ジャン・クリストフ8 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(三)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(三)には、第六巻から第八巻が収められています。
今回は、第八巻「女友達」です。主に、オリヴィエとのパリでの生活を描いています。
オリヴィエによってクリストフは新聞に取り上げられ、急に評価され始めました。
オリヴィエもまた、クリストフを見出した男として、知られるようになりました。
ふたりは、にわかに社交界の招待を受けるようになり、よく一緒に出かけました。
そして、ジャックリーヌ・ランジェーという二十歳前の美しい娘と知り合いました。
やがて、オリヴィエとジャックリーヌは愛し合うようになりました。
あるときクリストフはオリヴィエに忠告しました。「富は一つの病気である」と。
オリヴィエはジャックリーヌと結婚し、クリストフとの共同生活は終わりました。
オリヴィエは教師に任命された土地に落ち着き、何不自由のない生活を始めました。
オリヴィエとジャックリーヌは、激しい恋と陶酔の幸福な時期を過ごしました。
そして、倦怠の時期がやってきて、ふたりはお互いに戸惑うようになりました。
ジャックリーヌは亡くなった親戚の財産を相続し、富裕な階級と交際し始めました。
オリヴィエはクリストフの忠告を思い出しながらも、自然と彼から離れていき・・・
というように、第8巻はオリヴィエとジャックリーヌを中心に展開していきます。
ジャックリーヌの登場で、クリストフとオリヴィエの友情(愛情)は薄れていきます。
そんな折、同じ家で部屋を借りている、アルノー夫人が訪れました。
オリヴィエの足が遠のいたことについて、二人で会話する場面が味わい深いです。
アルノー夫人:「ほんとうに世の中は悲しいものですね!」
クリストフ: 「いいえ、人生が悲しいのではありません。悲しい時があるのです」
アルノー夫人 「以前は愛し合ったのに、もう愛し合わなくなる。それが何かのため
になりましょうか」
クリストフ: 「愛し合っただけでいいんです」
実はこのときアルノー夫人は、クリストフにあることで大事な相談に来たのです。
しかし、何気ないクリストフの言葉が、アルノー夫人を救うことになったのです。
ところで、再び孤独になったクリストフに、セシルという女歌手の友達ができました。
また、フランソアーズという女優と、公然と交際し、関係を持つようになりました。
特にフランソアーズについては、極貧からのし上がった半生がとても興味深いです。
あくの強いふたりの共同生活をもっと発展させてほしかった! このあとの展開は?
一方、倦怠から逃れるように富裕階級と交流するジャックリーヌは・・・
ジャックリーヌはいかなる行動に出るか? オリヴィエとの生活は・・・
不器用なクリストフは、再び各新聞からたたかれることになりました。
そのときクリストフを陰で救ってくれたのは? 意外な女友達とのつながりが・・・
ジャックリーヌ、アルノー夫人、セシル、フランソアーズ・・・多くの「女友達」。
しかし最後まで読んだとき、ロランが本当に書きたかった「女友達」が分かります。
そしてその場面で、クリストフは自分に優しくしてくれた少女のことを思い出します。
その少女は昔亡くなっていました。この部分の記述が、実にイミシンなのです。
「その忘れられた死んだ少女と、今彼をながめてる貴族の若い夫人との間には、なん
らの関係もないのだった。しかし、だれにとってもただ一つの魂しか存在しない。」
(P599)
つまり、死んだ少女と今いる夫人が、同じ魂を持っている、と解釈できるのです。
あの死んだ少女の生まれ変わりが、ここにいる若い貴婦人であると。
この作品を通じて、ロランの独特の死生観が伝わってきて、とても興味深いです。
輪廻転生とか、死者の魂が生者に宿るとか、死者が生者とともにあるとか・・・
さて、第8巻にもさまざまな忘れがたい文章がありました。
しかし、なんといっても最後の場面で登場する、次の文章が最も印象に残りました。
「幸福というものは、魂の香りであり、歌う心の諧調である。そして魂の音楽のうち
でもっとも美しいものは、温情にほかならない。」(P611)
さいごに。(水筒ゲット)
先日、56歳になりました。誕生日のプレゼントとして、水筒をもらいました。
