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日本沈没 [日本の現代文学]

 「日本沈没」 小松左京 (小学館文庫)


 大規模な地殻変動で沈没していく日本と、災害に立ち向かう国民を描いた小説です。
 1973年に刊行され大ベストセラーとなりました。映画もパニック映画の傑作です。


日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)

日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)

  • 作者: 小松 左京
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/12/06
  • メディア: 文庫



日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)

日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)

  • 作者: 小松 左京
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/12/06
  • メディア: 文庫



 日本では小中規模の地震が頻発し、小笠原諸島の小島が一夜で海底に沈みました。
 海底調査で、操縦士の小野寺と、地球物理学者の田所は、乱泥流を見つけました。

 田所は、日本が沈没する可能性に気づきますが、他の学者から相手にされません。
 しかし、黒幕的存在の渡老人の指示で、首相は極秘で「D計画」を立ち上げました。

 巨大地震や火山の噴火などが起こり、田所は計算で早くて2年と割り出して・・・
 国民を脱出させるための「D計画」は、俊才の中田を中心に進められていたが・・・

 さて、2020年4月現在、コロナウィルス感染者は、世界で100万人を超えています。
 イベントは自粛、学校は休校、マスクは品切れ、渡航は制限、株価はパニック安。

 こういう状況の中、国のかじ取りをする人々は、日夜難しい選択を迫られています。
 この本を読んでいる間、日本沈没とコロナウィルスが二重写しで見えていました。

 「われわれの直面する未来には、過去の歴史の延長からある程度類推できる部分も
 かなりある。しかし、未来の歴史の中には、単なる過去の歴史の延長によっては、
 決して類推できない未知の、暗黒の部分もあるのだ。――過去において、そんなこ
 とが一度も起こらなかったといって、それが未来にも決して起こらないとは、誰が
 いい得よう!」(上・田所博士の言葉)

 それにしても、2年以内に日本が沈没すると知ったら、いったい何ができるか。
 できることはとても限られています。自分だったら、その中で全力を尽くせるか?

 「日本救援」を叫びながら、各国の首脳陣は、それぞれ思惑をもって行動します。
 一方、不眠不休で働く「D計画」の面々。特に、小野寺と中田がカッコいい!

 ところで、特に興味深かったのは、沈没後の日本民族の在り方です。
 福原教授らが、命を削って出した結論は、次の4つでした。

 ①民族の一部がどこかに新しい国を作る。②世界中に分散してその国に帰化する。
 ③どこにも受け入れられず流浪する。④そして、究極の選択・・・

 人々が脱出していく中で、渡老人や田所博士が選択した道は?
 最後に明かされる、田所博士が日本人に呼びかけたかったことは?

 「日本人は、人間だけが日本人というわけではありません。日本人というものは
 ・・・この四つの島、この自然、この山や川、この森や草や生き物、町や村や、
 先人の住み残した遺跡と一体なんです。」(下・田所博士の言葉)

 中盤からは怒涛の展開でした。一度読み始めたら、なかなか本を置けません。
 私は遅すぎました。もっと早くに、この本を読んでおくべきでした。

 私が小学生の頃、日曜日の20時からドラマ「日本沈没」を見るのが楽しみでした。
 あの頃すでにこの本は、大ベストセラーとなっていました。

 余談ですが「日本沈没」は、刊行の翌年に日本推理作家協会賞を受賞しています。
 推理小説としては、タイトルがいきなりネタバレなんですけどね。

 なお、作者が本当に書きたかったのは、沈没後の日本人の在り方なのだそうです。
 続編が出たのはようやく2006年。谷甲州との共著でした。私はまだ読んでません。


日本沈没 第二部〔小学館文庫〕 (上)

日本沈没 第二部〔小学館文庫〕 (上)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/06/06
  • メディア: 文庫



日本沈没 第二部〔小学館文庫〕 (下)

日本沈没 第二部〔小学館文庫〕 (下)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/06/06
  • メディア: 文庫



 また、一色登希彦によるコミック版も出ています。


日本沈没 全15巻 (ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

日本沈没 全15巻 (ビッグコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]

  • 作者: 小松 左京 一色 登希彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • メディア: コミック



 さいごに。(布マスク、注文してから1か月以上)

 妻が、ネットで布マスクを注文したのは2月の下旬で、当時3週間待ちでした。
 ところが、いつまで待っても届かず、ようやく4月になってから届いたのです。

 すでにもう待ちきれずに、家で布マスクを手作りした後でした。
 無かったら自分で作る。そういう昔ながらの姿勢がだいじですね。

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