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チボー家の人々3 美しい季節Ⅰ [20世紀フランス文学]

 「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)


 3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
 全8部(新書で13巻)。第3部「美しい季節」は1923年刊行。最終巻は1940年刊行。


チボー家の人々 3 美しい季節 (白水Uブックス 40)

チボー家の人々 3 美しい季節 (白水Uブックス 40)

  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1984/03/01
  • メディア: 新書



 「少年園」から5年の歳月が経っていました。ジャックは20歳になっていました。
 兄のアントワーヌは医者として、親友のダニエルは画家として、歩み始めています。

 彼は、受験した高等学校には落ちている方がいいと、アントワーヌに言いました。
 「なぜさ?」と聞く兄に、彼は「すべてのものからのがれるために!」と答えます。

 「ぼくにはもう、ほんとに出発することなんかできやしないんだ」と言うジャック。
 結局第3位で見事合格しますが、兄やダニエルの生き方に違和感を持っていました。

 ダニエルは、ジャックの合格を祝うため、彼とアントワーヌを晩餐会に誘いました。
 ダニエルは父親譲りの女たらしになっていて、美しい店員リネットを誘惑します。

 ジャックは、その場の雰囲気にどうしてもなじめません。
 やがて、兄がいつまでも来ないことを心配し、急に不吉な予感にとらわれました。

 そのころアントワーヌは、人生の大きな試練に直面していたのです。
 交通事故で重傷を負ったシャール氏の娘に、生まれて初めて大手術を施して・・・

 ジャックを中心に、兄アントワーヌと、親友ダニエルが、自分の道を歩み始めます。
 巻のタイトル「美しい季節」とは、彼らの青春と恋の季節を象徴しているようです。

 実際、ダニエルはリネットを誘惑し、アントワーヌはラシェルと出会いました。
 ジャックとジェンニーは、まだまだこれからです。この先、どうなっていくのか?

 さて、ここで気になるのは、何度も引用されるジッドのエッセイ「地上の糧」です。
 ジッドが青年に向けて投げかけた数々の熱い言葉は、ダニエルに直撃したようです。


地の糧 (新潮文庫 シ 2-5)

地の糧 (新潮文庫 シ 2-5)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/04/05
  • メディア: 文庫



 (ダニエルは)「ふたたび最初の一ページから、ゆっくり読みはじめた。彼には、い
 まこそ厳粛なときであり、ひとつの仕事、ひとつのふしぎな発芽が、自分の心のもっ
 とも深いところで行われていることが感じとられた。明け方、最後のページを読みお
 わったとき、彼は、自分が、いままでとちがった目で人生をながめていることに気が
 ついた。」(P33)

 ジッドと言えば「背徳者」の人。要するに「地の糧」は、不良の本なのではないか?
 文庫の紹介には、「欲望を肯定し情熱的に生きることを賛美する」とありますし。

 ジッドの本が、ダニエルの持つ良からぬ血を、湧き立たせたのは確かなようです。
 プレイボーイ気取りのダニエルには、かつての純な少年の面影も魅力もありません。

 その一方で、ジャックとジェンニーの交流は、たどたどしくて応援したくなります。
 リスベットと荘厳な儀式を経ているジャックは、本物の愛を見い出すのでしょうか?

 さいご(まったく懲りない私である)

 家族で食事に行きました。それが、デザートバイキング付きディナーだったのです。
 メインディッシュもおいしかったのですが、デザートも充実していました。

 私が気に入ったのは、自分でクレープが作れるコーナーです。
 生クリームをたっぷり入れていくつも作り・・・翌朝はまたも便通が・・・

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