半身 [20世紀イギリス文学]
「半身」 サラ・ウォーターズ作 中村有希訳 (創元推理文庫)
ヴィクトリア朝のミルバンク監獄を舞台にした、貴婦人と女囚の謎めいた物語です。
1999年に出てモーム賞を受賞し、日本でも「このミス」海外部門1位となりました。
1874年9月、老嬢のマーガレット・ブライアは、ミルバンク監獄を慰問しました。
怪物にたとえられる堅牢な建物の中、さまざまな女囚たちが監禁されていました。
マーガレットはそこで、不思議な雰囲気を持つ19歳の美しい女囚と出会いました。
彼女の名はシライナ。彼女は霊媒で、1年前に貴婦人を怪我させたのだそうです。
「霊はいつでもわたしたちのまわりにいる」
シライナと言葉を交わしたことで、彼女のことが急に気になり始めました。
やがて不思議なことが起こり、マーガレットはシライナの能力を信じ始め・・・
交流するうちに知らず知らず惹かれ合い、やがてふたりの関係は・・・
この物語の大きな魅力は、ミルバンク監獄のおどろおどろしい雰囲気です。
我々読者もまた、どこに連れて行かれるのか分からない恐怖があります。
そしてもうひとつの魅力が、妖しい魅力を持ったシライナです。
霊媒としての彼女の言葉が、ますます我々読者を迷わせます。
そう、霊は誰かのもとに飛んでいく。わたしたちはみんな誰かのもとに飛んでいって、
ふたりでひとつの光り輝く魂に戻る。裂かれた魂のかたわれと、ふたりでひとつ。魂
の半身と。」(P287)
「わたしはあなたを探すために生まれてきた、あなたはわたしを探すために生まれて
きた。あなたはわたしを求めていたの、あなたの半身を。」(P374)
シライナが監獄にいるなら、マーガレットもまた家庭という監獄にいました。
ふたりが求めたのは自由。シライナは自由を手にするか? マーガレットはどうか?
そして、終盤の怒涛の展開と、おどろくべきラスト。
本当によくできたミステリー小説だと思いました。
作者サラ・ウォーターズは、ヴィクトリア朝を描いた作品で知られています。
と同時に、レズビアン小説でも知られています。本作もそのひとつです。
彼女の作品で、「半身」以上に評価が高いのが次作「荊(いばら)の城」です。
「このミス」海外部門で、二作連続で一位となりました。いつか読みたいです。
さいごに。(見てくれる人は?)
高校生になって、娘の朝の準備時間が長くなりました。
髪の毛をやたらといじくって・・・お前、見てくれる人がそんなにいるのか?
ヴィクトリア朝のミルバンク監獄を舞台にした、貴婦人と女囚の謎めいた物語です。
1999年に出てモーム賞を受賞し、日本でも「このミス」海外部門1位となりました。
1874年9月、老嬢のマーガレット・ブライアは、ミルバンク監獄を慰問しました。
怪物にたとえられる堅牢な建物の中、さまざまな女囚たちが監禁されていました。
マーガレットはそこで、不思議な雰囲気を持つ19歳の美しい女囚と出会いました。
彼女の名はシライナ。彼女は霊媒で、1年前に貴婦人を怪我させたのだそうです。
「霊はいつでもわたしたちのまわりにいる」
シライナと言葉を交わしたことで、彼女のことが急に気になり始めました。
やがて不思議なことが起こり、マーガレットはシライナの能力を信じ始め・・・
交流するうちに知らず知らず惹かれ合い、やがてふたりの関係は・・・
この物語の大きな魅力は、ミルバンク監獄のおどろおどろしい雰囲気です。
我々読者もまた、どこに連れて行かれるのか分からない恐怖があります。
そしてもうひとつの魅力が、妖しい魅力を持ったシライナです。
霊媒としての彼女の言葉が、ますます我々読者を迷わせます。
そう、霊は誰かのもとに飛んでいく。わたしたちはみんな誰かのもとに飛んでいって、
ふたりでひとつの光り輝く魂に戻る。裂かれた魂のかたわれと、ふたりでひとつ。魂
の半身と。」(P287)
「わたしはあなたを探すために生まれてきた、あなたはわたしを探すために生まれて
きた。あなたはわたしを求めていたの、あなたの半身を。」(P374)
シライナが監獄にいるなら、マーガレットもまた家庭という監獄にいました。
ふたりが求めたのは自由。シライナは自由を手にするか? マーガレットはどうか?
そして、終盤の怒涛の展開と、おどろくべきラスト。
本当によくできたミステリー小説だと思いました。
作者サラ・ウォーターズは、ヴィクトリア朝を描いた作品で知られています。
と同時に、レズビアン小説でも知られています。本作もそのひとつです。
彼女の作品で、「半身」以上に評価が高いのが次作「荊(いばら)の城」です。
「このミス」海外部門で、二作連続で一位となりました。いつか読みたいです。
さいごに。(見てくれる人は?)
高校生になって、娘の朝の準備時間が長くなりました。
髪の毛をやたらといじくって・・・お前、見てくれる人がそんなにいるのか?
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