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金閣寺 [日本の近代文学]

 「金閣寺」 三島由紀夫 (新潮文庫)


 吃音で劣等感を持つ学僧が、美の象徴である金閣寺に放火するまでを描いた物語です。
 1956年刊行。実際の事件をもとに書かれ、三島由紀夫の最高傑作と言われています。


金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

  • 作者: 由紀夫, 三島
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/04/01
  • メディア: 文庫



 私の手元にあるのは、新潮文庫から平成22年に出たキンキラキンの限定カバー版です。
 しばらく前に古本屋で250円で手に入れました。「金閣寺」といったらこの本ですよ。

P1070852.jpg
 左は、2015年に出た黄金色のカバー。右は、2010年に出たキンキラキンのカバー。
 詳しくは → https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2016-03-30

 主人公の溝口は生来の吃音のせいで、常に外界と隔てられているように感じています。
 幼い頃「金閣ほど美しいものはない」と父から聞かされ、金閣に憧れを抱いています。

 「夜空の月のように、金閣は暗黒時代の象徴として作られたのだった。(中略)闇の
 なかに、美しい細身の柱の構造が、内から微光を放って、じっと物静かに坐っていた。
 (P27)

 と、溝口は想像しています。
 そして溝口自身は、金閣寺の完璧な美から、疎外されているように感じていました。

 やがて父が死ぬと、溝口はその遺言に従って、京都に出て金閣寺の徒弟となりました。
 戦時中、金閣も空襲で焼かれると考えると、金閣は悲劇的な美しさに輝き出しました。

 金閣は、自分と同じ現象界のはかなさの象徴となり、金閣と親しむようになりました。
 しかし終戦後に金閣が残ると、それは現象界から超絶した永遠性の象徴となりました。 

 「金閣と私との関係は絶たれたんだ」
 戦後人々の邪悪さを見るにつけ、溝口もまた心の暗黒面に深く沈もうと考え・・・

 さて、このあと金閣は、さまざまな場面で溝口の前に立ち現れます。
 たとえば女を抱こうとしたとき、その乳房が金閣となって目的を達せなくなったり。

 溝口は、自分を寄せ付けない絶対的な美である金閣を、憎むようにさえなります。
 その後「金閣を焼かねばならない」と決意する真理を、私は理解できませんでした。

 老師との関係の悪化、母の失望、親友の鶴川の死、悪友の柏木の影響、有為子の記憶。
 生まれつきの吃り・・・しかし、もっと根本的な原因が、金閣自体にあるのでは?

 正直に言って、私はこの小説を、うまく消化できませんでした。
 少し時間を置いて、もう一度読み返さなければならないと思います。

 さいごに。(推しが変わった?)

 妻が野球中継を見ていたので、内心驚きました。妻はルールさえ知らなかったので。
 しかも、パリーグの試合です。どうやらオリックスを応援しているらしい。

 実は、WBCを最も熱心に見ていたのは妻です。そこで、推しができたようなのです。
 そういえば、最近ジャニーズの番組を見る頻度が減ったような・・・

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