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風と共に去りぬ5 [20世紀アメリカ文学]

 「風と共に去りぬ 第5巻」 M・ミッチェル作 鴻巣友季子訳 (新潮文庫)


 南北戦争時代の南部を背景に、大農園の娘スカーレットの半生を描いた長編小説です。
 出てすぐベストセラーとなり、映画も大ヒットしました。20世紀米文学の大傑作です。


風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)

風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)

  • 作者: マーガレット ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: 文庫



 フランクが亡くなり、レットは突然スカーレットに求婚し、二人は婚約しました。
 アトランタは「再建」の3年目で、ブロックが州知事となった最悪の時代でした。

 「ふたりの婚約の知らせは、想定外にして破壊力満点の爆弾発表であり、アトラン
 タの街を震撼させ、ふだんきわめて温和な婦人たちさえ反感情を激しく口にした。」
 (P73)

 ハネムーンを楽しみ、住居を新築し、やがて女の子のボニーが生まれました。
 レットはボニーを溺愛し、その将来を考え、少しずつ保守派と和解していきます。

 一方スカーレットは、アシュリのことが忘れられず、レットとの仲は冷えて・・・
 アシュリの誕生日サプライズ・パーティーの日、スカーレットは・・・

 最終巻の第5巻に入っても、面白さは一向に衰えません。
 特にこの巻の中盤からは、結末に向かってぐんぐん加速していきます。

 レットが3か月ぶりに帰った日、スカーレットに不幸な事故が起きて・・・
 ボニーの事故によって、レットとスカーレットの溝は、決定的なものとなり・・・

 そして物語は、メラニーの死を経て、結末にいっきにもつれ込みます。
 メラニーは陰のヒロインです。その死と共にこの物語も、終焉を迎えました。

 メラニーはスカーレットに何を託したか? メラニーは何を知っていたか?
 そしてスカーレットは、メラニーに何を気付かされたか?

 しかし、気付いたときには、すでに何もかも遅かったのです。
 レットの最後の告白はあまりにも哀切で、涙が出そうになりました。

 「だが、スカーレット、不死身のような愛でもすり切れることがあると、思ったこ
 とはないか?」(P492)

 読後、とても深い余韻を残します。これで終わるはずがありません!
 スカーレットはきっとまた立ち上がって・・・と想像したくなりました。

 この作品は皆から続編を期待されたものの、ミッチェルは頑なに拒んだと言います。
 そして彼女は48歳の若さで、自動車事故で急逝してしまいました。

 その後、相続人たちがリプリーに依頼して、続編「スカーレット」が世に出ました。
 1991年に刊行されると同時に大ベストセラーとなりました。


スカーレット (1) (新潮文庫)

スカーレット (1) (新潮文庫)

  • 作者: アレクサンドラ・リプリー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 文庫



 「スカーレット」は大いに売れましたが、厳しい批判にもさらされたのだそうです。
 ウィキペディアにあらすじが載っているので参考にしてください。(私は未読)

 さらに2007年、マッケイグによる「レット・バトラー」が出ました。
 しかし、こちらもレビューで酷評されています。


新編・風と共に去りぬ レット・バトラー1 (ゴマ文庫)

新編・風と共に去りぬ レット・バトラー1 (ゴマ文庫)

  • 作者: ドナルド・マッケイグ
  • 出版社/メーカー: ゴマブックス
  • 発売日: 2008/06/10
  • メディア: 文庫



 結局、ミッチェルの「風と共に去りぬ」が、素晴らしすぎたのでしょう。
 続編は気になるものの、私は読む気になれません。

 さいごに(ロス)

 10月に読み始め、この1か月半ほどはずっと、「風と共に去りぬ」一色でした。
 とうとう終わってしまい、胸にぽっかり穴が開いたようです。まさにロスの状態。

 林真理子の「スカーレット」が全巻出たら、すぐに買って読みたいです。
 ああ、早く読みたい。「スカーレット」が待ちどおしい。

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