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知的創造のヒント [読書・ライフスタイル]

 「知的創造のヒント」 外山滋比古 (講談社現代新書)


 著者自身が行っている、知的創造のためのトレーニング法について紹介した著書です。
 1977年に出た講談社新書版は絶版ですが、ちくま文庫に入って読み継がれています。


知的創造のヒント (講談社現代新書 490)

知的創造のヒント (講談社現代新書 490)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/04/14
  • メディア: 新書



知的創造のヒント (ちくま学芸文庫 ト 10-2)

知的創造のヒント (ちくま学芸文庫 ト 10-2)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/10/08
  • メディア: 文庫



 グライダーが空を飛ぶことができるのは、誰かが引っ張ってくれるおかげなのです。
 落ちそうになったらまた引っ張る。教育は、グライダー効果を狙っているようです。

 彼らに「さあ自由に飛んでみよ」と言ったら、優秀な人ほど途方にくれるでしょう。
 しかし、我々は落ちるリスクを冒してでも、自分のエンジンで飛ぶ必要があります。

 というように、いつもの外山節で始まります。外山一流の比喩が際立ちます。
 さまざまな比喩を用いて、「創造すること」の大切さとその方法を教えてくれます。

 私たちは、面白いアイディアがあると、それを借りてきて真似しようとしがちです。
 しかし借りてきたアイディアは、花の咲いている枝を切って来たようなものです。

 切り花には根がないから、たちまち枯れてしまいます。学校教育もまた同じです。
 アイディアは、人間の心という土壌の中で芽を出した植物でなければなりません。

 そういうアイディアは、出来上がるまでしばらく寝かせておくことが大事です。
 「その間に種子は精神の土壌の中で爆発的発芽の瞬間を準備する。」と言います。

 ほかたいへん参考になることが多いです。私は本書で外山滋比古にはまりました。
 ただし、1983年刊行のロングセラー「思考の整理学」と、一部内容がかぶります。
 「思考の生理学」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-10-09

 本書でもっとも印象に残っているのが、冒頭の「啐啄(そったく)の機」の話です。
 それは、孵化した卵を親鳥が外からつつくのと、雛が殻を破る呼吸が合うことです。

 自然の摂理は精巧で、親鳥は早くも遅くもない絶妙なタイミングで卵をつつきます。
 アイディアもまた、充分な時間をかけて温め、ちょうどよい時期に生み出すのです。

 7章では、本は面白いところでわざと離れる、という読書法を紹介しています。
 あえて読みさすことで先が気になり、次回本に入り込みやすくなると言うのです。

 ただし、これはいつでも本が読める人の方法でしょう、と私はツッコミたいです。
 私事ですが最近やたらと忙しくて、読みかけの本たちが気になって気になって・・・

 3月じゅうに、「ミドルマーチ」は全4巻すべてを読み終えておくべきでした。
 まったく本が読めていないので、今回も、大学時代に読んだ本書を紹介しています。

 さて外山には、同じ講談社現代新書から出た「読書の方法」という著書もあります。
 読書には、既知を読むアルファー読みと未知を読むベーター読みがあると言います。

 さらに、既知のものを指すアルファー語と未知のものを指すベーター語があって・・・ 
 と続きますが、そのように小難しい分類をする意味が、私には分かりませんでした。


読書の方法: 未知を読む (講談社現代新書 633)

読書の方法: 未知を読む (講談社現代新書 633)

  • 作者: 外山 滋比古
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1981/11/01
  • メディア: 新書



 さいごに。(先週の読書は0ページ)

 4月も2週目に入って、忙しさが倍増しました。まるで冗談のように忙しいです。
 もちろん、本なんて読めません。この1週間の読書は0ページです。ああ・・・

 世の中には「本なんて読まない」という人もいます。そういう人が少し羨ましい。
 ドロシアとラディスローがこの先どうなるのか、気になって仕方がありません。

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