SSブログ

狂気の山脈にて2 [20世紀アメリカ文学]

 「狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選」
 H・P・ラヴクラフト作 南條竹則編訳 (新潮文庫)


 タイトル作や「時間からの影」など、重要なクトゥルー神話を含む作品集です。
 前作「インスマスの影」に続く、「クトゥルー神話傑作集」の第二弾です。
 「インスマスの影1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-11-30
 「インスマスの影2」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2021-12-03


狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/11/28
  • メディア: 文庫



 南極の探検隊が、人類誕生前の超古代文明を発見する「狂気の山脈にて」は傑作です。
 クトゥルー神話を語るうえで外すことができません。すでに前回紹介しました。
 「狂気の山脈にて1」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-04-22
 
 「時間からの影」も「狂気の山脈にて」同様、クトゥルー神話上の重要作品です。
 5年間記憶を失っていたピーズリー教授が、当時の自分を調査するという物語です。

 ピーズリー教授はあるとき記憶をすべて失い、同時に全く別の人格が現れました。
 もとに戻ると夢を手掛かりに、わが身に起こったことを次のように解釈しました。

 未知の領域から侵入したはるかに優れた知性が、自分を乗っ取っていたのだと。
 そしてその間、自分は時空を超えて、彼ら「大いなる種族」の体の中にいたのだと。

 「『大いなる種族』の身体は高さ十フィートの巨大な皺の寄った円錐体で、その頂部
 から伸び広がる太さ一フィートの膨張性の肢に、頭や他の器官がついていた。」(P336)

ダウンロード (2).jpg

 しかしそれは、結局ただの夢だったのではないか?
 ところが、オーストラリアの遺跡で彼が見たものは・・・ラストにハッとします!

 「ランドルフ・カーターの陳述」は、墓地における恐怖体験です。
 親友ウォレンは何を見たのか? 彼の身に何が起こったのか?

 ランドルフ・カーターは、この作品をはじめ、5回にわたって登場するそうです。
 彼はまた、夢を介して異世界に行くという特殊能力を持つのだそうです。

 「ピックマンのモデル」は、奇怪で妖しい絵を描く画家ピックマンの物語です。
 「恐怖も現実を見て描かなくては」と言う彼は、いったい何をモデルにしたのか?

 「エーリッヒ・ツァンの音楽」は小品ですが、たいへん印象に残る作品です。
 「私」が大学時代に出会った、エーリッヒ・ツァンというヴィオール弾きの話です。

 異様で妖しい音楽を奏でるツァンは、窓の外にある何かに怯えているようなのです。
 そしてある夜、外から美しい音が響くと、彼は狂ったように弾き始めて・・・

 「ダゴン」は、「インスマスの影」との関連がありそうな「半魚人もの」です。
 ボートで座礁した「私」が、そこで見た一本石には、奇妙な浮き彫がありました。

 「水掻きのついた手と足、ゾッとするほど幅広く、たるんだ唇、どんよりした突き出
 した眼、(中略) それでも全体の輪郭はいやらしくも人間の形をしていた。」・・・

 ほか、「猟犬」「祝祭」など、恐ろしい物語ばかりです。
 しかし、現実的に本当に恐ろしいのは、新型コロナウィルスだったりします。

 ところが、「新型コロナはでっちあげでワクチンは毒だ」と信じている人もいます。
 本当に恐ろしいのは、我々人間の迷妄なのかもしれません。

 ところで、ラヴクラフトのマニアは、創元推理文庫版の全集を読むのだそうです。
 私も少し読んでみましたが、訳が古いせいか、新潮文庫よりも読みにくかったです。


ラヴクラフト全集 1 (創元推理文庫)

ラヴクラフト全集 1 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(トレンド転換か)

 先日モデルナを打った同僚が、副反応が何も出なかったと言って自慢していました。
 周囲の仲間たちも「すごいねー」と称賛していました。

 まさか、トレンドが転換していたとは。今は副反応が出ないことか自慢になるとは。
 そうとは知らず、まじめに副反応を求めていた私は、なんと愚かだったことか!

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。