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インスマンの影2 [20世紀アメリカ文学]

 「インスマスの影 クトゥルー神話傑作選」
 H・P・ラヴクラフト作 南條竹則編訳 (新潮文庫)


 タイトル作や「クトゥルーの呼び声」など、代表作を含む怪奇幻想小説傑作選です。
 作者は、クトゥルー神話の創始者として、広く知られるようになった存在です。


インスマスの影 :クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

インスマスの影 :クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

  • 作者: H・P・ラヴクラフト
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: 文庫



 「暗闇の出没者」は、闇をさまよう神ニャルラトホテプが登場します。
 作家のブレイクは、その黒々とした教会に邪悪なものが潜むという話を聞きました。

 ブレイクはその教会へ忍び込み、奇怪な怪物が彫られている金属の箱を見つけました。
 彼がその中の多面体の石を凝視してから、教会の中で何かが出没したようなのです。

 「輝くトラペゾヘドロン」とは何か? 目覚めた「暗闇の出没者」とは何者か?
 街じゅうが停電して暗闇に包まれたとき、それは這い出してきて・・・

 タイトル作「インスマンの影」は、クトゥルーのしもべ「深きものら」が登場します。
 編訳者解説では、「疑いなくラヴクラフトの最高傑作の一つ」と紹介されています。

 1927年に旅をしていた「私」は、誰もが毛嫌いする街インスマスに立ち寄りました。
 その街の者は悪魔崇拝をしていて、地獄の鬼を連れ帰ったのだと言われていました。

 インスマスはさびれていて、時々見かける人間は、魚か蛙のような顔をしていました。
 その日「私」は酔っぱらいの老人から、この街にまつわる伝説的な物語を聞きました。

 悪魔崇拝の噂は本当か? 住民はなぜ皆「インスマス面」なのか?
 老人からインスマスの秘密を聞き出したとき、「私」の身には危険が迫って・・・

 すごい話です。読み始めたらクルトゥー神話の世界にどっぷりと没入してしまいます。
 この作品はとても有名で、ラジオドラマになっています。ユーチューブで見られます。



 以上、この本には全7編が収録されています。
 超短編の「ニャルラトホテプ」以外は、すべて読む価値の高い作品ばかりです。

 「クトゥルー神話傑作選」の第二弾が、「狂気の山脈にて」です。(未読)
 「インスマスの影」同様、新訳なのでとても読みやすいという噂です。


狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/11/28
  • メディア: 文庫



 ラヴクラフトの同僚には、「英雄コナン」を書いたロバート・E・ハワードがいます。
 1936年にハワードが自殺し、翌37年にはラヴクラフトも亡くなったのでした。

 「コナンと髑髏の都」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-04-02
 「コナンと石碑の呪い」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-04-11

 クトゥルー神話は、ラヴクラフトがパルプマガジンに書き継いで作り上げた世界です。
 それをダーレスが分かりやすく体系化し、現在では多くの作家に影響を与えています。

 さいごに。(飲み会がないことの快適さに慣れて)

 うちの職場は60人超になるため忘年会は自粛。会場のホテルをキャンセルしました。
 このことは一部の職員から、コロナによる好ましい変化として歓迎されています。

 職場の飲み会は本当に必要なのか、ということを改めて考える契機となりました。
 ある人曰く「飲み会のないことの快適さに慣れてしまった。もう昔には戻れない!」

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