思想する住宅 思い通りの家を造る [読書・ライフスタイル]
「思想する住宅」 林望(はやしのぞむ) (文春文庫)
「思い通りの家を造る」 林望 (光文社新書)
自身の建て替え経験をもとに、現代日本の本当に住みやすい住宅について論じます。
林望はイギリスに詳しい国文学者。本書は、イギリス住宅事情を参考にしています。
日本では、家を家族構成に合わせて建てますが、家族構成は時とともに変わります。
そうなると途端に住みにくくなるので、壊して建て直したりすることもあります。
しかし、イギリスでは、家族構成の変化とともに、住宅を変えていくのが普通です。
壊して建て替えるという習慣がなくて、100年も200年も昔の家が残っているのです。
さて、住宅というものは、その人の「人生の思想」を、家という形にしたものです。
だから、家造りで大事なことは、住む人がコンセプトをしっかり持つことなのです。
たとえば・・・
1 夫婦の寝室は作らず、夫の個室と妻の個室を作る。
2 応接間(応接セットを含む)や和室(押入れを含む)は、作らない。
3 ベランダは作らない。物干し場 は作らず室内乾燥機を使う。
4 南向きの家は夏暑い。家は北向きに建てる。
5 玄関は暗くして、そこを通った先が広く開けるように作る。
6 できるだけ発酵素材を使い、腐敗素材の使用を避ける。・・・・
この中で特に興味深かったのが、発酵素材と腐敗素材の区別です。
それは以下のように定義されていますが、「なるほど!」と思いました。
発酵素材は石や木など、時がたつにつれてかえって味わい深くなる素材です。
逆に、腐敗素材は、アルミやプラスチックなど、時とともに汚くなる素材です。
私は古寺を巡るのが好きですが、古寺はまさに発酵素材の宝庫だからかもしれません。
奈良の東大寺や興福寺や唐招提寺などは、そこにいるだけで幸せな気分になるのです。
この本で最も感銘を受けたところは、「住まいは、日常である。」という言葉です。
これに続いて次のように述べます。林の家に対する思いが、実によく伝わってきます。
「通俗な生活がそこにある。雲霞を喰らって生きている仙人が住むのでもなく、花の
陰に息づく妖精の住まいなのでもない。世俗ふつうの、私やあなたが、だらだらと散
文的に暮らしている場所、それが住宅なのだ。」(P185)
さて、林には「思い通りの家を造る」(光文社新書)という、似た本があります。
2001年刊行です。内容的にも「思想する住宅」と重なる部分がたくさんありました。
私は39歳で家を建てたときに、この本に書かれていることを参考にしました。
そして、自宅を建てたとき(17年前)には、わざわざ北側の土地を購入したのです。
しかし、「思い通りの家を造る」で、それ以上に印象に残っているのは林の思想です。
林の、家を建てることは、生き方を考えることだ、という思いがよく伝わってきます。
「たとえば家を造った、それと同時に『自分はもう出世幻想は捨てる』と覚悟しても
いいはずです。で、『自分は転勤しません、その代わり出世もしません』と宣言する
人生を選び取るということがあってもよい筈です。」(P95)
ぜひ同時に読みたい本に、林の「リンボウ先生の書斎のある暮らし」があります。
この本も、17年前の私の家づくり・書斎づくりに、とても役立った本です。
「リンボウ先生の」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-04-28
さいごに。(「グローバルワーク = ワークマン」ではない)
ワークマンの店舗で、「グローバルワークのシューズありますか」と聞きました。
グローバルワークを、ワークマンのオリジナル・ブランドだと思っていたので。
たとえば、マックスバリューの中に、トップバリューがあるのと同じイメージです。
思い込みは恐ろしい。ちなみに、グローバルワークは街中の百貨店内にありました。
「思い通りの家を造る」 林望 (光文社新書)
自身の建て替え経験をもとに、現代日本の本当に住みやすい住宅について論じます。
林望はイギリスに詳しい国文学者。本書は、イギリス住宅事情を参考にしています。
日本では、家を家族構成に合わせて建てますが、家族構成は時とともに変わります。
そうなると途端に住みにくくなるので、壊して建て直したりすることもあります。
しかし、イギリスでは、家族構成の変化とともに、住宅を変えていくのが普通です。
壊して建て替えるという習慣がなくて、100年も200年も昔の家が残っているのです。
さて、住宅というものは、その人の「人生の思想」を、家という形にしたものです。
だから、家造りで大事なことは、住む人がコンセプトをしっかり持つことなのです。
たとえば・・・
1 夫婦の寝室は作らず、夫の個室と妻の個室を作る。
2 応接間(応接セットを含む)や和室(押入れを含む)は、作らない。
3 ベランダは作らない。物干し場 は作らず室内乾燥機を使う。
4 南向きの家は夏暑い。家は北向きに建てる。
5 玄関は暗くして、そこを通った先が広く開けるように作る。
6 できるだけ発酵素材を使い、腐敗素材の使用を避ける。・・・・
この中で特に興味深かったのが、発酵素材と腐敗素材の区別です。
それは以下のように定義されていますが、「なるほど!」と思いました。
発酵素材は石や木など、時がたつにつれてかえって味わい深くなる素材です。
逆に、腐敗素材は、アルミやプラスチックなど、時とともに汚くなる素材です。
私は古寺を巡るのが好きですが、古寺はまさに発酵素材の宝庫だからかもしれません。
奈良の東大寺や興福寺や唐招提寺などは、そこにいるだけで幸せな気分になるのです。
この本で最も感銘を受けたところは、「住まいは、日常である。」という言葉です。
これに続いて次のように述べます。林の家に対する思いが、実によく伝わってきます。
「通俗な生活がそこにある。雲霞を喰らって生きている仙人が住むのでもなく、花の
陰に息づく妖精の住まいなのでもない。世俗ふつうの、私やあなたが、だらだらと散
文的に暮らしている場所、それが住宅なのだ。」(P185)
さて、林には「思い通りの家を造る」(光文社新書)という、似た本があります。
2001年刊行です。内容的にも「思想する住宅」と重なる部分がたくさんありました。
私は39歳で家を建てたときに、この本に書かれていることを参考にしました。
そして、自宅を建てたとき(17年前)には、わざわざ北側の土地を購入したのです。
しかし、「思い通りの家を造る」で、それ以上に印象に残っているのは林の思想です。
林の、家を建てることは、生き方を考えることだ、という思いがよく伝わってきます。
「たとえば家を造った、それと同時に『自分はもう出世幻想は捨てる』と覚悟しても
いいはずです。で、『自分は転勤しません、その代わり出世もしません』と宣言する
人生を選び取るということがあってもよい筈です。」(P95)
ぜひ同時に読みたい本に、林の「リンボウ先生の書斎のある暮らし」があります。
この本も、17年前の私の家づくり・書斎づくりに、とても役立った本です。
「リンボウ先生の」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2022-04-28
さいごに。(「グローバルワーク = ワークマン」ではない)
ワークマンの店舗で、「グローバルワークのシューズありますか」と聞きました。
グローバルワークを、ワークマンのオリジナル・ブランドだと思っていたので。
たとえば、マックスバリューの中に、トップバリューがあるのと同じイメージです。
思い込みは恐ろしい。ちなみに、グローバルワークは街中の百貨店内にありました。
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