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エデンの東 第四部 [20世紀アメリカ文学]

 「エデンの東 4」 ジョン・スタインベック作 土屋雅雄訳 (ハヤカワepi文庫)


 トラスク家とハミルトン家の人びとの、三代にわたる愛憎を描いた長編小説です。
 人間がこの世に生きる意味を問う、という構想で書かれた、集大成的な作品です。


エデンの東 新訳版 (4) (ハヤカワepi文庫)

エデンの東 新訳版 (4) (ハヤカワepi文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/02/22
  • メディア: 文庫



 アダムは、双子に良い教育を受けさせるために、サリーナスの町に引っ越しました。
 中国人リーは、本屋を始めるという目標を捨て、アダム家に仕えることにしました。

 アロンは金髪で白い肌を持ち、内気できゃしゃな感じで、誰からも愛されました。
 キャルは黒髪で浅黒い肌を持ち、頭の回転が速くて、誰からも一目置かれました。

 アロンはすぐに、美しい娘アブラと仲良くなり、将来結婚する約束までしました。
 一方キャルは、自分の母親がこの町にいることを知り、独自で捜査を始めました。

 あるときアダムは、氷漬けのマストドンから、レタスの冷凍輸送を思いつきました。
 友人の反対も聞かずに事業に乗り出した結果、アダムは多くの財産を失いました。

 アロンは1年早く高校を卒業し、家を出て大学で学ぶようになり・・・
 キャルは農場で働くことを選び、友人ウィルと組んで隠元の先物取引をして・・・

 さて、「エデンの東」の最終巻は、いよいよカインとアベルの物語となりました。
 第四部の顔はキャルですね。ジェームズ・ディーンの役もキャルでした。

 キャルは自暴自棄になって、どんな行動に出るか? アロンはどうなるのか?
 キャシーはどうしたか? そして、アダムは?・・・

 私は、特にキャシーの行動には驚きました。想定外です。でも、どうして?
 あのような行動に走ったキャシーの心理が、いま一つ分かりません。

 かつて見た、ジェームズ・ディーンの主演映画は、この第四部のアレンジでした。
 たしか映画には、中国人のリーが登場しなかったような気がします。

 しかし、終盤はリーがいるからこそ、感動的な場面になると思います。
 特にラストシーンは、涙なしでは読めません。

 大作を、こんなに夢中になって読んだのは、「風と共に去りぬ」以来です。
 「エデンの東」は、ほんとうにすばらしい作品でした。絶対おススメです。

 ところが、スタインベックの作品の中では、それほど評価されていないようです。
 映画が有名で大衆化されすぎたせいか、代表作は「怒りの葡萄」に譲っています。

 ところで、読み終わって改めて、聖書についてざっくりと知りたくなりました。
 だいぶ前に読んだ、阿刀田高の「旧約聖書を知っていますか」を再読したいです。


旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/12/20
  • メディア: 文庫



 さいごに。(子供たちに広がるコロナ)

 学校が始まったので、当然と言えば当然ですが、子供たちの感染が広がっています。
 幸い娘の中学校では感染者が出ていませんが、娘は受験生なので心配しています。

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