失われた時を求めて10 [20世紀フランス文学]
「失われた時を求めて5」 マルセル・プルースト作 吉川一義訳 (岩波文庫)
記憶の中から失われた時を紡ぎ出して、人生の本質を考察する長大な小説です。
20世紀を代表する作品であり、世界一長い小説としてギネスに登録されています。
第三篇「ゲルマントのほう」は、1920年から21年にかけて刊行されました。
今回は、その第一部の中盤を紹介します。舞台は、再びパリに移りました。
兵営の町ドン・シエールで、美男のサン=ルーは仲間からたいへん愛されています。
ただし、彼がユダヤ人ドレフュス大尉の無実を信じている点で、孤立していました。
また、サン=ルーは愛人に振り回されながらも、彼女とは縁を切れずにいました。
「あれには、なにやら恒星から発するようなもの、神託を告げる面さえあるんだ。」
サン=ルーがパリにやってきたので、「私」は彼の愛人を交えて昼食をとりました。
ところが、彼の人生のすべてとなっている愛人は、なんと、ラシェルだったのです。
彼女は数年前に売春宿で、わずか二十フランで身を売っていたユダヤ女で・・・
それなのに今、サン=ルーは彼女に、百万フラン以上を貢いでいて・・・
この展開には驚きました。そして、実に興味深かったです。
なるほど。サン=ルーがドレフュス派だったのは、ラシェルの影響だったのですね。
「私」が最初にラシェルに会ったのは、ブロックに連れて行かれた安い娼家でした。
この辺(第3巻P329~)を、今回改めて、じっくりと読み直しました。
「ねえ、あなた、ユダヤ女ですのよ、そりゃあもう天にも昇る心地ですわよ!」
女主人が「私」にそう言って勧めたのは、浅黒くてきれいとは言えない女でした。
「お客がいたら呼んで」という彼女は、「私」にとって人間ではありませんでした。
当時の彼女は、夜になるとルイ金貨1枚を稼ぐためにやってくる存在でしたが・・・
「娼家で私に二十フランでどうかと差し出され、二十フランを稼げればいいと思って
いる女としか見えなかったときには、二十フランの価値もないと思えた女でも、のっ
けから知り合いたいという好奇心をそそる捉えがたく引き留めがたい未知の存在だと
想像してしまうと、百万フラン以上の価値を備え、家族よりも、人に羨まれるどんな
地位よりも価値あるものになりうる。」(P345)
「私」が二十フランで得たものを、サン=ルーは百万フランで手にしています。
二十フランは約1万円、百万フランは約5億円。なんという人生のいたずら!
ところで、サン=ルーとラシェルの関係は、スワンとオデットの関係に似ています。
ただし、サン=ルーはラシェルと結婚する気が無い点で、スワンよりしたたかです。
さて、祖母はバルベック滞在時には、「私」の保護者で頼りになる存在でした。
それが、「私」がドン・シエールに行ってしまうと、急に心細い存在になるのです。
「私」がパリに帰る決心をしたのも、電話の祖母の声に深い悲しみを感じたからです。
そしてパリで再会した祖母は、病魔に打ちひしがれたような老婆となっていて・・・
「ゲルマントのほうⅠ」は、岩波文庫版の第6巻に続きます。
サン=ルーとラシェルの関係はどうなるのか? 祖母は大丈夫か? 気になります。
さいごに。(audible)
現在、アマゾンのオーディオブックaudibleを使っています。1か月間のお試しです。
「そして、バトンは渡された」などを聞きましたが、評判通り朗読がとてもうまい。
ただし、私の読みたい世界文学はほとんど無くて、あっても訳が古いのでイマイチ。
聴きたい本が「聴き放題」の中にある、という人にはオススメできます。
記憶の中から失われた時を紡ぎ出して、人生の本質を考察する長大な小説です。
20世紀を代表する作品であり、世界一長い小説としてギネスに登録されています。
第三篇「ゲルマントのほう」は、1920年から21年にかけて刊行されました。
今回は、その第一部の中盤を紹介します。舞台は、再びパリに移りました。
失われた時を求めて(5)――ゲルマントのほうI (岩波文庫)
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/05/17
- メディア: 文庫
兵営の町ドン・シエールで、美男のサン=ルーは仲間からたいへん愛されています。
ただし、彼がユダヤ人ドレフュス大尉の無実を信じている点で、孤立していました。
また、サン=ルーは愛人に振り回されながらも、彼女とは縁を切れずにいました。
「あれには、なにやら恒星から発するようなもの、神託を告げる面さえあるんだ。」
サン=ルーがパリにやってきたので、「私」は彼の愛人を交えて昼食をとりました。
ところが、彼の人生のすべてとなっている愛人は、なんと、ラシェルだったのです。
彼女は数年前に売春宿で、わずか二十フランで身を売っていたユダヤ女で・・・
それなのに今、サン=ルーは彼女に、百万フラン以上を貢いでいて・・・
この展開には驚きました。そして、実に興味深かったです。
なるほど。サン=ルーがドレフュス派だったのは、ラシェルの影響だったのですね。
「私」が最初にラシェルに会ったのは、ブロックに連れて行かれた安い娼家でした。
この辺(第3巻P329~)を、今回改めて、じっくりと読み直しました。
「ねえ、あなた、ユダヤ女ですのよ、そりゃあもう天にも昇る心地ですわよ!」
女主人が「私」にそう言って勧めたのは、浅黒くてきれいとは言えない女でした。
「お客がいたら呼んで」という彼女は、「私」にとって人間ではありませんでした。
当時の彼女は、夜になるとルイ金貨1枚を稼ぐためにやってくる存在でしたが・・・
「娼家で私に二十フランでどうかと差し出され、二十フランを稼げればいいと思って
いる女としか見えなかったときには、二十フランの価値もないと思えた女でも、のっ
けから知り合いたいという好奇心をそそる捉えがたく引き留めがたい未知の存在だと
想像してしまうと、百万フラン以上の価値を備え、家族よりも、人に羨まれるどんな
地位よりも価値あるものになりうる。」(P345)
「私」が二十フランで得たものを、サン=ルーは百万フランで手にしています。
二十フランは約1万円、百万フランは約5億円。なんという人生のいたずら!
