ミドルマーチ2 [19世紀イギリス文学]
「ミドルマーチ2」 ジョージ・エリオット作 廣野由美子訳 (古典新訳文庫)
架空の町ミドルマーチに住む2人の男女を軸に、様々な人間模様を描いた作品です。
1871年刊行です。古典新訳文庫で全4巻です。今回はその第2巻を紹介します。
市長の長男フレッド・ヴィンシーは、職に就かず毎日をだらだらと過ごしています。
金持ちのフェザストーンの相続人と目されているため、甘やかされているのです。
フレッドは、フェザストーンの看護をしているメアリー・ガースに求愛しています。
メアリーもフレッドに好意を持っていますが、彼が職についてないので応じません。
フレッドは、仲間から借りた160ポンドを返すため、メアリーの父に借金しました。
しかし、彼の見込みが甘かったせいで、その金を返すことができなくなったのです。
ガース家は困り果て、フレッドも良心を痛めますが、どうすることもできません。
そのころフェザストーンが死の床に就き、フレッドへの相続の期待が高まりました。
と同時に、フェザストーンの親類たちが、何かおこぼれをもらおうと集まりました。
そんな人々の卑しさを、何も期待していないメアリーは、冷徹に観察していました。
「彼女はすでに、人生とはまさに喜劇だと思う境地に至っていた。そのなかで自分は、
卑劣な役や不誠実な役は演じまいと、誇り高く、というよりも広い心で構えていた。
(中略)みんなばかげた妄想に取りつかれていた。自分も例外なく道化師帽をかぶっ
た愚か者であるのに、それには気づかず、他人の愚かさは見え透いていて、自分だけ
は見透かされないと思っているのだ。」(P191)
そんなメアリーだったからこそ、フェザストーンの最後の頼みに応じられず・・・
それによって、さまざまなどんでん返しがあり・・・そしてフレッドは・・・
と、フレッドとメアリーの恋愛は、遺産問題と絡まって、実に面白い展開をします。
フレッドにとって不本意な展開ですが、最終的にはプラスになるような気がします。
さて、ここで興味深いのが、フレッドのメアリに対する愛情です。
メアリーは美人でもなく金持ちでもありませんが、心が豊かでまっとうな女性です。
そんなメアリーを愛したところに、フレッドというのらくら青年の美点があります。
彼は、軽薄でばかげた青年に見えますが、本当は純な心を持っているのではないか?
ところで、メアリーの母親もしっかりしていて、見栄えはメアリーより良いのです。
それはめったにないことです。そのことを、次のように絶妙な表現で伝えています。
「母親を見て、娘の方もこんなふうになってほしいと思われるようならば、それは持
参金にも匹敵する財産だ。しかし実際には、母親は『娘も間もなく、私みたいになっ
てしまうのですよ』と予言する背後霊のような役割を果たしている場合の方が、ずっ
と多いようだ。」(P38)
この第2巻では、リドゲイトとロザモンドの関係もいっきに進みました。
噂を恐れたリドゲイトは、ロザモンドと距離をとりますが、そのことがかえって・・・
また、ドロシアとラディスローも、微妙な仕方で接近していきます。
ふたりともまだ自分の本当の気持ちに気づいていないようですが・・・
「ミドルマーチ」はここでようやく中間点です。
第3巻はどんな展開をするでしょうか。目が離せません。
さいごに。(幻想的な青いラン)
先週訪れた花博で、青いランを見ました。とても幻想的な美しさでした。
また、さりげなく植えてある花たちにも、疲れた心を癒されました。
架空の町ミドルマーチに住む2人の男女を軸に、様々な人間模様を描いた作品です。
1871年刊行です。古典新訳文庫で全4巻です。今回はその第2巻を紹介します。
市長の長男フレッド・ヴィンシーは、職に就かず毎日をだらだらと過ごしています。
金持ちのフェザストーンの相続人と目されているため、甘やかされているのです。
フレッドは、フェザストーンの看護をしているメアリー・ガースに求愛しています。
メアリーもフレッドに好意を持っていますが、彼が職についてないので応じません。
フレッドは、仲間から借りた160ポンドを返すため、メアリーの父に借金しました。
しかし、彼の見込みが甘かったせいで、その金を返すことができなくなったのです。
ガース家は困り果て、フレッドも良心を痛めますが、どうすることもできません。
そのころフェザストーンが死の床に就き、フレッドへの相続の期待が高まりました。
と同時に、フェザストーンの親類たちが、何かおこぼれをもらおうと集まりました。
そんな人々の卑しさを、何も期待していないメアリーは、冷徹に観察していました。
「彼女はすでに、人生とはまさに喜劇だと思う境地に至っていた。そのなかで自分は、
卑劣な役や不誠実な役は演じまいと、誇り高く、というよりも広い心で構えていた。
(中略)みんなばかげた妄想に取りつかれていた。自分も例外なく道化師帽をかぶっ
た愚か者であるのに、それには気づかず、他人の愚かさは見え透いていて、自分だけ
は見透かされないと思っているのだ。」(P191)
そんなメアリーだったからこそ、フェザストーンの最後の頼みに応じられず・・・
それによって、さまざまなどんでん返しがあり・・・そしてフレッドは・・・
と、フレッドとメアリーの恋愛は、遺産問題と絡まって、実に面白い展開をします。
フレッドにとって不本意な展開ですが、最終的にはプラスになるような気がします。
さて、ここで興味深いのが、フレッドのメアリに対する愛情です。
メアリーは美人でもなく金持ちでもありませんが、心が豊かでまっとうな女性です。
そんなメアリーを愛したところに、フレッドというのらくら青年の美点があります。
彼は、軽薄でばかげた青年に見えますが、本当は純な心を持っているのではないか?
ところで、メアリーの母親もしっかりしていて、見栄えはメアリーより良いのです。
それはめったにないことです。そのことを、次のように絶妙な表現で伝えています。
「母親を見て、娘の方もこんなふうになってほしいと思われるようならば、それは持
参金にも匹敵する財産だ。しかし実際には、母親は『娘も間もなく、私みたいになっ
てしまうのですよ』と予言する背後霊のような役割を果たしている場合の方が、ずっ
と多いようだ。」(P38)
この第2巻では、リドゲイトとロザモンドの関係もいっきに進みました。
噂を恐れたリドゲイトは、ロザモンドと距離をとりますが、そのことがかえって・・・
また、ドロシアとラディスローも、微妙な仕方で接近していきます。
ふたりともまだ自分の本当の気持ちに気づいていないようですが・・・
「ミドルマーチ」はここでようやく中間点です。
第3巻はどんな展開をするでしょうか。目が離せません。
さいごに。(幻想的な青いラン)
先週訪れた花博で、青いランを見ました。とても幻想的な美しさでした。
また、さりげなく植えてある花たちにも、疲れた心を癒されました。