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輝く星々のかなたへ! [20世紀アメリカ文学]

 「輝く星々のかなたへ! / 月世界の無法者 キャプテン・フューチャー全集5」 
 エドモンド・ハミルトン作 野田昌宏訳 (創元SF文庫)


 フューチャーメンが宇宙を舞台に冒険する、スペース・オペラの全集の第五弾です。
 「輝く星々のかなたへ!」は、銀河系の中心の「物質生成の場」へ向かう物語です。


輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 <キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫)

輝く星々のかなたへ!/月世界の無法者 <キャプテン・フューチャー全集5> (創元SF文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/02/11
  • メディア: 文庫



 太陽系内最小の惑星水星は、大気と水が不足し、最後の時を迎えようとしています。
 他の惑星への避難を政府から命じられたことにより、各地で暴動が起きました。

 キャプテン・フューチャーは、水星に空気と水をもたらすことを約束しました。
 そしてフューチャーメンは、銀河の中心にあるという物質生成の場を目指しました。

 物質生成の場では、銀河内の星々のすべての放射線を、物質化させていると言います。
 停滞力場に守られた振動ドライブを作動させ、コメットを光速の2000倍で飛ばし・・・

 物質生成の場を守る「見張り」とは何か? それはただの伝説か?
 物質生成の場にたどりついた者はいたのか? フューチャーメンはたどりつけるのか?

 中学生だった私がこの物語で一番ワクワクしたのは、「物質生成の場」という存在です。
 そこでは、放射線エネルギーが電子と陽子に変わって、四方に放散されると言います!

 「〈物質生成の場〉は銀河の中心部、ちょうど射手座の方角にある厚い星雲のあたりに
 存在する。そこからは、新しく生まれた物質が宇宙塵流となって流れ出していて・・・」
 (P31)

 中学生だった私は、「それ、ほんとか?」などとは考えませんでした。
 エネルギーが物質化する不思議な場所、そう考えるだけで楽しくなってきました。

 太陽系を離れて、はるかかなた銀河の中心を目指す、というのもロマンがありました。
 読みながら、自分も一緒に〈物質生成の秘密〉を探索しているような気になりました。

 ところで、命がけの冒険の果て、月に戻ったフューチャーメンを待っていたのは?
 続く「月世界の無法者」では、なんとキャプテン・フューチャーが指名手配に!

 フューチャーメンの留守をいいことに、月面でラジウムを採掘する者たちが・・・
 彼らが太陽系政庁の政府主席カシューに会ったとき、そこにはすでに罠が・・・

 おいおい、そりゃ無いだろう、と言いたくなる展開です。
 月に戻って月人と合流しますが、絶体絶命に陥って・・・

 この物語には不自然さを感じます。キャプテン・フューチャーが指名手配だなんて!
 冷静沈着な彼自身も、さすがに最後にはただの人間になって、怒りを爆発させます。

 そういう意味で、「月世界の無法者」は、やや異色作と言っていいでしょう。
 フューチャーメンが、意外と月世界の知識が少なかったという点も気になりました。

 さて、第六集に収録の「惑星タラスト救出せよ」もまた、忘れられない名作です。
 時空と次元を超越した傑作です。ぜひ紹介したいです。

 さいごに。(キャプテンフューチャーDVDボックス)

 かつてNHKで放送されていた全52話が、なんとDVDで出ていたのです。
 近所のツタヤの在庫を検索しましたが、ありませんでした。(ま、そうだろうな)

 ツタヤディスカスでも、扱っていませんでした。
 値段は7000円ほど。さすがに買う気にはなれません。





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