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指輪物語 王の帰還 2 [20世紀イギリス文学]

 「指輪物語 王の帰還 下」 J・R・R・トールキン作 田中明子訳 (評論社文庫)


 ホビット族のフロドとその仲間たちが、冥王の指輪を破壊するため旅する物語です。
 シリーズは全10巻です。「王の帰還 下」は最終の第9巻で、第10巻は追補編です。


新版 指輪物語〈9〉王の帰還 下 (評論社文庫)

新版 指輪物語〈9〉王の帰還 下 (評論社文庫)

  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 1992/07/01
  • メディア: 文庫



 モルドールに入ったフロドとサムは、はるかかなたの滅びの山に向かって進みます。
 ところがフロドは、指輪の魔力(?)によって、徐々に身心を蝕まれていきました。

 「わたしはとても疲れてしまった。指輪がとても重いんだよ、サム。それに心の中に
 いつも指輪が見え始めたんだ。ぐるぐる回る大きな火の車のようにね。」(P64)

 それでは自分が指輪を持とうと、サムが言うと、フロドはこう言いました。
 これは自分の負った荷であり、それに自分はこの指輪に支配されてしまったのだと。

 そんなフロドに、サムは食料を与えたり、寝ずの番をしたりと、献身的に仕えます。
 滅びの山でサムは、疲れ果てたフロドを背負って登って行きました。

 そしてほとんど火口に着いたとき、スメアゴルが指輪を奪おうと襲いかかりました。
 サムがスメアゴルを相手にしている間、フロドが裂け穴のふちで動かなくなり・・・

 「わたしがここに来てするはずだったことを、もうしないことにした。(中略)指輪
 はわたしのものだ!」(P125)フロドはそう言って、指輪を指にはめて・・・

 土壇場でのフロドの変心! 指輪をはめると同時にサウロンにも気づかれて・・・
 この緊迫した状況を、意外な形で打開するのは、いったい誰か?・・・

 というように、クライマックスでは予想外の展開をします。
 この場面は映画でも、印象的に描かれていました。特にスメアゴルの描き方がいい!

 さて、フロドの任務が果たされてサウロンが滅び、新しい時代がやってきました。
 その新時代を担うのは「人間」だということです。王が帰還したからでしょうか。

 一方ホビットたちは、故郷に帰ってからも、やるべきことが残されていました。 
 映画には描かれていませんでしたが、ラストの場面で彼らの成長ぶりが分かります。

 そして、ある者の最期も描かれています。これもまた、意外で面白い展開でした。
 ただし気になったのが、ここで「人間」が悪者として登場している点です。

 人間に、新しい時代を任せて大丈夫か? なぜ新時代の支配者に選ばれたのか?
 新しい時代の支配者としてふさわしいのは、任務を遂行したホビットではないか?

 このへんのところは、いろいろと考えたのですが、よく分からなかったです。
 作品中で、もう少し分かりやすく説明してくれたらよかったのに、と思いました。

 また、フロドが西の国へ旅立ってしまう理由も、もう少し説明が欲しかったです。
 フロドが指輪によって憔悴したのは分かるけど、ビルボに比べたら若いのだし。

 そういえば、メリーとフロドのセリフで、妙に印象に残っているものがあります。
 この言葉は、フロドが西の国へ旅立つことを、暗示しているのでしょうか。

 「ほかの人たちはみんな、次々とあとに残して来たんだね。まるでゆっくりと醒め
 ていく夢みたいだな。」
 「わたしにとってはそうじゃないね。」と、フロドがいいました。「わたしはもう
 一度眠りに落ちていくような感じだよ。」(P249)

 これで、「指輪物語」は終わりとなります。面白かったけど、長かった!
 第10巻の「追補編」を読む予定はありません。おなかいっぱいなので。

 さいごに。(本を200冊捨てた)

 年末年始に本の整理をしました。読み返しそうもない本を、約200冊捨てました。
 私は本に書き込みながら読むので、古本屋に売りに行くことができません。

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