日本人とすまい ほか [読書・ライフスタイル]
「日本人とすまい」 上田篤 (岩波新書)
屋根・柱・壁などすまいの基本的な要素について、その意味や伝統を語っています。
1974年刊行。著者の上田は、都市計画専門の建築家であり、古典にも通じています。
屋根・柱・壁・戸・窓・障子・床・畳・床の間・土間・天井・階段・二階・屋上・
物干場・地下・物置・軒下・縁・庭・東屋・垣・門・錠・・・
以上、すまいに関わる24の要素を取り上げ、多方面からその意味を考察します。
それぞれわずか10ページ足らずですが、含蓄ある文章で非常に内容が濃いです。
(以下「柱」の章)西洋建築は、窓との格闘の歴史でした。
壁を積み上げたあと、窓を空けるのがたいへんだからです。
日本建築は、柱との格闘の歴史でした。
柱を立ててから隙間を埋めるのですが、柱を垂直に立てるのがたいへんだからです。
柱は日本建築の象徴であり、竪穴式住居にあっても、家屋の中心は2本の柱でした。
この原始住居の家づくりを、工匠たちは「天地根源の宮づくり」と言い伝えました。
また、日本建築における柱には、神の憑代という樹木信仰の名残りがあります。
それゆえ、商家の大黒柱などでは、子どもがもたれかかることすら許さないのです。
ところが現在では柱が壁の中にしまいこまれてしまい、同時に信仰も消滅しました。
というように、「柱」の役割から民俗学的意味まで解説していて、とても興味深い。
(以下「垣」の章)貴族の邸宅や寺院などでは、塀が用いられていました。
塀は、土でできた目隠しであり、盗賊の侵入を阻むものでした。
一方、庶民の家では、庭の周りに垣が巡らされていました。
垣は、主に植物などで作られ、そのため見通しがきき、人の侵入も許します。
塀が「障壁」であるのに対し、垣は「結界」の意味を持ちます。
垣が防ぐのは盗賊ではなく死者の霊魂であり、その原型が「しめ縄」に見られます。
この本もまた、38歳から39歳の頃、わが家を建てるときに読みました。
すまいを形作るさまざまな要素の歴史的意味を知る上で、とても参考になりました。
類書では、藤森照信の「天下無双の建築学入門」(ちくま新書)も面白かったです。
神の憑代としての柱については、出雲大社を引き合いに出して述べていました。
出雲大社の9本の柱のうち中央の柱は、床を貫いて背丈ぐらいで止まっています。
これは神の憑代であり、「岩根御柱(いわねのみはしら)」と呼ばれていると言う。
ほかにも、「庭は末期(まつご)の目で見るべし」など、興味深い指摘があります。
庭はあの世のものであり、時間を無化する装置である、と言うのです。実に面白い!
このように知的好奇心をくすぐる本ですが、正直言って私には読みにくかったです。
藤森の文章のクセ(体言止めが多くて話し言葉的)が、私には合わなかったです。
さいごに。(脳ドック、大丈夫?)
最近もの忘れがひどくて、水筒をどこかに置き忘れて、思い出せなくなりました。
結局、副社長が見つけてくれました。なんと、職員トイレに置き忘れていたのです。
そんな具合なので、脳ドックでは何かしらひっかかると、思い込んでいました。
ところが「問題なし」でした。嬉しい一方で、納得できない気持があり、複雑です。
屋根・柱・壁などすまいの基本的な要素について、その意味や伝統を語っています。
1974年刊行。著者の上田は、都市計画専門の建築家であり、古典にも通じています。
日本人とすまい (岩波新書 青版) (岩波新書 青版 884)
- 作者: 上田 篤
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1974/03/20
- メディア: 新書
屋根・柱・壁・戸・窓・障子・床・畳・床の間・土間・天井・階段・二階・屋上・
物干場・地下・物置・軒下・縁・庭・東屋・垣・門・錠・・・
以上、すまいに関わる24の要素を取り上げ、多方面からその意味を考察します。
それぞれわずか10ページ足らずですが、含蓄ある文章で非常に内容が濃いです。
(以下「柱」の章)西洋建築は、窓との格闘の歴史でした。
壁を積み上げたあと、窓を空けるのがたいへんだからです。
日本建築は、柱との格闘の歴史でした。
柱を立ててから隙間を埋めるのですが、柱を垂直に立てるのがたいへんだからです。
柱は日本建築の象徴であり、竪穴式住居にあっても、家屋の中心は2本の柱でした。
この原始住居の家づくりを、工匠たちは「天地根源の宮づくり」と言い伝えました。
また、日本建築における柱には、神の憑代という樹木信仰の名残りがあります。
それゆえ、商家の大黒柱などでは、子どもがもたれかかることすら許さないのです。
ところが現在では柱が壁の中にしまいこまれてしまい、同時に信仰も消滅しました。
というように、「柱」の役割から民俗学的意味まで解説していて、とても興味深い。
(以下「垣」の章)貴族の邸宅や寺院などでは、塀が用いられていました。
塀は、土でできた目隠しであり、盗賊の侵入を阻むものでした。
一方、庶民の家では、庭の周りに垣が巡らされていました。
垣は、主に植物などで作られ、そのため見通しがきき、人の侵入も許します。
塀が「障壁」であるのに対し、垣は「結界」の意味を持ちます。
垣が防ぐのは盗賊ではなく死者の霊魂であり、その原型が「しめ縄」に見られます。
この本もまた、38歳から39歳の頃、わが家を建てるときに読みました。
すまいを形作るさまざまな要素の歴史的意味を知る上で、とても参考になりました。
類書では、藤森照信の「天下無双の建築学入門」(ちくま新書)も面白かったです。
神の憑代としての柱については、出雲大社を引き合いに出して述べていました。
出雲大社の9本の柱のうち中央の柱は、床を貫いて背丈ぐらいで止まっています。
これは神の憑代であり、「岩根御柱(いわねのみはしら)」と呼ばれていると言う。
ほかにも、「庭は末期(まつご)の目で見るべし」など、興味深い指摘があります。
庭はあの世のものであり、時間を無化する装置である、と言うのです。実に面白い!
このように知的好奇心をくすぐる本ですが、正直言って私には読みにくかったです。
藤森の文章のクセ(体言止めが多くて話し言葉的)が、私には合わなかったです。
さいごに。(脳ドック、大丈夫?)
最近もの忘れがひどくて、水筒をどこかに置き忘れて、思い出せなくなりました。
結局、副社長が見つけてくれました。なんと、職員トイレに置き忘れていたのです。
そんな具合なので、脳ドックでは何かしらひっかかると、思い込んでいました。
ところが「問題なし」でした。嬉しい一方で、納得できない気持があり、複雑です。
2023-09-11 04:00
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