ところで、サン=ルーとラシェルの関係は、スワンとオデットの関係に似ています。
ただし、サン=ルーはラシェルと結婚する気が無い点で、スワンよりしたたかです。
さて、祖母はバルベック滞在時には、「私」の保護者で頼りになる存在でした。
それが、「私」がドン・シエールに行ってしまうと、急に心細い存在になるのです。
「私」がパリに帰る決心をしたのも、電話の祖母の声に深い悲しみを感じたからです。
そしてパリで再会した祖母は、病魔に打ちひしがれたような老婆となっていて・・・
「ゲルマントのほうⅠ」は、岩波文庫版の第6巻に続きます。
サン=ルーとラシェルの関係はどうなるのか? 祖母は大丈夫か? 気になります。
さいごに。(audible)
現在、アマゾンのオーディオブックaudibleを使っています。1か月間のお試しです。
「そして、バトンは渡された」などを聞きましたが、評判通り朗読がとてもうまい。
ただし、私の読みたい世界文学はほとんど無くて、あっても訳が古いのでイマイチ。
聴きたい本が「聴き放題」の中にある、という人にはオススメできます。
<a href=https://advup.blogspot.com/2023/10/chto-takoe-marketplejsy.html>Продвижение товаров на маркетплейсах</a> - это процесс активного увеличения видимости и привлечения потенциальных покупателей к товарам или услугам, представленным на онлайн-площадках или маркетплейсах. Этот процесс включает в себя различные маркетинговые и рекламные стратегии, направленные на повышение продаж и увеличение конверсии на конкретной площадке.
<b>Из чего состоит процесс продвижении товаров на маркетплейсах</b>
Процесс продвижения включает в себя такие действия, как оптимизация карточек товаров для улучшения их видимости в поисковых результатах, управление отзывами и рейтингами, участие в рекламных кампаниях и акциях, анализ конкурентов, оптимизация ценовой политики, а также использование различных инструментов и техник для привлечения внимания к товару и увеличения числа покупок.
<b>Для чего необходимо заниматься продвижением на маркетплейсах</b>
Целью продвижения товаров на маркетплейсах является не только увеличение продаж, но и создание устойчивой позиции бренда на площадке, улучшение имиджа и увеличение доверия у потребителей. Основной задачей такого продвижения является выделение товаров среди конкуренции, привлечение внимания целевой аудитории и стимулирование повышенного спроса на предлагаемые товары или услуги.
Для консультаций по стратегии продвижения товаров на маркетплейсах, таких как Wilberries, Ozon и др. обратитесь к специалистам <a href=https://advup.blogspot.com/2023/10/strategii-marketplace.html>по продвижению товаров на маркетплейсах в Москве</a>.
<b>От чего зависит успех продвижения на маркетплейсах</b>
Успешное продвижение товаров на маркетплейсах требует комплексного подхода, постоянного мониторинга и анализа данных, а также гибкости и адаптивности к изменяющимся рыночным условиям и требованиям потребителей.
Важно уделить внимание таким аспектам, как: -управление листингом товаров, оптимизация заголовков, описаний, изображений и ключевых слов для улучшения поисковой выдачи и привлечения большего количества потенциальных клиентов.
Разработка целевых рекламных кампаний: использование контекстной рекламы, ретаргетинга, баннерной рекламы и других инструментов для привлечения внимания к товарам и увеличения конверсии.
Если вы хотите максимально эффективно продвинуть свой бизнес на маркетплейсах в Москве и достичь значительного роста продаж, обратитесь в <a href=https://advup.blogspot.com/p/rost-prodaj-na-marketplejsah.html>профессиональное маркетинговое агентство по продвижению товаров и услуг на онлайн-площадках и маркетплейсах</a>. Команда опытных экспертов поможет вам разработать эффективную стратегию продвижения, улучшить видимость вашего бренда, оптимизировать процессы продаж и повысить узнаваемость вашего товара среди целевой аудитории.
by RonnieBaith (2023-11-17 06:04)