ジャン・クリストフ6 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(三)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(三)には、第六巻から第八巻が収められています。
ここから物語の後半です。今回は、第六巻「アントアネット」を紹介します。
姉のアントアネットと5歳下の弟オリヴィエは、有名な銀行家の家に生まれました。
彼らジャンナン家は裕福で、ふたりは何不自由のない子供時代を過ごしました。
ところが父が、怪しげな投機で失敗して破産し、拳銃自殺をしてしまったのです。
ジャンナン家は一気に没落し、寡婦と孤児たちは逃げるようにパリに出てきました。
しかしジャンナン夫人は、パリで豊かに暮らす姉にも、受け入れられませんでした。
そして夫人は失意のうちに頓死し、アントアネットとオリヴィエが残されて・・・
第六巻「アントアネット」は、タイトル通り、アントアネットが主人公です。
クリストフはほとんど出てきません。登場するのはやっと100ページになってから。
またこの巻は、140ページほどしかありません。それでいてとても味わい深いです。
アントアネットが、オリヴィエのために懸命に生きていく姿が、実に切ないです。
そして、薄幸のアントアネットとクリストフの人生が、ほんの一瞬だけ交差します。
その出会いは運命と言うべきでしょう。しかし、幸せだったのか、不幸だったのか?
また、アントアネットの列車と、クリストフの列車が、偶然すれ違う場面ときたら!
ロマン・ロランは、この場面をドラマティックに印象的に描いています。
「すべては過ぎ去る、言葉や接吻や恋しい肉体の抱擁などの種々の思い出は。しかし
ながら、数多(あまた)の一時の形象の間で、一度触れ合ってたがいに認める魂と魂
の接触は、けっして消え失せるものではない。」(P102)
「魂と魂の接触」です。私はふたりの魂が、再び出会うという展開を予想しました。
ところが、パリの街でようやくお互いを認めたのに・・・こういう宿命だったとは!
そして、クリストフはアントアネットと再会する代わりに、誰と出会ったのか?
しかし、これはある意味、アントアネットとの間接的な再会ではないのか?
物語は後半に入りましたが、まったくだれません。
私にとって第六巻は、涙なしに読めない巻でした。
ほかにも、多くの印象的な場面がありました。たとえば、父の自殺の前夜の場面、
アントアネットが脅迫者を退ける場面、オリヴィエが姉の手紙を発見する場面・・・
第七巻では、クリストフとオリヴィエの共同生活が始まります。次も楽しみです。
ただし、年度初めはいつもそうですが、なかなか本を読む時間が取れなくて・・・
さいごに。(やけくそカラオケ)
土曜日は休日出勤して、仕事をある程度終わらせました。
土曜日に仕事を持ち帰らなかったので、日曜日は久々の完全な休みとなりました。
カラオケに行って、まるでこの忙しさに復讐するかのように歌いました。
「自由になりたくないかーい? 熱くなりたくないかーい?・・・」(尾崎豊)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(三)には、第六巻から第八巻が収められています。
ここから物語の後半です。今回は、第六巻「アントアネット」を紹介します。
姉のアントアネットと5歳下の弟オリヴィエは、有名な銀行家の家に生まれました。
彼らジャンナン家は裕福で、ふたりは何不自由のない子供時代を過ごしました。
ところが父が、怪しげな投機で失敗して破産し、拳銃自殺をしてしまったのです。
ジャンナン家は一気に没落し、寡婦と孤児たちは逃げるようにパリに出てきました。
しかしジャンナン夫人は、パリで豊かに暮らす姉にも、受け入れられませんでした。
そして夫人は失意のうちに頓死し、アントアネットとオリヴィエが残されて・・・
第六巻「アントアネット」は、タイトル通り、アントアネットが主人公です。
クリストフはほとんど出てきません。登場するのはやっと100ページになってから。
またこの巻は、140ページほどしかありません。それでいてとても味わい深いです。
アントアネットが、オリヴィエのために懸命に生きていく姿が、実に切ないです。
そして、薄幸のアントアネットとクリストフの人生が、ほんの一瞬だけ交差します。
その出会いは運命と言うべきでしょう。しかし、幸せだったのか、不幸だったのか?
また、アントアネットの列車と、クリストフの列車が、偶然すれ違う場面ときたら!
ロマン・ロランは、この場面をドラマティックに印象的に描いています。
「すべては過ぎ去る、言葉や接吻や恋しい肉体の抱擁などの種々の思い出は。しかし
ながら、数多(あまた)の一時の形象の間で、一度触れ合ってたがいに認める魂と魂
の接触は、けっして消え失せるものではない。」(P102)
「魂と魂の接触」です。私はふたりの魂が、再び出会うという展開を予想しました。
ところが、パリの街でようやくお互いを認めたのに・・・こういう宿命だったとは!
そして、クリストフはアントアネットと再会する代わりに、誰と出会ったのか?
しかし、これはある意味、アントアネットとの間接的な再会ではないのか?
物語は後半に入りましたが、まったくだれません。
私にとって第六巻は、涙なしに読めない巻でした。
ほかにも、多くの印象的な場面がありました。たとえば、父の自殺の前夜の場面、
アントアネットが脅迫者を退ける場面、オリヴィエが姉の手紙を発見する場面・・・
第七巻では、クリストフとオリヴィエの共同生活が始まります。次も楽しみです。
ただし、年度初めはいつもそうですが、なかなか本を読む時間が取れなくて・・・
さいごに。(やけくそカラオケ)
土曜日は休日出勤して、仕事をある程度終わらせました。
土曜日に仕事を持ち帰らなかったので、日曜日は久々の完全な休みとなりました。
カラオケに行って、まるでこの忙しさに復讐するかのように歌いました。
「自由になりたくないかーい? 熱くなりたくないかーい?・・・」(尾崎豊)
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