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トレインスポッティング2 [20世紀イギリス文学]

 「トレインスポッティング」アーヴィン・ウェルシュ作 池田真紀子訳 (角川文庫)


 ヘロイン中毒の青年たちの、絶望的で退廃的な生活を描いた、半自伝的な作品です。
 90年代に出て話題となり、ユアン・マクレガー主演で映画化され、ヒットしました。


トレインスポッティング〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

トレインスポッティング〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: 文庫



 レントンとスパッドは、本を万引きした罪で、裁判にかけられました。
 偽ったレントンには執行猶予がつき、素直に話したスパッドは実刑を食らいました。

 これを機にレントンはヤク中の治療を始めましたが、本人にはその気がありません。
 とうとう両親は、レントンをヤク中から救うために、自宅に監禁してしまいました。

 そんな折、レントンの兄ビリーは陸軍に志願して、あっけなく殉職してしまい・・・
 マッティは脳の病で死に、トミーはエイズが発病し、ジョニーは片脚を切断し・・・

 「人生を選べ。ローンを背負った生き方を選べ。洗濯機を選べ。車を選べ。ソファに
 座り、ジャンク・フードをほおばりながら、退屈で気が滅入るクイズ番組をながめる
 暮らしを選べ。自分が産んだ、わがままで馬鹿なガキどもにとっては居心地が悪いだ
 けの家庭で、自分を呪いながら朽ち果てる生涯を選べ。人生を選べ。
  だが、俺は人生を選ばないことを選ぶ。」(P273)

 そして、レントン、ベグビー、シック・ボーイ、スパッドは、人生を賭けて・・・
 彼らはいよいよ、自分たちの人生を選ぶことができるのか?

 「失敗とか成功とかって、いったい何なんだ? そんなこと、誰が気にするんだ?
 俺たちはみんなほんのわずかな時間を生き、そして死ぬ。それだけのことだ。それだ
 けの。」(P303)

 「俺だって自分が二十歳になるまでは、二十歳以上の人間はみんな大馬鹿野郎で、話
 をする価値もねえと思ってた。世の中がわかるにつれ、俺は正しかったってこともわ
 かった。二十歳を過ぎてからは、何もかもがいやらしい妥協の連続だ。おどおどと降
 参してばかり。死ぬまでずっとそれが続く。」(P314)

 だから、ヤクをやるのか。私は言いたい。「甘ったれるなよ、にいちゃん!」と。
 「あんた、あんな汚ねえカネを持って、いったいどうするつもりさ?」と。

 「ここは、土地を奪われた貧乏な白人ばかりの国の、土地を奪われた貧乏な白人が集ま
 る街だ。アイルランド人はヨーロッパのクズだっていう連中もいる。そんなことはない
 さ。スコットランド人こそクズだ。アイルランド人は、自分の国を取り返す根性があっ
 た。少なくとも、大部分を取り返したじゃないか。」(P277)

 私は、スコットランドに対する侮辱の言葉は、愛情の裏返しだと思っていました。
 だから、ラストの場面には違和感を覚えました。(本当に出て行ってしまうのか?)

 このあといったいどうなるのか。とても気になります。
 この時点で、すでに続編を書くことを、想定していたのではないでしょうか。

 さて、レントンの「ロンドンの夜」というエピソードは、とても印象的でした。
 ホモのジー(ジョヴァンニ?)と知り合ったエピソードです。

 オールナイトの映画館で、レントンの腿に手を置いたのは、中年のイタリア人でした。
 最初は嫌悪しましたが、興味を持って彼の家に泊まったその翌朝、目を覚ますと・・・

 妻の弟とできてしまい、イタリアに妻子を置いて、ロンドンまで流れて来たジー。
 もの寂しいものの、同時に心温まる話でした。レントンの善良な人間性が分かります。

 この小説はたいへん話題になり、映画もまた大ヒットしました。
 そして、続編が書かれ、その映画も大ヒットしました。見てみたいです。




さいごに。(七夕祭)

娘は高校生活をエンジョイしています。良かったです。
今度、友達と一緒に七夕祭りをするのだとか。男子も一緒か? 気になります。

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