オシャレなので、気に入っています。アマゾンで選びました。2299円でした。
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(三)には、第六巻から第八巻が収められています。
今回は、第八巻「女友達」です。主に、オリヴィエとのパリでの生活を描いています。
オリヴィエによってクリストフは新聞に取り上げられ、急に評価され始めました。
オリヴィエもまた、クリストフを見出した男として、知られるようになりました。
ふたりは、にわかに社交界の招待を受けるようになり、よく一緒に出かけました。
そして、ジャックリーヌ・ランジェーという二十歳前の美しい娘と知り合いました。
やがて、オリヴィエとジャックリーヌは愛し合うようになりました。
あるときクリストフはオリヴィエに忠告しました。「富は一つの病気である」と。
オリヴィエはジャックリーヌと結婚し、クリストフとの共同生活は終わりました。
オリヴィエは教師に任命された土地に落ち着き、何不自由のない生活を始めました。
オリヴィエとジャックリーヌは、激しい恋と陶酔の幸福な時期を過ごしました。
そして、倦怠の時期がやってきて、ふたりはお互いに戸惑うようになりました。
ジャックリーヌは亡くなった親戚の財産を相続し、富裕な階級と交際し始めました。
オリヴィエはクリストフの忠告を思い出しながらも、自然と彼から離れていき・・・
というように、第8巻はオリヴィエとジャックリーヌを中心に展開していきます。
ジャックリーヌの登場で、クリストフとオリヴィエの友情(愛情)は薄れていきます。
そんな折、同じ家で部屋を借りている、アルノー夫人が訪れました。
オリヴィエの足が遠のいたことについて、二人で会話する場面が味わい深いです。
アルノー夫人:「ほんとうに世の中は悲しいものですね!」
クリストフ: 「いいえ、人生が悲しいのではありません。悲しい時があるのです」
アルノー夫人 「以前は愛し合ったのに、もう愛し合わなくなる。それが何かのため
になりましょうか」
クリストフ: 「愛し合っただけでいいんです」
実はこのときアルノー夫人は、クリストフにあることで大事な相談に来たのです。
しかし、何気ないクリストフの言葉が、アルノー夫人を救うことになったのです。
ところで、再び孤独になったクリストフに、セシルという女歌手の友達ができました。
また、フランソアーズという女優と、公然と交際し、関係を持つようになりました。
特にフランソアーズについては、極貧からのし上がった半生がとても興味深いです。
あくの強いふたりの共同生活をもっと発展させてほしかった! このあとの展開は?
一方、倦怠から逃れるように富裕階級と交流するジャックリーヌは・・・
ジャックリーヌはいかなる行動に出るか? オリヴィエとの生活は・・・
不器用なクリストフは、再び各新聞からたたかれることになりました。
そのときクリストフを陰で救ってくれたのは? 意外な女友達とのつながりが・・・
ジャックリーヌ、アルノー夫人、セシル、フランソアーズ・・・多くの「女友達」。
しかし最後まで読んだとき、ロランが本当に書きたかった「女友達」が分かります。
そしてその場面で、クリストフは自分に優しくしてくれた少女のことを思い出します。
その少女は昔亡くなっていました。この部分の記述が、実にイミシンなのです。
「その忘れられた死んだ少女と、今彼をながめてる貴族の若い夫人との間には、なん
らの関係もないのだった。しかし、だれにとってもただ一つの魂しか存在しない。」
(P599)
つまり、死んだ少女と今いる夫人が、同じ魂を持っている、と解釈できるのです。
あの死んだ少女の生まれ変わりが、ここにいる若い貴婦人であると。
この作品を通じて、ロランの独特の死生観が伝わってきて、とても興味深いです。
輪廻転生とか、死者の魂が生者に宿るとか、死者が生者とともにあるとか・・・
さて、第8巻にもさまざまな忘れがたい文章がありました。
しかし、なんといっても最後の場面で登場する、次の文章が最も印象に残りました。
「幸福というものは、魂の香りであり、歌う心の諧調である。そして魂の音楽のうち
でもっとも美しいものは、温情にほかならない。」(P611)
さいごに。(水筒ゲット)
先日、56歳になりました。誕生日のプレゼントとして、水筒をもらいました。
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