卵の緒 [日本の現代文学]
「卵の緒」 瀬尾まいこ (新潮文庫)
血のつながらない母と息子(小学5年)を描き、親子とは何かを追求した物語です。
2002年に出た、瀬尾まいこのデビュー作です。「7's blood」も収録されています。
母と二人で暮らしている小学5年生の鈴江育生は、自分を捨て子だと思っています。
あるとき「へその緒」を見せてと言うと、母は「卵の殻」を見せてくれたのです。
母は言います。自分は育生を卵で産んだのだ、だから卵の殻を置いているのだと。
そして、本当の親子の証だと言って、思いっきり強く育生を抱きしめるのでした。
「母さんは、誰よりも育生が好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。
今までもこれからもずっと変わらずによ。ねえ、他に何がいる?」(P21)
やがて母が再婚して名字が朝井に変わり、子供ができたとき母が話したことは・・・
女子大生時代の母が、どんなふうに恋愛して、どんなふうに結婚したのか?・・・
血のつながらない親子を描いている点で、「そして、バトンは渡された」と同じです。
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2023-12-12
しかし、この物語の魅力はなんと言っても、エネルギッシュで愛情深い母でしょう。
へその緒なんてスーパーで100円ぐらいで売っている、と言い切ってしまえる母!
この母が育生に一度だけ語る、「母と育生の物語」も、非常に味わいがありました。
ただし、なぜ父親が死んでしまったのか(自殺?)、もう少し知りたかったです。
さて、この文庫にはもう一作「7's blood」も収録されています。
こちらは半分血が違う異母姉弟の物語です。いずれも心がほっこりする物語です。
高校3年の七子は母と二人暮らしです。その家に小学5年の七生がやってきました。
七生は父の愛人の子で、母が事件を起こしたため、一緒に暮らすことになりました。
七生が来て5日目に、七子の母が倒れて入院し、姉弟2人の生活が始まりました。
七生はとても素直で明るい子でしたが、なぜか七子にはかわいいと思えなくて・・・
しだいにふたりの気持ちが接近し、かけがえのない存在になっていくところが良い。
そして七子は、母が七生を引き取った理由に気付く! やがて訪れる切ない別れ!
瀬尾まいこには、「あと少し、もう少し」という陸上小説もあります。
中学生の駅伝大会を描いています。箱根駅伝を見ていたら、読みたくなりました。
さいごに。(今年は補足の年)
以前は絶版で読めなかった本で、最近読めるようになったものがいくつかあります。
たとえば、「ノートルダム・ド・パリ」「ミドルマーチ」「牡猫ムルの人生観」・・・
ほか、「死せる魂」「アンクル・トム」「ジェルミナール」「告白」(ルソー)・・・
今年は国にこだわらず、これらの作品を読んでいきます。もちろん、プルーストも。
血のつながらない母と息子(小学5年)を描き、親子とは何かを追求した物語です。
2002年に出た、瀬尾まいこのデビュー作です。「7's blood」も収録されています。
母と二人で暮らしている小学5年生の鈴江育生は、自分を捨て子だと思っています。
あるとき「へその緒」を見せてと言うと、母は「卵の殻」を見せてくれたのです。
母は言います。自分は育生を卵で産んだのだ、だから卵の殻を置いているのだと。
そして、本当の親子の証だと言って、思いっきり強く育生を抱きしめるのでした。
「母さんは、誰よりも育生が好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。
今までもこれからもずっと変わらずによ。ねえ、他に何がいる?」(P21)
やがて母が再婚して名字が朝井に変わり、子供ができたとき母が話したことは・・・
女子大生時代の母が、どんなふうに恋愛して、どんなふうに結婚したのか?・・・
血のつながらない親子を描いている点で、「そして、バトンは渡された」と同じです。
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2023-12-12
しかし、この物語の魅力はなんと言っても、エネルギッシュで愛情深い母でしょう。
へその緒なんてスーパーで100円ぐらいで売っている、と言い切ってしまえる母!
この母が育生に一度だけ語る、「母と育生の物語」も、非常に味わいがありました。
ただし、なぜ父親が死んでしまったのか(自殺?)、もう少し知りたかったです。
さて、この文庫にはもう一作「7's blood」も収録されています。
こちらは半分血が違う異母姉弟の物語です。いずれも心がほっこりする物語です。
高校3年の七子は母と二人暮らしです。その家に小学5年の七生がやってきました。
七生は父の愛人の子で、母が事件を起こしたため、一緒に暮らすことになりました。
七生が来て5日目に、七子の母が倒れて入院し、姉弟2人の生活が始まりました。
七生はとても素直で明るい子でしたが、なぜか七子にはかわいいと思えなくて・・・
しだいにふたりの気持ちが接近し、かけがえのない存在になっていくところが良い。
そして七子は、母が七生を引き取った理由に気付く! やがて訪れる切ない別れ!
瀬尾まいこには、「あと少し、もう少し」という陸上小説もあります。
中学生の駅伝大会を描いています。箱根駅伝を見ていたら、読みたくなりました。
さいごに。(今年は補足の年)
以前は絶版で読めなかった本で、最近読めるようになったものがいくつかあります。
たとえば、「ノートルダム・ド・パリ」「ミドルマーチ」「牡猫ムルの人生観」・・・
ほか、「死せる魂」「アンクル・トム」「ジェルミナール」「告白」(ルソー)・・・
今年は国にこだわらず、これらの作品を読んでいきます。もちろん、プルーストも。