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男の装い 基本編 [読書・ライフスタイル]

 「男の装い 基本編」 落合正勝 (講談社文庫)


 スーツ、シャツ、ネクタイ、靴、ブレザーなど、男が装う意味と方法を述べた本です。
 落合正勝は服飾評論家として知られています。生前は「サライ」で連載していました。


男の装い 基本編 (講談社文庫)

男の装い 基本編 (講談社文庫)

  • 作者: 落合 正勝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/07/26
  • メディア: 文庫



 「西洋の男たちと日本の男たちの決定的な相違は、服装とは何なのだという意識を、前
 者は明確に持ち、後者は持っていないということだ。換言すれば、装う意味を知ってい
 るかいないかだ。装う意味とは、服装によるアイデンティティの立証である。」(P8)

 つまり、人は服装によって、自分が何者なのかを社会に発信する必要があるのです。
 そのためには、装うものの意味と、その正しい装い方を知っていなければなりません。

 英国やイタリアの政治家の大半は、紺系のネクタイを締めています。
 西洋では、紺は「誠実、愛情、信仰、平和」表し、男の服装の基本色となっています。

 アメリカの政治家は、意図的に、赤いネクタイを締めています。
 赤には「神と同胞に対する愛、勇気と激しさ」という思想が込められているからです。

 彼らは、このようにネクタイの色から、明白なメッセージを発信しているのです。
 服装における色や柄の持つ意味を知り、装うということを意識的に行っていて・・・

 非常に含蓄に富んだ文章です。服飾についての蘊蓄が詰まっています。
 読んでいてさまざまなことを知ることができ、知的好奇心を充分満たしてくれます。

 たとえば、西洋の小紋柄は、11世紀に端を発する貴族や豪族の紋章を起源とします。
 縞柄は、16世紀英国の連隊旗を起源とし、今では学校ごとに独自のものを持ちます。

 つまり、ネクタイには、その柄によって自分の所属を表すという意味がありました。
 現在、学校の制服のネクタイに校章が付いているのは、歴史の正しい解釈なのですね。

 ブレザーの起源も面白かったです。時は1837年、ヴィクトリア女王18歳のときです。
 英国海軍「ブレザー号」の閲兵時、水兵たちの制服を女王が気に入って広まったとか。

 私は、先に紹介した「スーツの神話」(中野香織)を、スーツの教科書としています。
 そして本書を、シャツ、ネクタイ、カジュアルなど、服飾全般の教科書としています。

 ところで、本書が「基本編」とあるので、いつか「応用編」が出ると思っていました。
 ところが、とうとう出ませんでした。少し残念です。

 しかしながら、「応用編」的な本が、同じ2003年に光文社新書から出ていたのです。
 タイトルは「ダンディズム 靴、鞄、眼鏡、酒・・・」です。


ダンディズム―靴、鞄、眼鏡、酒… (光文社新書)

ダンディズム―靴、鞄、眼鏡、酒… (光文社新書)

  • 作者: 落合 正勝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/07/26
  • メディア: 新書



 こちらの本はテーマを服飾に限らず、食べ方や遊び方など、行動にまで広げています。
 相変わらず落合節は健在で、著者のこだわりがさまざまなところから垣間見えます。

 「ダンディは、個々の人間のお洒落に過ぎなかったが、ダンディズムは、それを様式
 (スタイル)として抱合したのだ。表現するなら、洗練された「だてしゃの様式ない
 しは行動」である。様式は衣服のみならず、あらゆる趣味嗜好において首尾一貫し、
 その人らしさを表現する必要がある。(P16)

 「流行に背を向け、自分だけのスタイルを装う。それをどこへ着ていくか、その服装
 を試みたとき、他人の目に自分がどう映るかを考える。うつろうモノでなく、真の価
 値を具えたモノを選択する。」(P40)

 流行に左右されることなく、自分にとって真に価値あるモノを選ぶ、という点がいい。
 私の本選びと同じスタンスなので、とても共感できます。

 さいごに。(腎機能低下)

 だいぶ前から、人間ドックでの腎機能の数値が良くない状態でした。
 ところが今回の検診では、その値がいっきに悪くなっていました。

 食事では塩分をひかえて、3か月後に再検査をするように言われました。
 減塩の食事なんて、したくないなあ。

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