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知的生産の技術 [読書・ライフスタイル]

 「知的生産の技術」 梅棹忠夫 (岩波新書)


 まだパソコンがない時代に、知的生産活動の実践的技術について提案した著書です。
 1969年に出ました。今なお読み継がれている、知的生産についての古典的名著です。


知的生産の技術 (岩波新書 青版 722)

知的生産の技術 (岩波新書 青版 722)

  • 作者: 梅棹 忠夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2024/04/06
  • メディア: 新書



 梅棹は「知的生産」を「頭を働かせて何か新しい情報を提出すること」と言います。
 そして、梅棹自身が行っているその実践的な方法を、次の11章で解説しています。

 ①発見の手帳 ②ノートからカードへ ③カードとその使い方 ④きりぬきと規格化
 ⑤整理と事務 ⑥読書 ⑦ペンからタイプライターへ ⑧手紙 ⑨日記と記録
 ⑩原稿 ⑪文章

 ①の「発見の手帳」とは、毎日の生活体験における発見や着想を記述する手帳です。
 いつでも書けるように持ち歩き、思いついたらその場で文章にして記述します。

 ②では、ノートが整理に向かないため、カードを使い始めたことが書かれています。
 さまざまな発見もカードに書けば、それを並び替えることで、思考が整理されます。

 ③では、そのカードを説明します。B6判のそれを「京大型カード」と呼びます。
 いつでも持って歩き、一枚一項目を原則に書きつけ、書いたら忘れてもいいのです。

 カードで大事なことは組み換え操作であり、並び替えたとき意外な発見があります。
 そしたらその発見もカード化します。そのときカードは創造の装置となるのです。

 ④は、新聞切り抜きをフォルダーに保存する、オープン・ファイル方式の説明です。
 その際、定型の台紙に貼ることで、切り抜きは規格化され、カード化されるのです。

 ⑤では、「垂直式ファイリング・システム」という、文書整理法を紹介しています。
 それは、二つ折りフォルダーに書類を挟み、カードのように立てて並べるものです。

 ⑥では、読書の仕方や、その後の「読書カード」の作り方などを紹介しています。
 本に傍線を引きながら読み、何日か寝かせてから、カードにしていくのだそうです。

 ⑦では、タイプライターの必要性を訴え、⑧では、手紙の形式化を提唱しています。
 ⑨で、日記のカード化を考え、⑩と⑪では、原稿化と文章化のコツを伝えています。

 さて、本書でもっとも有名な箇所は、②と③における「京大型カード」の説明です。
 梅棹が図書館用品店に注文して作ったカードは、本書でさらに有名になりました。

 一方、私が個人的にもっとも興味を覚えた箇所は、もちろん⑥における読書法です。
 私のこのブログは、考えてみると、梅棹の「読書ノート」の代わりになっています。

 ところで、私の持っているこの本は1991年の第49刷です。社会人2年目の年です。
 働き始めたばかりの、仕事に追われる中、自分だけの「知的生活」に憧れたのです。

 「知的生活の方法」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-24
 「考える技術・書く技術」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2018-04-21
 「思考の整理学」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-10-09

 ちなみに本書は、押入れの棚を整理をしていたときに、どこからか出てきました。
 ほか、外山滋比古の「知的創造のヒント」「読書の方法」も一緒に出てきました。

 さいごに。(うなぎ)

 先日、久しぶりにうなぎを食べました。5年ぶりぐらいでしょうか。
 記念に写真を残しました。おそらく次に食べるのは、5年後ぐらいでしょうから。

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