蠅の王 [20世紀イギリス文学]
「蠅の王」 W・ゴールディング作 黒原敏行訳 (ハヤカワepi文庫)
無人島に不時着した少年たちの社会が、やがて崩壊し抗争に至る過程を描いた小説です。
人間社会の在り方を風刺して、世界中に衝撃を与えました。作者はノーベル賞作家です。
長い間、新潮文庫と集英社文庫の平井訳が定番でしたが、数年前、黒原訳が出ました。
新訳のハヤカワepi文庫版は、カバーも秀逸で、モノとしての価値を格段に高めました。
疎開先に向かっていた飛行機が、無人島に不時着し、少年たちだけが残されました。
ほら貝の音で集まった少年たちは、ラルフをリーダーに選び、ルールを決めました。
少年たちの社会は最初順調でしたが、しだいにラルフとジャックが対立し・・・
ジャックが豚を殺し、船が通り過ぎて行った日から、少しずつ何かが変わり・・・
「豚殺せ。喉を切れ。血を流せ」「豚殺せ。喉を切れ。ぶちのめせ」(第四章)
ジャックたちのこの歌が、魔物を引き連れてきたような気がしてなりません。
私は、タイトルの「蠅の王」とは悪魔ベルゼブルのことだ、と聞いていました。
そのため、ホラー小説のつもりで読み始めました。実際、最初から不気味でした。
小さい子どもたちは、「獣みたいなもの」「蛇みたいなもの」を見たと言いました。
そして突然、ひとりの子供が理由もなくいなくなり、その後ずっと戻ってきません。
この島には何か邪悪なものがいる! おそろしい何かが、子供たちを狙っている!
しかし、彼らの見たという〈獣〉は、どうやら自分たちの中にいたようなのです。
「〈獣〉ってぼくたちのことかもしれないってことなんだ」(P153)
寡黙な少年サイモンが、不意に発したこの言葉は、とてもイミシンです。
そしてこのサイモンだけが、「蠅の王」の言葉を耳にするのです。
「おまえは知っていたんだな。わたしがおまえたちの一部であることを。」(P252)
この物語が、刊行当時世界に衝撃を与えたということが、とてもよく分かります。
第九章以降は、狂気のような展開でした。ホラー小説以上に恐ろしかったです。
この小説は、ヴェルヌの「十五少年漂流記」のパロディだとも言われています。
「蠅の王」と比べたら、ヴェルヌの作品はとても健全でした。改めて読み直したい。
さいごに。(チコちゃんに叱られ・・・)
NHKのチコちゃんが、「ぼーっと生きてるんじゃないよ」と言うたびに、
自分のことを言われているみたいで、腹が立ってしまいます。(あーあ)
無人島に不時着した少年たちの社会が、やがて崩壊し抗争に至る過程を描いた小説です。
人間社会の在り方を風刺して、世界中に衝撃を与えました。作者はノーベル賞作家です。
長い間、新潮文庫と集英社文庫の平井訳が定番でしたが、数年前、黒原訳が出ました。
新訳のハヤカワepi文庫版は、カバーも秀逸で、モノとしての価値を格段に高めました。
疎開先に向かっていた飛行機が、無人島に不時着し、少年たちだけが残されました。
ほら貝の音で集まった少年たちは、ラルフをリーダーに選び、ルールを決めました。
少年たちの社会は最初順調でしたが、しだいにラルフとジャックが対立し・・・
ジャックが豚を殺し、船が通り過ぎて行った日から、少しずつ何かが変わり・・・
「豚殺せ。喉を切れ。血を流せ」「豚殺せ。喉を切れ。ぶちのめせ」(第四章)
ジャックたちのこの歌が、魔物を引き連れてきたような気がしてなりません。
私は、タイトルの「蠅の王」とは悪魔ベルゼブルのことだ、と聞いていました。
そのため、ホラー小説のつもりで読み始めました。実際、最初から不気味でした。
小さい子どもたちは、「獣みたいなもの」「蛇みたいなもの」を見たと言いました。
そして突然、ひとりの子供が理由もなくいなくなり、その後ずっと戻ってきません。
この島には何か邪悪なものがいる! おそろしい何かが、子供たちを狙っている!
しかし、彼らの見たという〈獣〉は、どうやら自分たちの中にいたようなのです。
「〈獣〉ってぼくたちのことかもしれないってことなんだ」(P153)
寡黙な少年サイモンが、不意に発したこの言葉は、とてもイミシンです。
そしてこのサイモンだけが、「蠅の王」の言葉を耳にするのです。
「おまえは知っていたんだな。わたしがおまえたちの一部であることを。」(P252)
この物語が、刊行当時世界に衝撃を与えたということが、とてもよく分かります。
第九章以降は、狂気のような展開でした。ホラー小説以上に恐ろしかったです。
この小説は、ヴェルヌの「十五少年漂流記」のパロディだとも言われています。
「蠅の王」と比べたら、ヴェルヌの作品はとても健全でした。改めて読み直したい。
さいごに。(チコちゃんに叱られ・・・)
NHKのチコちゃんが、「ぼーっと生きてるんじゃないよ」と言うたびに、
自分のことを言われているみたいで、腹が立ってしまいます。(あーあ)
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