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幽霊列車 [日本の現代文学]

 「幽霊列車」 赤川次郎 (文春文庫)


 列車の乗客が消えた表題作など、中年警部と女子大生が事件を解決する短編集です。
 1976年刊行の「幽霊列車」は赤川のデビュー作で、「幽霊シリーズ」の第一作です。


新装版 幽霊列車 (文春文庫) (文春文庫 あ 1-39)

新装版 幽霊列車 (文春文庫) (文春文庫 あ 1-39)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/01/04
  • メディア: 文庫



 岩湯谷駅で乗車した8人が、次の大湯谷駅に着いたときには全員消えていました。
 この幽霊列車事件の謎を解くため、40歳の宇野警部は客を装い、調査を始めました。

 推理オタクの21歳の女子大生永井夕子と出会い、一緒に事件を追いかけますが・・・
 走る列車から、どのようにして乗客はいなくなったのか? なぜいなくなったのか?

 以上の表題作「幽霊列車」は、赤川次郎の記念すべきデビュー作です。
 そして本書は、宇野警部と夕子が初めて出会う作品です。のちにシリーズ化します。

 デビュー作の割には完成度が高く、文章のテンポもよくて、とても面白かったです。
 トリックもなかなか凝っていました。また、謎が解明されていく場面もうまいです。

 内容にはたいへん満足しました。しかし、その一方で違和感を覚えたのも確かです。
 冴えない中年警部が、美人女子大生に気に入られ、関係まで持ってしまうのはなぜ?
 
 さて、この短編集には、「幽霊列車」を含めて全5作が収録されています。
 どの作品も、良い意味でも悪い意味でも娯楽小説です。とても上質な娯楽小説です。

 もっとも面白かったのは「善人村の村祭」です。推理小説というより冒険小説です。
 宇野警部と永井夕子が偶然訪れた「善人村」では、元日に年に一度の祭があります。

 村人たちはとても親切で、ふたりは至れり尽くせりの歓迎を受けました。
 村長の屋敷に泊まると、その妖艶な妻が裸になって、宇野の床に入ってきて・・・

 ふたりは危機に陥って、初めて行き過ぎた歓迎ぶりの意味に気付きました。
 「正月のお祭のために私たちが必要だったのね。〇〇〇〇として」(P354)

 「善人村」ではるか昔から続けられてきた祭とは、どのようなものだったのか?
 宇野警部と夕子は、その祭においていったいどのような役割を担っていたのか?

 特に村長の妻の絢路夫人が、良い味を出していました。この人をぜひ映像で見たい。
 また、善人ばかりの村の秘密が明かされていくところが、とてもスリリングでした。

 ところで、私は先ほど収録されている作品を、良くも悪くも娯楽小説と評しました。
 というのも「幽霊列車」以外の作品は、推理小説としては物足りなかったからです。

 しかし、赤川作品にはほかに「マリオネットの罠」という高評価の作品があります。
 機会があったらぜひ読んでみたいです。


マリオネットの罠 (文春文庫)

マリオネットの罠 (文春文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(エンドレスエイト)

 Uネクストに31日間お試しで入り、「涼宮ハルヒの憂鬱」(全24話)を見ています。
 その中の「エンドレスエイト」というエピソードは、同じ話を8回繰り返すのです。

 2回目から7回目の6回は見る意味がありません。ファンは怒ったのではないか?
 もしお金を払って見ていたのなら、私も怒ったと思います。無料で良かった。

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