妻の家出のほかに、何かもっと深刻な問題を抱えているようでした。

 早々と依頼人の妻パムを見つけたものの、彼女は帰りたがらなかったので・・・
 パムは、自分をかくまっていた過激な女たちと一緒に、殺人事件を起こして・・・

 シェパードの問題とパムの問題、スペンサーは二つをどのように解決するのか?
 スペンサーとホークの因縁は? スペンサーと恋人スーザンとの関係はどうなるか?

 優しさ、誠実さ、男気、気高さ、ユーモアなど、スペンサーの魅力全開の作品です。
 しかし、彼の最大の魅力は知性です。そして、知性は言葉によって表れます。

 「あたりを見回して、自分たちがどこにいたかを見るようなことはしない。それに、
 道の彼方を見やって、なにがくるかを見ようとしない。事実を直視して、憶測はしな
 い。ただ、この一件を見つめていて、もしどうしていたら、とか、だったらよかった
 のに、とか、かりに、とかいったことは口にしない。生じてくる事態にそのまま対処
 するだけだ。」(P162)

 この言葉は、スペンサーという男の行動哲学が分かって、興味深いです。
 我々は彼の言動を通して、「男はどう生き、どう行動するべきか」を学びます。

 クビになることが分かっていながら、パムの居所を依頼人に知らせなかったり、
 自分をクビにした男のことを心配して、彼のために危険をおかしたり・・・

 スペンサーとホークの奇妙な友情も、この物語の大きな魅力の一つです。
 特に、最後のホークの言葉がいいです。二人は似た者同士です。

 ホークが登場することによって、スペンサーシリーズの魅力は跳ね上がりました。
 ホークの人気も高く、アメリカにはホークを主人公としたTVドラマもあります。

 さて、スペンサーシリーズの最大の人気作は、なんと言っても「初秋」です。
 すでに紹介しました。ホークもスーザンも出てきます。
 → https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2013-06-05

 さいごに。(橋本聖子さん、がんばってください)

 森さんのあとでは、たいへんかもしれません。
 しかし、ぜひ東京五輪が成功するようがんばってください。応援します!

 昔のチュー強要事件なんて、私の周りの人間は、まったく気にしていません。
 むしろ、7年前のことを蒸し返して面白がっている連中の、品位を疑います。

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