チボー家の人々4 美しい季節Ⅱ [20世紀フランス文学]
「チボー家の人々」 マルタン・デュ・ガール作 山内義雄訳 (白水Uブックス)
3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
全8部(新書で13巻)。第3部「美しい季節」は1923年刊行。最終巻は1940年刊行。
巻のタイトル「美しい季節」とは、彼らの青春と恋の季節を象徴しています。
アントワーヌとラシェルの恋は? ジャックとジェンニーの交流も気になります。
しかし、第4巻「美しい季節Ⅱ」で、一番強烈な印象を残すのは、ジェロームです。
ジェロームはダニエルの父で、この6年間家を放って愛人ノエミと暮らしています。
ところが、ノエミが危篤となってカネを使い果たすと、妻に泣きついてくるのです。
妻を電報で呼び出して、借金を払わせて・・・しかも、これだけで終わりません。
かつての恋人リネットを見つけ出すと、手に入ったカネを渡し年金の約束もします。
しかも送金は、妻にさせようと考えているのです。クズ男、ここに極まれり!
しかも本人は、リネットを救ったことで、良いことをしている気でいるのです。
クズ男も、ここまでくるとかえって立派です。ある意味、愛すべき存在ですよ。
「みんなはおれを悪い人間だと言っている。みんなは知らないんだ。おれは、自分
の行いにあらわれているのより、ずっとずっとよい人間なんだ」(P162)
ああ、フォンタナン夫人。クズ男ジェロームを甘やかしている夫人も夫人ですよ。
そういうところを見て育ったら、長男ダニエルだって、そりゃぐれるでしょうよ。
さて、この巻にはもうひとりの強烈なクズ男が登場します。それはイルシュです。
イルシュは、ラシェルのかつての情夫ですが、これがとんでもない悪党なのです。
ラシェルにはかつてクララという友人がいて、その父親(?)がイルシュでした。
ところがイルシュは、クララと・・・ラシェルの兄アーロンの死もまた・・・
イルシュは怪物です。イルシュに比べたら、ジェロームがかわいく見えてきます。
それなのに、ラシェルはイルシュから離れられません。こういう奴が一番ヤバい。
一方、ジャックとジェンニーの恋は、あまりにも純真で、なかなか進展しません。
この2人が物語の本道なのに、悪党二人に挟まれて、あまり存在感がありません。
さて、美しい季節は短い。この巻のラストで、アントワーヌは失恋しています。
しかし次巻「診察」では、仕事に没頭することで完全復活するそうです。えらい。
さいごに。(メガネを外せば)
「増税メガネ」がすっかり世に浸透しました。今年の流行語大賞の最有力候補だとか。
それにしても、「レーシックにすればいいのか」という首相の切り返しはうまかった!
レーシックにして、メガネを外せばイケメンだということを、我々に気付かせたので。
「増税は首相のせいではなくメガネのせいだ」と言う人まで出てくる始末です。(笑)
3人の少年たちが成長していく約10年を、世界情勢を交えながら描いた大河小説です。
全8部(新書で13巻)。第3部「美しい季節」は1923年刊行。最終巻は1940年刊行。
巻のタイトル「美しい季節」とは、彼らの青春と恋の季節を象徴しています。
アントワーヌとラシェルの恋は? ジャックとジェンニーの交流も気になります。
しかし、第4巻「美しい季節Ⅱ」で、一番強烈な印象を残すのは、ジェロームです。
ジェロームはダニエルの父で、この6年間家を放って愛人ノエミと暮らしています。
ところが、ノエミが危篤となってカネを使い果たすと、妻に泣きついてくるのです。
妻を電報で呼び出して、借金を払わせて・・・しかも、これだけで終わりません。
かつての恋人リネットを見つけ出すと、手に入ったカネを渡し年金の約束もします。
しかも送金は、妻にさせようと考えているのです。クズ男、ここに極まれり!
しかも本人は、リネットを救ったことで、良いことをしている気でいるのです。
クズ男も、ここまでくるとかえって立派です。ある意味、愛すべき存在ですよ。
「みんなはおれを悪い人間だと言っている。みんなは知らないんだ。おれは、自分
の行いにあらわれているのより、ずっとずっとよい人間なんだ」(P162)
ああ、フォンタナン夫人。クズ男ジェロームを甘やかしている夫人も夫人ですよ。
そういうところを見て育ったら、長男ダニエルだって、そりゃぐれるでしょうよ。
さて、この巻にはもうひとりの強烈なクズ男が登場します。それはイルシュです。
イルシュは、ラシェルのかつての情夫ですが、これがとんでもない悪党なのです。
ラシェルにはかつてクララという友人がいて、その父親(?)がイルシュでした。
ところがイルシュは、クララと・・・ラシェルの兄アーロンの死もまた・・・
イルシュは怪物です。イルシュに比べたら、ジェロームがかわいく見えてきます。
それなのに、ラシェルはイルシュから離れられません。こういう奴が一番ヤバい。
一方、ジャックとジェンニーの恋は、あまりにも純真で、なかなか進展しません。
この2人が物語の本道なのに、悪党二人に挟まれて、あまり存在感がありません。
さて、美しい季節は短い。この巻のラストで、アントワーヌは失恋しています。
しかし次巻「診察」では、仕事に没頭することで完全復活するそうです。えらい。
さいごに。(メガネを外せば)
「増税メガネ」がすっかり世に浸透しました。今年の流行語大賞の最有力候補だとか。
それにしても、「レーシックにすればいいのか」という首相の切り返しはうまかった!
レーシックにして、メガネを外せばイケメンだということを、我々に気付かせたので。
「増税は首相のせいではなくメガネのせいだ」と言う人まで出てくる始末です。(笑)
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