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ロード・ジム2 [19世紀イギリス文学]

 「ロード・ジム」 ジョセフ・コンラッド作 柴田元幸訳 (河出文庫)


 海難事故で自分の弱さを露呈した船員が、英雄的行動を志して悲劇に至る物語です。
 1900年刊のコンラッドの代表作です。河出文庫の柴田訳が格段に分かりやすいです。


ロード・ジム (河出文庫)

ロード・ジム (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2021/06/18
  • メディア: Kindle版



 マーロウ船長は、友人のスタインにジムの世話を頼み、ジムは奥地へ赴任しました。
 ジムにとっては人生をやり直すチャンスであり、二度と戻らぬ覚悟でいました。

 ジムは、流れ者のシェリーフ・アリの野営地を陥落させ、人々から信頼を得ました。
 古い大砲二門を、小山の上に運び上げることは、ジム以外にはできないことでした。

 族長ドラミンの息子ダリン・ワリスと親交を結び、また、美しい娘と結ばれました。
 やがてジムは、現地において伝説的存在となり、「ロード・ジム」と呼ばれました。

 ところが、ジムに恨みを抱いている者がいました。小悪党のコーネリアスです。
 そこへ、ブラウンという悪党が流れてきたことによって、意外な展開が・・・

 「事実というものは往々にして、この上なく狡猾に配置された言葉以上に謎めいて
 いるものだ。」(P457)

 なぜジムは、戦わなかったのか? なぜジムは、弁明しなかったのか?
 誰の理解も期待しないジムの胸には、常にあの「飛び降り」があったのではないか?

 「君はいつまでも、彼らにとって解きがたい謎であり続けるだろうよ。」(P411)
 マーロウのこの言葉は、奇しくもその通りとなりました。

 ジムの行動には、確かに理解しがたいものがあります。
 愛する女性や自分を慕う人々のために、説明はするべきですよ。

 逆に、ブラウンの卑劣で残虐な行動は、小気味いいほど分かりやすかったです。
 コーネリアスの卑怯な行動も、好感が持てるぐらいに徹底していました。

 皮肉なことに、現地人の中ではコーネリアスこそが、ジムの最大の理解者なのです。
 実際コーネリアスは、ジムがブラウンに会いに来るという予言を的中させました。

 「まっすぐここへ、あなた様と話をしに来ますよ。とにかく馬鹿みたいな男ですか
 ら。会えばどれだけ馬鹿だか分かります。(中略)幼い子供みたいなのです。」
 (P505)

 考えてみると、ブラウンを簡単に信じたところなど、ただのお人よしの子供です。 
 しかし、その純粋さゆえに、読者はジムに魅了されるのかもしれません。

 さて、コンラッドの作品ンいは、有名な「闇の奥」があります。
 「闇の奥」→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2011-03-19

 また、「シークレット・エージェント」も古典新訳文庫から出ています。


シークレット・エージェント (光文社古典新訳文庫)

シークレット・エージェント (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/06/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(与党支持の私が、野党候補者に投票する理由)

 昨年の参院補選では、圧倒的優位の与党W氏を、Y氏が倒して話題になりました。
 その直後、Y氏は2年も前に終わっている不倫を蒸し返され、総スカンを食いました。

 しまいには、これまで二人三脚で歩んできた知事にさえ、見捨てられてしまいました。
 私はここに納得できない! Y氏に同情票を1票!(あくまでも同情票)

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